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金属部会例会予定及び講演概要 |
(2006予定及び概要)
| 日時 | テーマ | 講師 | 所属 |
| 概要 | |||
| 2006
1/25(水)
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新年会
(ニューオータニイン(JR大崎駅)) 4F ももきりの間 出席者(敬称略): ご来賓 : 都丸徳治会長、竹下功専務理事、畠山正樹常務理事、 化学部会(北本達治部会長、植村勝評議員)、金属部会(吉武名誉会長以下22名) 以上 合計30名
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二期会加藤江美女史のソプラノ歌唱に続いて、昨年の物故者(飯田堅太郎氏、間瀬一夫氏、稲垣道夫氏、宮嶋信雄氏)に黙祷を捧げた後、懇親会を開催。部会長の挨拶に続いて、来賓のご挨拶を戴いた。 都丸徳治会長からは、技術者の信頼を高めるため「技術士」の質の向上と知名度を高め、世の中に役立つ「日本技術士会」にするためには倫理観と継続研鑽が重要性であると述べられた。竹下功専務理事からは5年前の法改正後の受験者数の増加を受けて試験合格率のアンバランスや試験問題の改善及び入会者の拡大が課題であり、協力を要請された。畠山正樹常務理事からは金属部会開催の講演会などに参加、昨年11月にはトヨタ自動車、香嵐渓の見学会に同行、金属部会員との懇親など大変有意義に過ごし、今後も会員皆様方との人的交流を重視したいとのお話を伺った。 吉武進也名誉金属部会長による乾杯の音頭に続いて、宴会を開始。始めに加藤女史が技術士にぴったりの歌として「地上の星」を選曲し法領田女史の伴奏により歌い、続いて都丸会長と加藤女史のデュエットで「琵琶湖就航の歌」を素晴らしい声で歌い上げた。遠い大雪の福井市から今年もご出席された海崎様がご自身で持参した「LA TRAVIATA(椿姫)」 第2幕「乾杯の歌」より、をイタリア語で加藤女史は片手にワインカップを持ち踊りながら海崎様とデュエットで歌い上げ、引き続き、青年時代の思い出の歌「四季の歌」「若者達」「ヘッドライト・テールライト」などが歌われた。 ここで恒例の出席者の近況報告に移り、各自の現状や経歴などに続き今年度の抱負・決意表明、またそれぞれの率直な考えなど思い思いのお話が披露され大変に盛り上がった新年会となった。 神戸副会長の閉会の挨拶と継続研鑽に必要な研究会、講演会の案内として「第16回情報・マルチメディア研究会 例会」「第12回環境・安全・品質マネジメント研究会 例会」「中小企業に対する各種支援事業について」「新素材の開発と利用の動向」などの紹介があった。 最後に奥村評議員の(社)日本技術士会と金属部会の発展と出席者の健康を祈念して、力強い3本締めの音頭により全員の手拍子にり新年会を締めた。
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| 2006
2/15(水) |
「〜技術士自営への道〜「ビジネスマッチング裏話」」
名取達雄氏 名取技術士事務所 |
* 講師は日立製作所機械研究所で鋳造・金属材料・金属加工・表面処理・圧縮機の開発、独立法人産業技術研究所で半導体の開発など担当し、退職後の平成15年5月に名取技術士事務所を設立した。 * 今回の講演はご自身の退職直後から現在に至るまでの過程において、技術士事務所を設立した後の苦労話と、現在日本を底辺で支えている中小企業及びベンチャー企業が、新開発技術・新製品の売れ行きが良くないため大変に苦労している状況から、これら中小企業をビジネスマッチングの面で支援し、産業界の役に立つにはどうしたら良いのか、これまでの努力の経過、体験、感想を述べ、皆様のご意見をお聞きしたい。 * 技術士資格を何とか取りたいと願って挑戦し、在職中、日立の合格発表会ではいつも合格側にいなかった。同僚30人ほどの熱心な応援を受けたが、定年まで合格できずに失意の退職となった。定年後、産業技術総合研究所に採用され、SiCの製造研究に関っていた。その時期に挑戦し金属部門に合格した。その嬉さと、技術士の資格が得られたことで、産総研を退職してしまったことが失敗だった。早速、駅前に事務所をオープンし仕事をしようとしたが閑古鳥が鳴いた。毎日が不安と焦燥の日々を過した。仕方がないので、以前経験した塾の講師や、護身術の稽古までして警備員の仕事、信楽焼の陶器の売り子まで経験した。あるとき講演会の会場で技術評価会社の社長と邂逅した。それを契機にこの会社に採用され、技術評価の仕事を担当することになった。助成金交付の企業を訪問し、試作品は完成したが商品としては未完成のために売れないと悩む多くの中小企業の社長を支援してきた。 商品が売れない理由は幾つかあるが、特に社長の意見に反対できないためである。