金属部会例会予定及び講演概要2009

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日時 テーマ 講師 所属
概要
2009

1/21(水)

 

 

新年会

(ニューオータニイン東京(JR大崎駅))

  ももきりの間

18:00〜20:30

 

 

(社)日本技術士会

金属部会新年会式次第

 

日 時 : 平成21121日(水) 18時〜2030

場 所 : ニューオータニイン東京 4階 ももきりの間

 

司 会: 理事 山崎 宏 

 

受 付: 萩野太郎 幹事

会 計: 大山光男 幹事

 

   ソプラノ歌唱                                                                    加藤江美女史

 

   物故者に黙祷                                                                           司会者

 

開会のことば                                                         金属部会長 清水 進

 

   挨拶                                                                       会長 高橋 修

                                                                                       副会長 吉田克己

                                                                                        副会長 岩熊まき

                                                                   専務理事 高木譲一

                                                                      常務理事 西村文夫

             

   乾杯                                                         名誉金属部会長 吉武進也

 

   年頭の抱負・近況など                                                            各出席者

 

             

   音楽                                              二期会ソプラノ歌手 加藤江美女史 

                                              ピアニスト・シンセサイザー 法領田れい子女史

 

           

   閉会のことば及び締め                                評議員 神戸良雄

 

   記念集合写真

                                                               

 

2009.2.4(水)

9:00〜17:00

 

 

金属部会見学会(化学部会と共催)

筑波「高エネルギー加速器研究機構(KEK)」

講演「素粒子について」(11:00〜12:00)

    素粒子原子核研究室長 高崎史彦様

見学会(13:00〜)

 

 
2009

2/18(水)

 

日本技術士会会議室

「自動車エンジン弁ばね用材料の変遷と今後の課題」

本間 達氏

鈴木金属工業株式会社 常務執行役員

生産技術本部 研究開発部長

兼 特品開発グループ長

 

 

・自己紹介 ; 名古屋工業大学金属工学科を1969年に卒業し鈴木金属工業鰍ノ入社、研究部に配属され1999年同社取締役特線部長を経て現職に至る。また、20083月技術士金属部門合格、技術士会に入会した。

・内容 ; 入社後2年目に、長大橋用パラレルワイヤーの巻きつけ時破断の原因調査にあたった。丁度、安価な走査電子顕微鏡が販売された時期で、線表面の微細クラックが破断の原因であり、微細クラックは伸線前の酸洗い不足によるボンデライト被膜生成不良に拠ると判明した。現物を素直に見ることが問題解決の第1との認識を強くした。

  自動車弁ばねとの出会いは、入社2年目にばね疲労試験を担当した時に始まる。ピアノ線より強度の高いシリコンクロム鋼オイルテンパー線の疲労寿命が何故、低いのか。表面疵と非金属介在物が原因だった。

表面疵はシェービング技術の開発により改善したが、非金属介在物は形態制御技術の導入まで時間が掛かった。とにかく、現状を正しく的確に高炉メーカーに伝える事が必要であった。

 その後、某2輪車メーカーと窒化用オイルテンパー線の研究に入った。現在は、このコンセプトに合致した弁ばねが4輪でも主流になりつつある。

  自動車、2輪車のエンジン弁ばねに対する要求はエンジン出力の向上、燃費向上などのために、カムのリフトアップや回転数アップと同時に益々、弁ばねの耐久性と耐へたり性が求められる。しかし、設置場所は限られているので、荷重を高めるにはコイル線径を大きくすることはできないため、降伏応力の高い材料が必要になる。回転数が上がり応力が増加するとばね荷重が足りないと共振(サージング)が起こり、跳ね上がり現象が生じる。

  1960年代には弁ばね用材料の主流は弁ばね用ピアノ線と弁ばね用炭素鋼オイルテンパー線であった。 その後の自動車の性能向上に合わせ、弁ばね用シリコンクロム鋼オイルテンパー線が主に使われるようになった。

  ばねの性能向上には、線の性能改善とばねの造りこみ技術の改善が挙げられる。ここでは、弁ばねに要求される重要な特性である耐久性の向上のための材料開発とばねの後処理技術改善の中で行われてきた例について以下の内容について説明された。 

@ 耐熱性向上、窒化に向いた化学成分を持つ合金設計:素材供給の鉄鋼メーカーとの緊密な打ち合わせ、独自の添加元素、C0.6%以上にし、Si量を2%、Cr0.85%と増加、Mn0.35%とP量は最低限にし、VMoを添加した材料開発。

