日本の人口が減少するなか、豊かで活力ある社会の実現に向け、男女共同参画や多様性を活かす社会への変革が一層必要となり、さまざまな仕組みが構築されています。持続可能な社会の実現に向け、環境・経済・社会の諸課題に積極的に取り組むことは技術士のミッションの1つですが、誰もが活躍できる社会の実現には、まだまだ多くのハードルがあると感じます。
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特に、科学技術分野に進む女性のキャリアのパイプラインは、ライフステージが変わるごとに細くなっているのが顕著です。中学生から高校生・高専生へ、大学生へ、就職へ、管理職へ、部長職へとステージが変わるたびに女性割合がどんどん減っているのです。
例えば、15歳の数学の成績は男女とも日本が世界トップクラスであるにも関わらず、大学の理工系に占める女子学生の割合はOECD加盟国中最下位です。また、技術士に占める女性割合は増加傾向にあるものの、わずか2%程度にとどまります。科学技術系に限りませんが、民間企業で部長職相当の女性は1割にも達しません。
このようにパイプラインが細くなっている要因は、社会や組織のカルチャー、個人のアンコンシャス・バイアス(気づきにくい思い込み)、それらをカバーする支援の仕組みの乏しさにあると考えます。進学や就職、昇格等の場面で男女に公平(Equity)な機会が確保される必要があります。女性が能力を活かし、進路や役職を狭められることなく生きられる社会、男性もいわゆる「男らしさ」に縛られず、ライフも含めて豊かに生きられる社会が求められています。
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科学技術分野に女性が増えるとよいことがあります。例えば、多様性の高いチームの方がイノベーションを生み出しやすいことがわかっています。また、女性の特性や経験を反映することで、ユーザーの半数を占める女性に対して、より適切なサービスや事業を開発、提供しやすくなります。
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公益社団法人日本技術士会「男女共同参画推進委員会」は2011年5月に発足し、社会への貢献として、女性技術士の増加や技術士資格の周知に向けた活動、ダイバーシティ推進活動(D&I:Diversity&InclusionからDE&I:Diversity, Equity&Inclusionへ)を10年以上にわたり継続してきました。
今後も、女性をはじめとする多様な人材が技術者・技術士として活躍し、さらには組織を牽引する指導的立場で能力を発揮できるよう、関連組織の皆さまと連携しながら活動を続けてまいります。
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男女共同参画推進委員会 委員長 飯島 玲子
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