マッチングの未来は「薔薇色」だが、現在は「棘の道」である。そして多くの場合失敗してきた。マッチングの失敗例として、開発商品を社長始め5名で、ある大手企業に商品売り込みに行ったが、相手の部長が途中で携帯に出たことに腹を立てた社長が帰ってしまい、商売が出来なくなった。それでもこの社長は全く反省がない。マッチングの成功例は少ないが、ある会社の現場の工場長は非常に無愛想で、何回行っても取り合ってくれなかったが、何回も通う内に酒好きなことなどがわかり、飲んだ後、話をしてビックな商談に成功した。この時もリップサービスで余分なことは言わないことである。この成功例はニーズ調査から、長期の活動によって積み上げ、現場を100遍見て思い詰めずに根気良く行うことで成功した例である。中小企業経営者は後継者問題で悩んでいる。マッチングを成功させるのは豊富な人脈が重要であるが、知り合いに持っていく時は注意が必要で、失敗するとこれまでの関係が途切れる。従って、未知の人との遭遇を楽しみ、新しいパイプを作ること。自分の体験から、1に「行動」、2に「根気」、3に「忘却」が大切である。アクティブに働けばチャンスにめぐり合う。今後も「一隅を照らす」気持ちでマッチングの道を歩んで行きたい。
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| 2006
3/22(水) |
「世界の鉄鉱石資源と利用技術」
稲角忠宏氏 稲角技術士事務所東京大学総合研究博物館・事業協力者 |
* 講師は稲角技術士事務所を開設東京大学総合研究博物館研究・事業協力者、環境資源工学会監事、鉄連原料規格三者委員会委員協材興業(株)特別顧問等をしている。 * 新日鐵・高炉部門高炉原料分野で研究、技術開発、工程試験・品質管理、工場長職や所内発生物循環利用技術の開発等の業務を30年にわたり担当した後、退職後に全高炉ミル団体の海外製鉄原料委員会において事務局長として、世界の資源調査業務8年を経験、原料の利用と供給の両面に立場を変えてみる機会を得た。今回はその調査結果を東大博物館に寄付したところ、それをボランティアベースで整理を依頼された内容を紹介する。 * 鉄鉱石資源は一般に非鉄金属鉱石資源に比して格段に量が豊富で、かつ高品位で大規模な鉱床が存在するという特長がある。これら世界にひろがる鉄鉱石の多種多様なさまや品位差・性状差、量・質偏在の地質学的所以など世界各地の資源事情のちがいを地政学的に整理した。そして、過去の鉄鋼生産拡大過程において、このような地域によって異なる鉄鉱石がどのように使われてきたか、変化の過程を歴史的に検討してみた。欧州で人類は始めて産業革命とともに近代的な鉄鋼量産技術を確立したが、その後アメリカが欧州を凌駕して20世紀前半に世界の主産国となって生産を伸ばし、さらに第二次世界大戦後は資源小国日本が欧米に対抗できる画期的鉄鋼生産スタイルを確立し、それが現代世界主流の鉄鋼生産方式となって20世紀後半の鉄鋼生産伸長を可能としてきた。それら各時期の生産飛躍は、古代のルッペ直接製鉄法から溶銑・溶鋼の間接法への鋼多量生産方式に至る一連のプロセス革新によって可能となってきたのである。 実は、原料の観点からその変化を追うと、その革新は、量的には豊富にあるが、各技術開発時点までその利用が難しいとされた原料の活用を可能とした事例が多い。資源小国日本が国際競争力をもてた一因もその事例のひとつで、従来の鉄鉱石のキャプテイヴ・マイン供給方式とは異なる、グローバルな貿易鉱石供給ソースを開発・確立しつつ、それまで充分に利用されてなかった粉鉱の完全活用を可能とし、かつ高炉操業を改善する自溶性焼結鉱技術の実用化と、その多量使用可能な高炉操業を確立したことにある。これら日本と欧米の歴史的事例をいくつか紹介した。なお、これらの解析結果からみると、今の中国の生産拡大は過去の典型的事例とは性格が異なる変革である。 「原料を大切に考え、効率的に資源を無駄なく生かしてきた」日本の風土・伝統と創意工夫力が、今後の地球資源問題解決に必要ではないかと考えている。
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| 2006
4/19(水) |
「サハリンの原油タンク」
笹口裕昭氏 笹口技術士事務所 |
* 講師は笹口技術士事務所を開設しLNG、LPG、原油等各種貯槽タンクの設計,施工計画・管理を中心に国内、海外プロジェクトのエンジニアリングを専門にご活躍されています。サハリンプロジェクトUには2003年当初から参画し、石油大型タンク製造のため、極寒の地であるサハリンに駐在しプラント施工の技術指導及び監理を行ってきました。 * 一次エネルギー供給は、嘗ては石油があと数十年で枯渇するという危機感があったが、今は原油や天然ガスの採掘技術が向上し、世界の確認埋蔵量も増えている。現在はカスピ海、ベトナム、サハリン、シベリアなどが注目されている。 サハリンUは島内を縦断してパイプラインで原油と天然ガスを輸出基地まで運び、タンカーで搬出ができる。しかし、このパイプラインは鮭や鱒の遡上する多くの川をまたがり、また現在100頭余りしか生息していないといわれているコククジラのいる海で油やガスを採掘しており、素晴らしい自然環境の写真−1)で開発をして良いのか?と、自問自答しながら監理業務をしてきた。 今回担当した原油タンクは直径94m×高さ18mの十万KL、ダブルデッキの大型タンクである