A 非金属介在物の低減非金属介在物の低減の精錬:一次精錬、二次精錬+圧延によって介在物が小型化、減少した。

B ばねの精度向上、特にピッチ間管理の厳格化:ばねコイルの線間隔を均一なピッチに仕上げるコイリング加工と成型

C ショットピーニング多段化:高硬度のショット粒と高弾性・高比重粒化、細粒高速度化によって、より深く圧縮残留応力を付与し疲労強度を高める

D ばねに見合った窒化処理の改良:窒化は表面硬度を上げて疲労強度の向上を図るが、この窒化処理の温度を上げると窒化の深さは深くなり、硬さ高が高くなる。しかし母材の焼戻し軟化抵抗を上げなければならない。

 また、バルブ弁ばねの高強度化には上工程メーカーから部品メーカーまで含んだ共同研究・開発が重要である。

スプリングの軽量化の例として異型断面Ovate shape(卵型)の例、欠陥検知には貫通コイル式や回転プローブ式の探傷装置などの欠陥検知装置が紹介された。

 そして、今後の課題としては非金属介在物の低減、レアメタルの使用量の削減、窒化処理技術の改良のほか、使用者にばねに対する認識を持っていただくことが重要であるコメントされた。

 
2009

3/18(水)

 

ニューオータニイン東京(JR大崎駅)

「さびと防錆〜私の足跡〜」

田尻勝紀氏(田尻技術士事務所 所長)

・自己紹介; 日本大学工学部工業化学科を昭和34年に卒業され、同年(社)日本防錆技術協会に入社、研究・技術畑で仕事をされ、平成3年定年、平成9年に退職された。

     昭和43年技術士試験合格(金属部門)、44年登録・日本技術士会入会、その後会長表彰を受賞。 

     昭和6163年 千葉大学教養学部非常勤講師、福島県技術アドバイザー平成512

     平成914年腐食防食協会腐食センター技術相談員、平成6〜18年同運営委員などを歴任された。

◇講演内容;

※「さび・腐食」は金属とそのおかれた環境により生じる。金や白金以外の金属は天然では化合物として存在する。これが鉱石で、この安定な姿になろうとするのが腐食である。各金属の電位に序列があるが、環境によって変化する。例えばチタンはマグネシウムの様に活性な金属であるが、大気中では貴金属の様に耐食性が良い。理由は表面に不動態皮膜が出来るからである。

     鉄は水の「有る」「無し」でがらりと変わる。高温では水が無くても「乾食」が起こるが、水の存在下で起こる腐食を通常「湿食」と称する。鉄が水と酸素の共存環境で腐食するのを「さびる」、その腐食生成物を「さび」という。一般に酸素濃度が高いと腐食し易いが、港湾鋼杭では干満帯の部位に比べ干潮位直下は酸素濃度が薄く、酸素濃淡電池を構成して干潮位直下の部位に腐食が集中する。

     そして異種金属と接触している場合は、電位の低い金属は電位の高い金属の犠牲になって腐食が促進する。

     さびは美観を損ねて商品価値を下落させ、構造物は腐食により強度低下により耐久寿命が短縮し、可燃物タンク・配管の腐食は漏洩事故から爆発する可能性もある。

     鉄は希硝酸中では激しく腐食するが、濃硝酸中では金の様に腐食しないのは、鉄表面に不動態皮膜が生成されるためであると説明された。

     防錆・防食の対策について、下記の項目について具体例を挙げて説明された

  防食設計:次項の4つの手段と構造物のデザインやライフサイクルコスト等を総合的に検討する。

  耐食材料:環境に応じた材料(Fe-Cr11%など不動態皮膜強化、耐候性鋼)を選択する。全面腐食すると予測される場合は、予めさび代分を肉厚に加える。

  環境遮断:金属を腐食環境からめっき・溶融塩めっき、塗装、溶射などにより遮断する。防錆被覆では前処理が重要である。

  環境処理:環境中の腐食物質を除去。環境中に、乾燥剤、脱酸剤、防錆剤を添加する。大気環境での部品の保管にはDICHAN気化性防錆紙による包装が簡便である。

  電気防食:地中埋設管・港湾施設等に外部電極法、船舶の船底はZnAlなど犠牲陽極となる金属を用いた流電陽極法により防止する。これらの対策も1020年の経年変化における補修を考えて対策する必要がある。

     防錆協会の目的 ―錆による被害を撲滅すること−

昭和30年代初め輸出振興の花形ミシン、カメラなど輸出品にさびが頻発した。

産学官の協力で防錆協会が発足し、技術顧問の山本洋一先生の研究室に協会の試験機器が預けられた。まもなく電気試験所の一室に試験機を移動する時期に卒業したのでそのまま協会に研究員として就職した。

* 各種の防錆方法の効果を実証するため、さび発生の実験として各種防錆処理試験片を「巡航見本市船」に搭載を依頼し、中南米・東南アジア・中近東・地中海沿岸等の航路別の貴重なデーターが得られた。

* 防錆技術の普及が協会の使命なので、防錆剤の品質規格・試験方法・使用方法・用語のJIS規格作成、普及活動などにより通産大臣賞を受賞。

* 技術者養成のため、防錆技術学校を開設した。企業の若い技術者が参加でき易くするため通信教育を提案実施し、指導は技術士の方に協力して戴いた。

   欧米に追いつけ追い越せと海外視察にはアメリカ、ヨーロッパの超大橋梁の見学し、本四連絡橋の防錆塗装系や移動足場等の参考になった。

     また、マイアミの屋外暴露試験場などを参考にして、銚子に協会附属の大気暴露試験場[現:(財)ウエザリングテストセンター]を設置した。

     造船における防錆問題は山積しており、互いにライバル同志でもあるが共通の敵“さび”と戦うため、IHI,NKK,三菱重工,日立造船,浦賀船渠で造船会社防錆技術協議会を組織し、共通の課題を協議した。各社の長所、短所の補完によりお互いが勉強になり効果が上がった。

     船舶の予備スクリューシャフトの防錆には、アメリカ軍が使用した可剥性プラスチック(ベトナム戦争でライフル銃の保護に使用)が便利であった。飲料水タンク内面ライニングでは船揺れによるパンチングで剥離に悩まされたが、付着性向上のため共同実験を繰り返した。

     貨物船の甲板上蒸気管では、一航海で防錆塗膜とさびが瓦煎餅のように剥離するなど問題があった。実船実験により各塗料メーカー製品の一長一短を活かす工夫した。

     各社とも船底の藻や貝殻対策の苦慮話になると、山本先生の「アザラシやイルカの肌に付いてるいのを見たこと無い」の発言に皆爆笑。その後何年かして動物の皮膚を参考に、塗膜表面が経時的に表面が劣化して剥離し常に新しい面が現れる「鰻塗料」自己研磨塗料SPPを開発したところがあって感心した。船の抵抗も減少して殺藻剤や燃費の節減になり、地球環境にも優しくコストダウンと一石二鳥である。

※ 共催事業

* プレハブ建築協会:プレハブ住宅の品質は工場出荷時点でその耐久性が決まる。通産省からプレハブ住宅の防錆管理基準とマニュアルの作成を委託され、塗料会社の協力を得て完成し、それをテキストに各地で講習会を開いた。

* 腐食防食協会:腐食損失は1974年、25千億円、197739千億円と算出、しかし実質はこれ以上である。

     東電塗装安全協力会: 塗料飛散低減対策で、東京タワー(昭和33)33億円かかった。補修しないと20年で建て替えが必要、昭和53年時点で建設費用は500億円かかる。塗装費を20年間で補修費を30億円かけて現状が維持されている。

     高い鉄塔・煙突の塗装は塗料の飛散が問題で、東京タワーの場合はネットを使用しないと地上横風5mで上野の西郷さんの銅像まで飛散する。塗料の飛散は船積み待ち乗用車や茶畑農家への被害が発生、多額な補償費用が発生する。この飛散距離と塗粒の関係を笹目橋鉄塔の塗装で地上に大きな晒し布を広げ実験により指針作成。

※ 技術相談の受託を数多く実施してきた。 (延べ200300件)

・ 輸出・輸入時のさび発生原因と対策 ・建築配管の腐食原因 ・地中埋設管の腐食

・ 暖房用ラジエーターの塗装工場立上げ ・公務員住宅団地の給水管の腐食調査など。

 
2009

4/15(水)

ニューオータニイン東京(JR大崎駅)

「ゴルフクラブヘッドの製造方法・材料・性能及び最近の話題」

中原紀彦氏(横浜ゴム株式会社 スポーツ技術部)