(写真−2)。このタンクはサハリンの輸出基地に設置するもので、2004年10月から底板の溶接作業を始めた。冬季、マイナス20℃は当たり前の地であり、溶接後の検査も底板を予熱して真空箱検査を行った。底板と側板は並行して作業が行われるが、側板の付属品やR曲げは工場で加工してから現場に搬入される。現場の溶接は全て風雪対策用の溶接ケージ内で行なっている。(写真−3)
側板は一段が3mの高さで6段を積んで終了する。組立終了後は水を張り、浮屋根(ポンツーン)が少しずつ浮き上がる(写真−4)。こうして大型原油タンク2基が完成し役割を終了した。 * 講師は業務の話以外にサハリンの歴史にも触れられた。日本は豊臣秀吉の時代から樺太と交流があり、間宮林蔵の探検の後、交流が盛んになった。1855年の日露和親条約により、日露両国の所有となった。1875年樺太、千島交換条約で樺太はロシアに、千島は日本となった。1905年ポーツマス条約で樺太の北緯50°以南が日本領土となった。1920年ロシア革命、日本軍がそれに乗じて樺太に侵攻、自治州を設立。1925年日ソ基本条約、1941年日ソ中立条約、1945年8月8日ソ連は日ソ中立条約を破り参戦、1945年8月22日ソ停戦条約(ポツダム宣言後)の後、日本人の引き上げが始まった。1951年サンフランシスコ平和条約、ここで日本は樺太の領有権を放棄し、以後サハリンは外国人立ち入り禁止となる。1989年ペレストロイカによって、外国人立ち入り禁止区間が開放された。 また、現在のサハリン、コルサコフ(大泊)の市内で日本統治時代の名残としては、拓殖銀行の建物が唯一残されている(写真−5)。またコルサコフ博物館の館長の案内で、旧大泊中学校跡地に「奉安殿」を発見することができた(写真−6)。 * 技術的なお話に加えて、歴史に関する興味をかきたてる話題で、特に当日出席された渡辺孫也氏が旧樺太のお生まれだという紹介もあり、大いに盛り上がった。
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| 2006
5/17(水) |
「金属射出成型法によるものつくり」
神藤典一氏 神藤技術士事務所 |
* 講師は工業用ミシンメーカーのJUKI鰍ノ33年間勤務、その間、調布の研究所で研究開発業務を行い、1972年、今から35年前に専門科目は表面処理技術で技術士に合格した。精密機械メーカという立場から金属・非金属材料・処理以外の機械要素や機械の信頼性設計などに取り組んできた。本講演では粉末冶金法の一つであり、最近かなり実用化が進み、高密度で機械構造部品に使用可能な金属射出成形法(MIM法)について取り上げた。 * 金属射出成形法は粉末冶金で不可能と言われた3次元形状の高精度、高密度の金属部品を大量生産可能にした。この原理はM.A.strivensの米国特許に始まるが、実用化が確立したのはR.E.Wiechの米国特許による。日本には約20年前に伝えられ、実際の量産は10年ほど前からである。これにより金属やセラミックスの新しい機能材料が安価で容易に生産できるようになった。しかし、実生産ではMIM生産各社は特許問題を抱えながらも、粉末の性状やバインダーの種類、配合比率、混錬方法、収縮率を見込んだ金型設計、射出条件、バインダーの脱脂条件、焼結法など条件を探りながら生産体制の確立に取組んでいる。 * MIM製造法の基本は、球形の微細金属粉末を如何に製造するかである。微細金属粉末製造法の中で、ガスアトマイズ法では真球に近い、平均粒径5〜10μmの球形粉が得られる。この粉末を熱可塑性樹脂とパラフィンワックスなどと混練する。そして混錬によって得られる粘性のある餅状の混錬物を、造粒装置で3×3mmのペレット(粉砕の場合もある)にして25〜200トン成形機にて射出成形する。成形機は一般のプラスチックス射出成形機に耐摩耗対策を行った上で使用する。成形したものは、グリーンパーツと呼ばれて次の脱脂工程に進む。成形後の材料(グリーンパーツ)を脱脂する方法は、様々な方法があるが、一般的には加熱或いは加熱加圧脱脂法で行う。その他、溶剤脱脂法等を用いる。講師が考案設計した溶剤脱脂装置は、完全クローズドシステムで、安全で自動処理が容易であり、かつ大量処理が可能である。この工程で殆どのワックスが除去される。脱脂後の焼結過程で、残存しているポリマーが蒸気となって除去される。脱脂のトラブルには、変形、ボイド、引け、クラックや表面ブリスター等があるが、一番問題なのは、焼結工程でバインダーが残留すると炭化し、材料に吸収されて含有炭素量が上昇することである。これにより融点が下がるために溶解現象がおき、蒸散した金属蒸気が炉内を汚染するなどの問題を生じる。含有炭素量をコントロールするには、平均粒径の異なる数種類の粉末を混ぜ合わせる。この結果、SUS316Lの場合では、炭素量を0.03%以下にコントロール出来るようになった。そのために焼結温度のアップが可能となり、相対密度99.13%(現在は99.89%まで可能)が得られ、衝撃値も溶製材と同等レベルになった。この物をイオン窒化した所、表面に明確な白層が生じ、表面硬さもHV1000が得られた。現在この製造法によって、工業用ミシンの精密部品や自動車エンジン部品等の大幅なコストダウンが図られている。
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| 2006
6/21(水) |
「鉱山・金属精錬における企業の社会的責任(CSR)について」 山本道晴氏 新日鉱ホールディング株式会社
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* 講師は、日鉱金属(旧日本鉱業)に入社以来、銅合金の材料開発、溶解・鋳造、焼鈍、圧延等の生産技術の開発に従事した。2002年よりNEDO技術開発機構に出向、ナノテクノロジー関連した国家プロジェクトを推進した。2005年より日鉱金属にて非鉄メジャーと鉱山・金属製錬における持続可能な開発に関する進め方の協議に参加するとともに、社内ではCSR推進委員の事務局に従事。更に、新日鉱ホールディングスにて環境・リサイクル技術の開発を担当している。 * 近年、海外では鉱山・金属製錬会社を中心に持続可能な社会の実現に向けて、「生物多様性の問題」「原住民対応」「資源の有効利用」などの課題に取り組んできており、また国内でも多くの企業不祥事の反省等からCSR(企業の社会的責任)に取り組みも活発化してきている。そこで、@日本の金属資源事情及び鉱山のリスク事例により現状を把握し、A持続可能な発展及び、BCSR及び会社でのCSR活動状況を紹介する。 * 金属資源である銅、亜鉛、ニッケル、マンガンは日本で多く使用されているが、その全てが輸入でまかなわれている。企業が鉱山業を続け、国が鉱山業を必要とする理由は、金属製錬までの利潤の大部分が川上の採掘、採取の部分であり、素材の安定供給が必要なためである。一方、環境や地域住民の生活に大きく影響を与える。例えば、Newmont社(米産金会社)は、尾鉱処理を海底投棄の認可深さより浅い地点に放流していたため、地域住民に多大な健康被害、漁業被害が発生した。 * 持続可能な発展とは、「現世代のニーズを満たしながらも、将来世代がそのニーズを満たす可能性を脅かさない」と定義されている。地球規模での環境保全に関する世界の動きとして、1972年ローマクラブが「成長の限界」を発表、資源枯渇や環境悪化の警告し、1987年国連のブルントブラント委員会の最終報告「我ら共通の未来」の中で「持続可能な発展」を中心概念と位置付けた。また、2001年には、非鉄メジャーが中心となって、国際金属・鉱業評議会(ICMM)を設置し、持続可能な発展のため、鉱山における資金の流れの透明性、ライフサイクル分析やリスク評価、先住民対応及び地域住民とのコミュニケーション、土地利用計画、生物多様性保護等の諸課題に取り組んでいる。 * 日鉱金属がCSRに取り組む理由は、鉱業・非鉄製錬を取り巻く情勢、社会の関心の高まり、こうした状況を踏まえて、経営陣のCSR活動への取り組みの強い意志が働いたためである。日鉱金属では、2002年から環境報告書を発行しているが、2005年度からCSR推進委員会を設置し、具体的な活動はその下部組織であるコンプライアンス及び持続可能性報告ワーキンググループにて、行動規範等コンプライアンスの再整理、利害関係者とのコミュニケーションを高揚させる等の活動方針を立て、報告書を作成することによって課題を抽出することにしている。なお、今後の課題は、継続した活動を推進すること及びそのシステムを構築することである。
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| 2006
7/19(水) |
「航空機整備における金属材料の修理」 高科健太郎氏 日本飛行機株式会社 |