◇ 講演内容

自己紹介; 平成元年に横浜ゴム株式会社に入社し、「スポーツ事業部」に関する仕事に従事してきた。具体的には、ゴルフクラブのヘッドとシャフトに関する生産技術・評価・構造設計・研究を行ってきた。日本技術士会には20083月入会。今回の講演をしようと考えたのは、自分自身はまだ若くて未熟ですが、横浜ゴム鰍ノ「中原」というゴルフのことを良く知っている者がいて、皆さんのお役に立てればと思ったからである。

◇内容;

   横浜ゴム鰍フ全事業の内、「タイヤ」が全体の7割を占めて、他に工業品事業部として、航空機部品、接着剤、ベルト、ホースなどの事業のほかにスポーツ事業として「ゴルフ」のみ「PRGR」のブランドで販売している。  

 ・ 最近のドライバーヘッドは非常に大きくなり容積は最大460CCある。ヘッドを大きくするとスイートスポットが大きくなる。ドライバーは、鋳造加工品と鍛造・プレス品がある。鋳造品はTi合金(TiAl6V4)でロストワックスの真空遠心鋳造法によって行い、鋳造後にカットし、ソール部分をレーザー溶接し研磨、完成する。鍛造・プレス品のフェース部は丸棒材から、荒、中、仕上げ鍛造で成型し、ボディ部は平板→ブランク→加熱→曲げ成型を経て、溶接して仕上げている。アイアンのヘッド部は主にSUS630のロストワックス鋳造で製造しているが、そのほかに鍛造品では軟鉄鍛造品がある。 最近のドライバーヘッド構造は中空で、その容積が400460CCで昔のヘッドの約2倍大きくなっている。

@ ヘッドの単一構造品は鋳造によるチタン合金であり、鍛造・プレス品はボディ部とフェース部がTiベースである。フェースの厚さは、2.53.0mmと変化させるなどにより機能、性能を高めている。

A チタン合金とCFRP(カーボン繊維強化プラスチック)の接合構造の場合、フェース側にチタン合金を使い、他はCFRPを使っている場合がある。接合技術が向上し十分に接着剤で耐えられるようになってきている。ただ、カーボンや薄い金属製の場合は、打ったとき気持ちの良い金属音が得難いため、内部構造を工夫し、リブなどを設けて打球音の音質を高めている。

  アイアンのヘッドは、フェース材料としてYAG350マルエージング鋼、1770M,455などの析出硬化型ステンレス鋼(極低炭素マルテンサイト鋼)を時効したものなどを使用し、ボディ材料はSUS630を使用している。その他軟鋼鍛造品はフェースとボディ両方に使われている。

・ ヘッド容積を大きくし、慣性モーメントが大きい設計、製造技術によってヘッドの性能が向上し打点位置がばらついても、飛距離が落ちなくなった。慣性モーメントを横浜ゴム製品の慣性モーメント38005700(g‐cm2)で比較した結果、5700の飛距離が、最大で約10ヤード向上し、左右の振れのばらつきが最大8ヤード小さくなっている。

 ・  こうしたヘッドの物性や性能(慣性モーメント)が向上しているので、アマチュアの方はヘッドの大きなものを使うと良い結果が出る。当然、打ち出し角度やバックスピンによっても飛距離が向上する。現在使用されている他社のヘッドの内部構造の比較や慣性モーメントの違い、製造工程や材質の違いなど、調査した結果を詳しく紹介された。

  「最近の話題」:最近、ゴルフの道具やゴルフボールの性能が向上し飛びすぎる。飛ばすための開発が中心であったが、ゴルフの規格を制定しているR&A(ゴルフ発祥の地「 St.Andrews 」にあるゴルフ協会)がこれ以上の高反発品の道具の開発は駄目としたこと、ヘッドの大きさも460CCが限度と決まった。従って、最近はこの流れに沿って個人に合った道具選び、如何に個人に「フィッティング」させるかに関心移っている。道具もクラブのヘッドとシャフトが別々に多数用意して選択できるなどの工夫がされているのが販売されている。

・  横浜ゴム鰍ナはフィッティングのための「ヘッド挙動測定器」を開発し、実際にその装置の前でスイングして、打点位置の算出、インパクトの瞬間のヘッドの状況、ヘッドが打点に至るまでの軌道の上下、左右の動きなど正確に捉えることのできる装置によって、プロも自分のスイングの確認や修正をしている。動画にて女子プロの古賀さん、男子プロの谷原さんなどのフォームを紹介、男子プロはヘッドも真直ぐで50/sec300ヤード飛ばすが、女子プロはパワーがないのでアッパー気味に打ちインサイドアウトに打って、パワーを補っている。こうしたクラブヘッドの入射角と進入角をフィッティングマシンで調べると、プロは全員、入斜角がスクエアかアッパーブローで、進入角がスクエアかインサイドアウトの範囲にはいっている。しかしアマチュアは色々なスイングをしている。例えばプロの正反対のダウンブローのアウトサイドインで打つ人が多いが、クラブのフィッティングだけで約10ヤード飛距離が向上する。さらにインストラクションによって約10ヤード向上するなど、フィッティングとレッスンを融合すればアマチュアゴルファーほど向上の可能性を秘めている。

こうしたインストラクションを行っている横浜ゴム鰍フPRGR Science Fit(銀座)が銀座一丁目にできている。是非、皆さんも来て頂けると幸いです。

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 歓迎会 【181020:30  司会  部会長    清水  進

1)開会のことば            理事     山崎  宏

2)新合格者の喜びの言葉               

芦村敏克さん、阿部真丈さん、上野英生さん、金岡淳二さん、斎木幸則さん、

小柳拓生さん、間野純一さん、望月一雄さん、柳沢郁夫さん、吉村泰治さん、

渡邊喜夫さん、佐藤智幸さん、野口利光さん

3)乾杯                名誉部会長  吉武 進也 

4)会食

5)出席者全員から一言

6)中締め                評議員   神戸 良雄 

 

 
2009

5/13(水)

 

日本技術士会会議室

「無電解ニッケルめっきの高機能化と環境対応技術」

齋木幸則氏(日本カニゼン株式会社基礎研究グループ)

1-1.自己紹介

1987年に当時、日本カニゼンの親会社であった小野田セメント梶i現:太平洋セメント)に入社し、中央研究所にて表面改質技術を研究。1997年に日本カニゼン鰍ノ出向し、研究開発室にて無電解ニッケルめっきの高機能化、環境技術の研究開発業務を担当し、この間に新製品の海外ライン立上げにも従事した。20094月から現職。200812月に技術士会に入会。

1-2.内容

1)カニゼンめっきの特徴:

「カニゼン」はC(K)atalytic Nickel Generationの略、ドイツ系の発音?頭文字「C」が「K」で「キャ」が「カ」と発音。カニゼンめっきは装飾用ではなく、工業用の機能、特性を必要とする電子工業や自動車産業で用いられている。例えばハーディスク、モータ軸、アクチュエーター、磁石、ヨーク、カバー、シャフト、ブレーキピストンなど様々な用途である。

電源を使わずに化学反応でNi-P合金を析出させるカニゼンめっきは、膜厚の均一性・耐食性・生産性が高いことから広く利用されるようになった。その理由は、電気めっきの場合は表面に金属結晶が粒状に析出、点在し、その結晶が成長していくが、カニゼンめっきはある点から核生成し水素が発生し、それが面状に急速に広がり、積層状にめっきされるのでピンホールが出来難い。この特徴を更に高度な機能、特性を持たせ、環境問題にも対応するための技術が求められている。ただ、薬品価格が10cm2×1μmでの比較は、電気めっき約0.15円に対しカニゼンめっきは1.0〜1.5円と高い。(析出硬度が高く、生産性が良いが、環元効率が低く、還元剤価格が高い。)

2 高機能化:Ni-P合金は、P%制御、複合化、合金化により高機能化することが出来る。

@ P%制御による高機能化は、低リン化(P=1-2%)で高温下の耐アルカリ耐食性が向上し、高リン化(P=12%)で耐熱非磁性が向上する。

A 複合化による高機能化として、SiC微粒子の場合、液が泥色になるが、めっき内に分散共析し複合化されて硬さがHv1200まで向上し耐磨耗性用途として応用される。PTFEの複合化は難しいが、界面活性剤を使用しきれいに分散させ、低摩擦係数が低下するのでプランジャーなどの無潤滑剤下での用途に利用されている。クラッチカムプレート、ワッシャーなどでは消音の効果が認められている。

B 合金化による高機能化として3元、4元合金の開発をしている。Ni-P-Cu Ni-P-Wの低抵抗温度係数から薄膜抵抗体皮膜として利用され、Ni-P-Bは熱処理なしで720HVと硬く、アルミとの非凝着特性が良いので、アルミ素材の摺動部材の表面処理に使われている。Ni-Co-P-Wは高温硬度が高く高温時の摺動性が良い。そしてNi-P-Zn(カニブラック)は光の反射率が要求される複雑形状の光学部品に優れた機能を発揮して、黒色皮膜としての用途が広がってきている。