* 講師は東海大学大学院を卒業し日本飛行機(株)に平成14年入社されました。大学院時代の研究はPZT素子、チラノ繊維の電子線照射による引張り強度改良、形状記憶セラミックス、アモルファス金属などの研究をしてきましたが、日本飛行機(株)に入社後は、厚木基地の隣地にある航空機整備・改造を行う航空機整備事業部の特殊工程である、溶接、溶射、表面処理などを行う部署に配属され現在に至っています。 * 日本飛行機には航空宇宙機器事業部と航空整備事業部があり、航空宇宙機器事業部は主に航空機部品の製造と宇宙機器の部品の製造を実施しており、航空機整備事業部では航空機の整備及び改修を実施しています。私は航空整備事業部の生産技術グループで特殊工程(溶接、表面処理、熱処理)などの作業指示を行っております。本講演では、あまり知る機会がないと思われる航空機の整備・修理作業および金属材料部品の修理方法について説明を致します。 * 航空機の整備とは、耐空性を維持するための作業であり、定期整備、修理作業、改修作業の3つの内容がある。定期整備は、航空機の信頼性を維持するため種々の整備作業(整備要目)を定期的に実施することであります。各々の整備要目の実施間隔は様々で、まとめて実施した方が効率的なものは機会(整備の段階)を設けて同時に実施する。修理作業は、飛行中や地上での定期整備の点検中に発見された不具合の部品の交換・修理を実施することである。計器、システム、などの不具合は、それぞれの装備品を交換することによって修理される。また取り外された装備品・エンジンなどは担当の整備工場へ送られ整備される。機体内の配線、配管等については機体に取り付けた状態で交換・修理をする。改修作業は、航空機および装備品等が、設計通りの強度、機能或いは寿命を発揮できず種々の欠陥を生じた場合、これらを改善するために原設計の変更ならびに改修作業を実施することである。 機体は大きいので簡単には動かせないので、飛行場(エプロン)から工場(ハンガー)に入れ、ペンキは全てはがした上で分解作業を行い、欠陥箇所の補修やNG箇所の取替えなど修理改造を行う場合が多い。整備作業が完了したものはフライトチェックをする。備品の場合は修理可能なものはショップメーカに送り修理し、分解できないものは代替品を取り付けることになる。 航空機整備事業部では、定期整備などでの検査により発見された金属材料部品の不具合などを修理する場合は、Doubler修理やBushing修理などが主に実施されている。例えば航空機の機体外板に発生したCrackの修理では、Doubler修理が実施される。本修理の場合には顧客および航空機製造会社より指示されたSRM (構造修理マニュアル)に従い規定範囲の不具合について修理する。Crack及びCorrosionなどのダメージをNDI(蛍光探傷・超音波探傷・渦流探傷)にて確認し、SRMに従い不具合箇所を除去し、製作したDoublerを取り付けます。また、航空機の室内のラックやエンジン周り、配管のCrackおよびScratchの修理では溶接での肉盛り修理なども行っている。バードアタックなど航空機は予測できない事故が起こり、その対処の仕方は現物をよく観察・検査し適切な修理や改造を行っている。
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| 2006
9/20(水) |
「ドイツ、アメリカにおける燃料電池車輌関連水素利用技術の開発と法規制の状況について」 木村英隆氏 株式会社日鐵技術情報センター |
* 講師は昭和60年、新日本製鐵(株)入社後、ステンレス鋼厚板の研究開発に約18年携わった。その後、水素用材料の研究開発に移り、高圧ガス保安協会に出向し、NEDOおよび経済産業省の委託事業で、高圧水素中材料試験、海外調査、水素容器用CFRP試験等に関与した。本年5月より、現職で鋼材等の知財管理業務に就いている。 * 経済産業省委託事業の一環として海外調査した内容(「高圧ガス」誌2006年1および3月号投稿記事)を紹介する。 日本、ドイツ、アメリカの3極で、燃料電池車関連の水素利用技術開発と関連法規策定活動が、盛んである。 日本は経済産業省の経済支援のもと、世界に先駆け、35MPa高圧水素ガス車載に関わる法規改正と技術基準策定を行った。また、NEDO委託事業では、水素利用に関わる各種技術開発が行われている。燃料電池車ではトヨタ、ホンダ、日産が独自に先駆的な開発を行っている。さらに、JHFCプロジェクトでは、燃料電池車の公道走行試験、水素ステーションの運用がなされ、貴重なデータ蓄積が進んでいる。 * ドイツでは、連邦政府よりも民間企業が主導的に、水素利用技術開発に取り組み、燃料電池車では、DaimlerChryslerとGM/OPELが70MPa高圧水素車載または液体水素車載を、水素燃焼エンジン車では、BMWが液体水素車載を前提に研究開発を進めている。水素ステーションでは、ガス会社であるLindeが、液体水素および70MPa級高圧水素充填機器類の先導的技術を保有しており、日本の水素ステーションや液体水素プラントでも一部技術導入されている。水素中材料データは民間企業或いは連邦政府研究機関が保有して公表しない方針である。DaimlerChrysler、GM/OPEL、Lindeはいずれも意欲的に世界戦略や将来ビジョンを公表し、中国市場を狙った動きも見られる。法規策定は、EUとして液体水素または70MPa高圧水素車載を念頭に、活動が進められている。 * アメリカでは、2003年大統領教書演説の後、大型国家予算が組まれ、過去の水素利用関連データの整理と、新規試験設備の整備が進められている。関連法規に関しては、カリフォルニア州政府と民間企業の共同体で燃料電池車と水素ステーションの実証試験を行っているCalifornia Fuel Cell Partnershipでの自主基準・規制が、各州の事実上の標準となって行くと考えられる。現在、ASMEや国立研究所が中心となり、15000psi (105MPa)級の高圧水素充填を考慮した材料試験データの採取が進められている。特に「破壊制御設計」を基準に盛り込むべく、Sandia国立研究所は世界最高圧力レベルの200MPa高圧水素中静的破壊靭性試験機を用いてデータ収集を行っている。その結果は、ウェブサイトで順次公開される。尚、ASME研究会の中で、高圧水素中動的特性データ取得の重要さも議論されたが、むしろ日本のNEDO委託事業のもとでの100MPa級高圧水素中引張り/疲労試験機整備の方が先行している。すなわち、期せずしてお互いの試験体制は相補関係にあり、協力できれば技術基準策定を迅速に進められる可能性がある。 * 今回、日本の「技術士」に相当する“Diplom-Ingenieur”(ドイツ)または“Professional Engineer”(アメリカ)と名刺に記した多くの技術者と面談した。彼らの自信と意欲にあふれ、公平で責任感を持った態度に感銘を受けた。技術士試験受験直後であったので、ぜひ技術士を取得し、海外の技術者と対等の立場で議論したいと思った。
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| 2006
10/18(水) |
「アルミニウム複合材料開発」 上井久雄氏 (株)曙ブレーキ中央技術研究所 |
* 講師は昭和51年千葉工業大学工学部金属工学科を卒業し、曙ブレーキ工業鰍ノ入社、アルミニウムの鋳造法に関して金型鋳造の生産技術、高圧鋳造の生産技術、アルミニウム基複合材料の開発などの金属加工を行い現職に至っている。 * アルミニウム基複合材料(MMC)の複合化方法としては鋳造法、加圧法、非加圧法など色々な方法で実施されているが、現在は鋳造法、加圧浸透法が生産の主流となっている。今後は粉末冶金法や反応浸透法へと移行するものと考えている。MMCの市場については自動車部品への適用は一段と進みつつあるが、自動車以外の部品への適用事例も広がっている。例えば高速プレスのスライド部は軽くて高速化が可能であり、工作機械部材や半導体装置の部材は軽くて熱膨張が小さいなどの特徴から使用されている。アルミニウムMMCはその特徴を生かした電装部品や精密機械部品へと展開するものと思われる。しかし、MMCは量的にも技術的にもこれからの技術であり、地道な研究開発が必要である。 * 米国のLANXIDE社が開発した非加圧浸透法は加圧や減圧処理を行わずに溶融アルミニウムをセラミックスに 浸透させることができる方法であり、セラミックス強化材の体積含有率の高いMMCが製作でき。強化材の偏析 の少なくコストパフォーマンスの高い製法である。 * 今回は講師らが開発した「非加圧浸透法による自動車用ブレーキディスクロータの開発」はMgおよびN2雰囲気で加圧や減圧を行わずに、溶融アルミニウムをセラミック成形体(プリフォーム)に浸透させる方法である。 特徴はアルミナ粉末の表面は溶融アルミナが濡れ難い性質があり、その濡れ性を改善するためにアルミナ表面にMg3N2層を形成する。この層は熱力学的に不安定であり、安定なAlN膜が形成される。この反応が繰り返されてアルミナ粉末の微細な間隙まで毛細管現象によってアルミニウムが浸透する。これによって製作された材料の特徴は強化材の体積含有率(Vf)を30〜70%と任意に選定でき、強化材はAl2O3、SiC、Si3N4、B4C等の粒子や繊維が選定可能である。また、製造方法はAl2O3とバインダーを攪拌し、金型にてブレーキディスクロータ形状に成形し、炉内でMg+N2雰囲気、温度750〜900℃でアルミニウムを浸透させる。作成した製品の機械的・物理的特性は鋳鉄(FC200)と比較し、引張強度、疲労強度、縦弾性係数に優れ、熱膨張率は鋳鉄に近い値を得た。ブレーキディスクロータの評価試験においては、効きの安定性、耐熱性、摩擦特性、ロータ熱変形対策等について試験データをもとに示し、Al2O3 37Vol%/Al MMCをブレーキディスクロータに適用した結果、ロータ評価試験より良好な結果が得られている。しかし現行装着されているFCロータと比較すると、耐熱性が低いため車両への適用に当っては、車両重量、性能に応じたロータ形状、容量等の設計上の工夫が必要である。
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| 2006 11/1(水) |