C 還元剤・添加剤コントロールにより析出皮膜の形状制御をすることが可能で、LSI検査装置用プローブとして、アスペクト比の高いバンプ成型を行っている。これは添加剤の非線形拡散性を利用した技術である。ヒドラジン還元剤によって針状皮膜を析出させてモールド樹脂と接着力の強いリードフレームができている。

3)環境対応技術

  カニゼンめっきプロセスではPb6Cr等の規制物質を工程内で使用している。また、電気めっきとは異なり使用済み老化廃液が大量に発生する。この対策として規制物質の代替と長寿命化・リサイクル技術を開発してきた。

@ 規制物質の代替技術としては、安定剤のPbを別の金属(Bi等)に代替することがほぼ終了し、後処理剤で使用してきた6価クロメートの代替品も開発した。海外での立ち上がりの方が早く自動車業界では閾値内であればゼロにする必要はないとの考え方もある。

A 廃液量削減のための長寿命化は、選択的に老化物を除去する電気透析技術を実用化し、不純物金属蓄積による短命化対策には、溶媒抽出技術を利用し実現している。ただ電気透析膜が非常に高く交換サイクルが24年と短いので償却費・維持費が高くなる。アルミ合金用めっきでは前処理でアルミ表面にZn微粒子を析出させないとめっき反応は起こらない。従って、めっき液はZnイオンが蓄積することによりめっき性能が低下し浴寿命が短くなる。有機溶媒と混合しZnイオンだけを抽出する方法でめっき液の長寿命化を達成している。

B リサイクル技術は、老化廃液中に5-6g/L含まれているレアメタルのNiを、溶媒抽出法によりNiを回収し補給液として工程内リサイクルしている。Ni価格が高かった昨年秋までは良かったが、現在は価格が下がりコストが厳しい。溶媒抽出技術で抽出剤は高いが、ランニングコストは安い。リサイクルによっても廃液量は微増加し、その廃液中には有機酸とPが残っているため、酸化処理に費用がかかるので今後の課題である。

4)まとめ

  今後の課題としてカニゼンめっきには、微量重金属、炭素、グレインサイズ、配向性等の制御により新たな機能の発現が期待できる。一方、性能・環境・コストを意識した研究開発が必要である。

 

2009

6/17(水)

 

日本技術士会会議室

「町工場の三代目が技術士を目指す理由」

有限会社 小柳塗工所 代表取締役

1-1.自己紹介

中央大学理工学部・土木工学科を卒業し、平成4年に、(株)ザナヴィ・インフォマティクス(日立・日産の合弁会社)に入社。開発本部で日産自動車研究所から依頼されたカーナビゲーション機能(音声誘導、バードビュー)の開発を担当してきた。平成9年に家業の(有)小柳塗工所に入社し、専門外の金属塗装(特にカチオン電着)の基礎からはじめ、父の急逝によりその後を引き受けて、生産技術・設計・環境および設備対応などを行ってきた。平成12年より現職。

1-2.内容

1)(有)小柳塗工所の紹介

昭和34年設立されて現在、私で3代目である。都内(墨田区)で半世紀にわたり金属塗装を生業としてきた。自社設計ラインで静電塗装とカチオン電着塗装を得意技術とし、従業員7名で現在操業している会社である。受注も本年2月以降落ち込み厳しいが、静電塗装ラインを一般より短くした独自設計により、時間短縮をはかり効率を上げて、営業活動はホームページを中心に半分以上の受注をとっている。大企業と異なり、顧客は企業名ではなく技術を検索するのでHPのヒット率を上げるため仲間企業と連携し、HPの上部に、特徴をキーワードとして並べるなど、各種工夫と仲間との相互リンクを張っている。

2) 塗装技術について

工業塗装は屋内工場で専用設備を用いた塗装である。その性質上、素材、塗料、設備、生産システム、環境と多岐にわたる技術要素を必要とする。

中でもカチオン電着は、塗料に被塗物を浸漬して、電気泳動にて品物の表面に塗膜を析出させて、その後に焼きつけするもので、特徴は付き回りが良く、塗着効率も90%以上、水性塗料なので環境にも優しい。反面、設備が大がかりでイニシャルコストが高いことや常時、塗料を管理する必要があり、色替えが困難などの制約もある。