新日本製鐵(株) 総合技術センター 君津製鉄所 |
1.新日本製鐵梶@鉄鋼研究所の見学(10:20〜12:45) (1)執行役員 技術開発本部鉄鋼研究所 所長の大下滋様から新日鐵鞄S鋼研究所の概要をご説明戴き、日本技術士会の皆様をお迎えできて大変光栄に思うとのご挨拶があった。 (2)新日鐵葛Z術開発本部鉄鋼研究所、溶接接合センター所長石川忠様から鉄鋼研究所の研究内容及び見学する予定である主な技術の具体例の紹介を戴いた。 (3)研究本館のセントラルコリドー展示物及び開発棟の見学: * 自動車の衝突時の安全性向上のため高強度鋼板のミクロ組織の解明や衝撃エネルギー吸収能力の解明をした例や厚さの違うハイテン鋼板を溶接、テーラーブランクで自動車ボディに成形後の衝撃性能の評価例。接合用Li系ろう材の開発、ハイドロホーミングによる成形例、Tiクラッドでメンテナンスフリーになった海ほたるの橋脚の例。酸化物添加によりHTUFF鋼は溶接温度で微粒子の開発などの説明を受けた。 * 試験室ではアトムプローブ電解イオン顕微鏡により結晶構造と原子の配列を観察し明石大橋に用いるケーブル強度160Kgf/mm2を180Kgf/mm2に高め長スパンの橋を可能とした例。また、2電極のVEGA溶接機による船舶用鋼板の厚板のテスト溶接作業を見学した。実験棟には高速破壊試験機を始め100、200、400、2000、8000トンなどの大型破壊試験機と破断サンプルを見学した。 (4)昼食を取りながらビデオにて研究所内の詳細な紹介を戴いた。 (5)吉武名誉部会長から所長大下滋様始め関係者に見学会のご配慮に対して感謝のお礼を述べた。 2.新日本製鐵梶@君津製鉄所の見学(13:15〜15:30) (1)君津 製鉄所の概要の説明とビデでの紹介; 「日々新たに」が合言葉。1000万トンの生産を誇る世界最大級の製鐵所である。鉄鉱石は海外から輸入、高炉にて溶解しスラグと銑鉄にし、銑鉄は転炉で炭素をのぞき二次精製後、連続鋳造によってスラブ、ブルーム、ビレットにする。さらにユーザーの要望ごとに熱間圧延薄板は自動車、家電、建材用にする。各種の鋼管は水道、ガス管、ビル、橋や各種の産業用に使われている。また、冷間圧延薄板を溶融亜鉛めっきして自動、家電、建材用に供給している。線材はスチールタイヤ、つり橋ロープ、ボルトなどにする。大型鋼片(ブルーム)は建設、橋、工事用度止めなどに利用されている。一方、副産物であるスラグ、ダスト、スラッジの再利用を積極的に行い例えば、スラグはセメント材に、工場排熱は電気エネルギーなどに利用している。 (2)講演 :「新日鐵の環境経営」; 講演者:君津製鉄所環境資源エネルギー部 スラググループリーダー遠田祐治様 * 君津製鉄所におけるリサイクルは1990年までは産業廃棄物の副産物の拡散を防ぐことを中心行ってき1990年以降は資源保全のための製鉄所内のリサイクルを実施した。天然の鉄鉱石はCaO、SiO2が残る。これを高炉セメントに25%ほど含め使用している。これまで捨てられていたダストや含水スラッジ、亜鉛含有ダストなども資源保全のために再利用している。 * 環境に配慮して廃プラ処理によって発生する炭酸ガス排出を削減する取り組みとして、自治体から回収されたプラスチック系の廃棄物を事前処理してコークス炉で熱分解処理工程を経て再商品としている。新日鐵の全体で19万トン、君津では8万トンを利用している。産業廃棄物は分別がされているが家庭の廃棄物は千差万別で問題、自治体の処理費用の負担が増し困っている。 * ビデオにて「生まれ変わるプラスチック」コークス炉での再生が紹介された。 * 君津でのリサイクルのプロセスは自治体から搬送されたプラスチックを人手で選別する。粗破砕してさらに磁気、比重などによる機械選別とPVCの除去をする。次に二次破砕をして小さく整形し、熱分解処理の工程であるコークス炉で石炭と混合して炭化室内に投入される。プラスチックは1200℃で熱分解してメタン、水素、ベンゼン、トルエンなどに分解さる。再商品に利用されるのは炭化水素油にして40%がスチレン系樹脂やベンゼン、トルエン、キシレンなどの軽質油とタールにしてピッチコークス、カーボンブラック、フェノール樹脂などになる。また20%はコークスとして高炉に投入して鉄鉱石の還元剤として利用される。あと40%はコークス炉ガスが製鉄所内の発電などのエネルギー源に再利用、エネルギーを無駄せず地球環境を守る努力をしている。 (3) 君津製鉄所の見学; @.廃プラリサイクル処理設備
* 容器リサイクル法が制定され7年前から君津
製鉄所にて廃プラの処理工程が設備され、一般家庭からの廃棄物を含め処理する設備は新日鐵の * 工場自治体から梱包され搬送された廃プラを保管する部屋、梱包を供給コンベヤーで開梱破砕装置に投入、破砕された廃プラはコンベヤー上でプラスチック以外の金属、ガラス、土砂などの異物を手作業にて選別し粗破砕装置に供給する。そのあと電磁式で鉄を除き、渦電流式ではアルミなどの非鉄金属除去する機械選別機にかける。さらにPVCを除去する装置にかけたのち、二次破砕装置でさらに粉砕し風力選別によって重いものおよびライター、スプレー、電池など危険なものをとり除き、減容成形装置にて20〜50mmほどの塊の造粒物に成形する。この状態ですこし離れた場所のコークス炉にパイプコンベヤーにて供給して、石炭と混合し炭化室に投入して密閉した無酸素状態で熱分解し、炭化水素油、コークス、コークス炉ガスなどに再利用されるとの説明を受けた。 A.第4高炉の見学 君津製鉄所には現在高炉が3基あって、今回は最大の高炉である第4高炉の見学をした。この高炉には数多くの鉄道線路が敷かれ鉄道の運行管理を別会社が行っている。これは高炉で溶解された銑鉄とスラグを搬出するためである。原料を投入し8時間で溶融された銑鉄が取り出される。当日も列車に繋がれたイピードルに銑鉄の溶湯が流し込まれそれを転炉に移すために順次搬出していた。 転炉では銑鉄に酸素を吹き込み脱炭し0.1〜0.01%まで炭素分を低減し鋼材にする。この第4高炉前にて、以前天皇陛下がご覧になったといわれる場所で全員の集合写真(写真)を撮った。 B.質疑応答 Q: 中国、韓国に新設備が入っている。新日鐵の競争力は?10年20年後になると果たしてどうか? A: 設備が良くても必ずしも良い品質のものが現在はできてはいない。鉄は基盤材料であることにかわりないので技術のイニシアチーブは今後もとっていきたいと考えている。 また鉄鋼業がなぜ日本にある、海外に進出した日本企業、例えば自動車などの材料を供給し続けることも重要な役割である。そのために高い技術力、品質で競争力を持つ努力をしていきたい。 (4) 化学部会長北本様から本日の工場見学をさせて戴き感銘を受けたと感謝の意を述べた。
新日本製鐵(株)総合技術センター(富津)
新日本製鐵(株)君津製鉄所 第4高炉前
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11/15(水) |
「
高強度ボロン鋼部材の表層組織を均一化する焼入れ方法」 四十物剛介氏 TRWオートモーティブジャパン株式会社 |
* 講師は大学卒業後、平成7年にTRWオートモーティブジャパンに入社した。会社は1970年TRW社との合弁会社として設立され、主に自動車のパワーステアリングを製造、高強度材料を横型の多段ヘッダーや、異型部品のパーツホーマーなどによって冷間鍛造部品を製造している。その中の特殊ボルト類の冷間鍛造による製造の技術業務を担当してきた。当初は熱処理工程の管理の改善や金属材料試験の技術の向上につとめた。その後「真空浸炭方法の低コスト化による耐磨耗部品の高寿命化と量産技術確立」や「強度1000MPa級ボルト材料の低廉化」および「ボルト材料の超高強度化(強度1,400MPa超級)」などの開発を行い、現在は「非調質鋼の超高強度化」の開発に取り組んでいる。 各国でもこの種の製品が加工できるようになったので、今後は高強度材の品質向上やネットシェープによるコスト削減などが重要な課題である。 * 高強度ボロン鋼とは、強度1000MPa級の従来鋼SCM435(JIS)に対し合金元素を節約し、コストを20%ほど低廉化できる将来有望な材料である。しかし、この材料を用いた部材に従来の焼入れを施すと表層は不完全焼入れ組織となり、表面組織にフェライトの層ができる。この問題を解決する焼入れ方法を開発したので紹介する。 * 高強度ボロン鋼の採用が進まない理由は、従来の焼入れにおいて表層に不完全焼入れ組織(フェライト)が発生し、疲労強度が低下し遅れ破壊が発生する。これまでの解決法は焼入れ炉内雰囲気を調整して脱炭を防止する方法が一般的であった。しかし、この方法では焼入性の向上に必要な元素を多く含むクロムモリブデン鋼(SCM)を始めとした高級鋼に対しては有効であるものの、ボロン鋼に対して完全対策とはならない。この問題に潜在する不可避な原因として、焼入れ加熱中に生じる脱ボロン現象が既に知られている。 表層のフェライト発生の原因を究明するため要因分析を行い、試行錯誤を繰り返したが要因にあげた項目では解決しなかった。その解明のきっかけは、焼入れ油の違いである。炉内雰囲気調整を含む試行錯誤の末、焼入れ初期段階の焼入れ油中における「蒸気膜崩壊時間」に着眼した。従来の油に較べてマルテンパー油では蒸気膜崩壊の速度が速く、下部冷却が遅い。このことによって表面層にはベイナイト組織が混在するが、フェライトは存在しないことがわかった。そして脱ボロンによるフェライト変態線図の変動を解明した上で、焼入れ油の冷却性能改善を行い、量産試験によりその効果を確認した。今後は表層フェライトの定量評価、実炉での評価方法の確立、類似鋼種への応用及び標準化が課題となる。
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