 (3) 塗装のトラブル事例

数十年稼働の工場内におけるトラブルは、配管の腐食、センサー接点の摩耗、チェーンの疲労破断、雨漏りなどのトラブルに直面するとともに、製品としては顧客からの依頼図面に反映されてない内容、例えば前処理工程が電着塗装に及ぼす影響、ダイカストの離型剤に何を使用したか、高温によるクリープ変形など誤った素材情報、板金のレーザーカット端面の酸化皮膜、ヘラ絞りの潤滑油の焼きつき、板金の仕上げ後のバリによって使用者が怪我をする事故など様々な出来事が現実には起こっている。

また、客先での環境対策や技術革新で製品の加工技術が向上しても、後工程にある塗装では、必ずしもそのことが好結果になるとは限らない。製品設計者は、最終工程となる塗装工程のことを良く考えて、素材から組み立てまでの一連の工程における設計について、より深い配慮が必要であると感じている。

4) 工業塗装業界の現況

  日本国内の塗装を扱う事業所は数万社あるが、それに対して何らかの団体に属する事業所は、数%に過ぎない。現状は工業塗装の組合に加盟する事業所も年々減少している。その理由は、工業塗装はものづくりの中間工程であり、儲けすぎると発注先に引き上げられ、結果的には大きくなれず、零細企業同士は特徴がないと仕事を取りあう。発注先からみて、塗装屋の存在価値は自分たちがやれない仕事や面倒な仕事、量的な調整などと考えられていて、結局はメーカーに取り込まれるか零細企業のままか、二極分化されている。

しかしながら組合は環境対策などの施策について行政と折衝するなど、重要な役割も果たしている。

5) 業界が抱える課題

  早急に対応すべきは、揮発性有機化合物、「VOC」の削減である。改正大気汚染防止法では、H12年ベースに対してH22年に3割削減を目標としている。しかしながら、技術的・コスト的にも困難であり、現実進んでない。また、団体に属さない事業所の取り組みが情報として入ってこない問題があり、塗装を扱う事業所の協力が今後不可欠である。

 6) まとめ

  塗装は、防食・装飾など「ものづくり」の一端を担っている反面、環境に大きな負荷を与えている。「VOC」削減をはじめとする環境対策は、業界の重要課題であり、課題解決には、塗料・設備メーカー・塗装事業者の協力とエンドユーザーの理解が必要である。また、塗装事業者が業界としてまとまるために、世間への周知と鳥瞰的な立場での情報発信が必要であると痛感している。

 
2009

7/15(水)

 

日本技術士会会議室

「化学プラント関連」

山本栄一氏(山本技術士事務所)

1) 自己紹介

1970年に千代田化工建設(株)入社。研究所、圧力容器製作部門、エンジニアリング部門で材料・溶接技術業務

担当。2000年に千代田アドバンスト・ソリューションズ(株)に入社。プラント・エンジニアリングおよび設備診断コン

サルティングに従事。2007年に技術士事務所開設。千代田アドバンスト・ソリューションズ(株)ビジネス・パートナ

ー、(株)タセトおよび栗本鐵工所(株)の技術アドバイザーの他、関連学協会関連の活動をしている。

技術士金属部門-表面技術(1997年)、総合技術管理部門(2003年)、技術士会入会(2004年)、金属部会

入会(2009年)。本日出席されている金属部会の橋本哲之祐様は前会社上司、都島良治様が2年後輩です。

2) 概要

  石油精製、石油化学および化学などのプロセスプラントは腐食環境や高温・高圧条件下で運転される。こ のため、プラントを実現するためには圧力容器や配管の構成材料がポイントであり、金属材料の開発がプラント建設を可能にして来たと言える。

  プラントの材料選定には耐食性や強度を満たす他、構造物製造のための加工性、材料入手性や経済性が重要である。ほとんどのプラント設備は関連法規の規制を受けるため、例え、優れた耐食性や強度を有する材料でも、実用には法規・規格で認められていることが必要である。狭義の材料選定は材料の種類や材料規格の選定であるが、広義の材料選定(マテリアル・エンジニアリング)は使用中の劣化や損傷防止を目的として化学成分や機械的特性についての特別規定、溶接部の材質改善や残留応力除去のための熱処理および防食設計などについて適切な対応策を得る総合技術である。マテリアル・エンジニアリングではプラント設備の損傷防止が重要であり検討すべき事項が多い。圧力容器や配管については強度面について法規・規格が整備されているが、腐食損傷については影響因子が多いためもあり体系的な技術データが多いとは言えない。過去の損傷事例などから使用限界が決定されるケースが多く、設計余裕度にはかなりバラツキがある。

  最近は、国内外において、長期間運転された高齢プラント設備の保全技術についての取組みが活発である。損傷

   防止は、設計段階での効果的なマテリアル・エンジニアリングと体系的なプラント保全により達成できるものと考える

     プラント・エンジニアリングにおける材料技術者の役割は、研究者の立場からマテリアル・エンジニアリングを遂行す

   るマテリアル・エンジニアとしてプロジェクトに密着した業務が必要になってきており、従来に増して、幅広い材料技

   術分野やプロセス、設計、プロジェクト・エンジニアリングなど周辺技術分野についての知識・経験が求められている。

 
2009.

8/19(水)

ニューオータニイン東京

幹事会

     
2009

9/16(水)

日本技術士会

「CO2削減と自動車材料技術」

加辺友文氏(日産自動車株式会社)

 

1.自己紹介

2001年に日産自動車鰍ノ入社し、材料技術部にて自動車車体、シャシー用材料開発に従事。具体的には車体・シャシーの軽量化に必要不可欠な高張力鋼板の開発、異種金属接触腐食防止技術開発を担当。

2.講演内容

2-1 地球温暖化とCO2排出の現状

自動車メーカーは、クルマの生産から運搬、クルマの走行時など、クルマと事業活動に関わるあらゆる段階でCO2排出量を削減する努力をしなければならない。クルマの一生を通してCO2排出量の現状を見てみると、走行時がもっとも多く、この走行時のCO2排出量を減らす取り組みこそが、最優先課題となっている。

2-2 CO2排出削減への取組み

自動車メーカーは、CO2排出量を大幅に削減させるため、ガソリン車の燃費を大幅に向上させると共に、ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車の開発を推進している。また、実際の走行によるCO2を削減するために、エコドライブをサポートする技術の導入や啓発活動、地域・国・他業界との連携による交通環境の改善などにも取り組む必要がある。クルマの燃費向上方策としては、以下のような方策がある。

2-2-1車両軽量化

近年、衝突安全性、運動性能向上等の為、車両重量が増加傾向にある。車両の軽量化方策としては、構造合理化と共に高強度、軽量材料への材料置換が必要である。最近の傾向としては、鉄鋼材料では費用対効果に優れる高張力鋼板の適用が拡大する傾向にある。 軽合金では単なる材料置換は軽量化効果が大きい部品または付加価値の高い部品等に限定される傾向にある。今後、軽量化のさらなるコストパフォーマンス向上が必要である。

2-2-2エンジン効率向上

ガソリン車の場合、燃料エネルギーのうち、軸出力に使われるエネルギーは約20%しかなく、その他は、熱、フリクションとして損失している。これらの損失を改善する技術開発が必要であり、近年盛んに行われている。

2-2-3    車両の電動化

 モーター、インバーター、バッテリーは電動車両の共通技術であり、特にバッテリーは航続可能距離、加速、コスト、居住性に大きく影響する基幹技術である。電極材料、電解質、パッケージングなど材料技術によるさらなる性能向上が重要である。

 
2009

10/16(水)

見学会「東北大学 金属材料研究所」

金属部会では、かねてより東北大学金属材料研究所の見学会を希望しておりましたところ、平成21年10月15〜16日に仙台市において、第36回技術士全国大会が開かれます。この第2日目の午後を利用して、金属材料研究所見学会を企画したところ、東北大学のご厚意により実現する運びとなりました。 周知のとおり、東北大学金属材料研究所は金属工学のメッカであり、見学により最高峰の金属学に接することができます。当日は、鉄鋼及びチタン合金の組織制御関する研究で世界的に著名な古原忠教授にご講演いただきます。

      日時:平成21年10月16日(金)13時〜16時

       見学先:東北大学金属材料研究所 宮城県仙台市青葉区片平

       集合:本多記念館前 12時55分集合

       見学スケジュール:

              13時〜13時30分 金属材料研究所の概要

                13時30分〜14時10分 ご講演(金属組織制御学研究部門など)

       14時15分〜14時35分 計算材料学センター見学

       14時40分〜15時00分 極低温センター見学

       15時05分〜15時25分 金属ガラスセンター見学

       14時30分〜16時00分 本多記念館などの見学

       解散:現地 16時頃

       定員:15名程度

       参加費:無料(先方への土産代、謝礼は部会負担)

      
2009

11/18(水)

日本技術士会

「最近の発電設備の現状とその溶接」

藤田善宏氏(株式会社東芝 電力システム社 京浜事業所 溶接センター)

 
2009

12/16(水)

ニューオータニイン東京

幹事会