更新日:2007. 3.19
 
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 平成19年 3月 見学会報告
  日 時:   平成19年3月9日(金) 10時30分〜19時30分
 見学先:
 「世界最強の陽子加速器装置」見学 ((独)日本原子力研究開発機構 内)
 
 説明者:  独)日本原子力研究開発機構 佐藤管理部長、北見室長、鈴木リーダ、山西課長代理
参加者  24名(東京発18名、現地集合6名)
 報 告:
 当日は、東京駅八重洲口 鍛冶橋駐車場を乗車人数18名で出発し、現地で茨城県技術士会の6名と合流の後、(独)日本原子力研究開発機構(原子力機構)の門を潜りました。
 まず、講堂で佐藤管理部長より原子力機構の組織と原子力科学研究所(原科研)の果たす役割を伺い、続いて、鈴木リーダより、当見学会の目玉である「世界最強の陽子加速器施設」J−PARCについて、陽子加速器の原理から、完成時に期待される役割までをご説明いただきました。
 さらに、当施設の建設地は飛砂防備林と自然環境保全地域に指定されており、同施設建設により伐採されたクロマツ復元のため植樹植栽から水辺空間の創出による動植物の保全、八間道路の復元などを山西課長補佐よりご紹介いただきました。その後、広大な原科研敷地内をバス移動し、最初の研究炉(JRR−1)の視察、世界最強の大強度陽子加速器で周囲1.6kmもある50GeVリング棟トンネル内の磁気コイルの据付状況、発生した中性子を活用する物質生命科学実験棟の建設状況を視察しました。
 最後に、講堂に戻り質疑応答では高精度で各機器を設置するため、地盤沈下と闘う建設秘話などを伺いました。
 現在、原科研では産業界をはじめ、地域に幅広く寄与できる施設として建設中であり、完成する平成20年には世界の注目を集める有数の最新研究施設となります。数多くの研究者が各国からこの地に集まり、最先端技術の情報発信がされることが期待されています。
 今回の見学会は、茨城県技術士会の丹理事の仲介で実現できたものです。完成前に世界最強の大強度陽子加速器施設見学の機会に恵まれたことを深く感謝します。
                               (伊藤康裕 記)


 
     聴講状況(第一講義室内)           50GeVリングトンネル視察

 平成18年 12月 講演会報告
  日 時:  平成18年12月7日(木)  16:30〜18:00
 場 所:
  弘済会館 4F
 演 題:  自然災害軽減への建設技術者の役割
 講 師:  早稲田大学理工学術院 教授 濱田 政則
参加者  38名
 報 告: 1.世界と我国の自然災害の状況
 1946年〜2005年の50年間に発生した地震・津波災害状況(死者・行方不明者 1000人以上)をもとに特にここ20年間の発生件数が増えている点、その中でもとりわけアジアでの災害件数が多いことなどの説明があった。従って、アジア地域での改善に日本の技術が貢献することが肝要であるとの指摘がなされた。又、近年多発している風水害(洪水・台風・ハリケーン等)の発生と地球温暖化による海面水温の上昇が何らかの因果関係があるのではないかとの指摘がなされた。
 また、阪神・淡路大地震、新潟県中越地震などを例に、我国の地震災害の状況などの説明がなされた。

2.今後発生が予想される自然災害と対策のあり方
 自然環境の変化・社会環境の変化による「自然災害の態様の変化」に対して
  @「予測を超える自然現象」、「設計値を超える外力」への対応
  A低頻度巨大災害への対応
  B防災社会基盤整備の適正水準
 などが今後の技術的な課題である。

3.首都圏を襲う地震への対応
 中央防災会議が平成18年4月に発表した地震防災戦略では
   @今後10年間で想定死者数を半減(約11,000人→約5,600人)
   A今後10年間想定経済被害額を4割減(約112兆円→約70兆円)
 という具体的数値目標を掲げ、具体策を提言している。
 また、兵庫県南部地震など過去に得た教訓を生かし、
   @長周期地震動に対する構造物の耐震性の検証〜超高層建物、免震建物、長大橋梁等
   A液状化対策
   B東京湾の地震時の海上災害対策
  などの具体的な課題が提示された。

4.自然災害軽減への建設技術者の役割
 阪神・淡路大震災後の応急・復旧活動に投入された人員の内訳では建設関連の人員が全体の29%を占め、構成率では最も多くなっている。現在建設業界においては公共工事の削減、談合などによる社会的信用の失墜など厳しい環境が続いていて、業界再編など建設労働人口は減少していくことが予想される。従って、今後災害等が発生した場合の復旧活動に影響が出るのではないかとの懸念が指摘された。
 また、自然災害軽減のための公助・共助・自助の輪への技術者の積極的な参画が求められており、これらの活動を持続させることが重要かつ課題であるとのことであった。


 短時間の中、非常に内容の濃い講演であったため参加者からは、今一度ゆっくりと講演して頂きたいとの声が聞こえたことから今年最後の例会に相応しい内容であったと思われる。
 講演の後に建設部会の忘年会が開かれ会員同士の交流が夜遅くまで行われた。

(桜井裕一 記)

 平成18年 11月 (10月実施) 見学会報告
  日 時:   平成18年 10月26日(木) 9時00分〜18時30分
 見学先:
  塩山・東山梨間116k061m付近こ道橋新設その他工事
 
 説明者:  東鉄・長田建設共同企業体 塩山工事所 大内工事所長、山ア主任
参加者  32名
 報 告:  当日は、参加者の日頃の行いが良かったのか、秋晴れに恵まれました。
朝9時、あわただしく行き来する通勤客を傍目に、新宿駅新南口のJR高速バス乗り場より大月に向かいました。大月駅前では、電車で到着した2名と合流の上、少し早めの昼食をとり、大月周辺を散策し、再び、中央高速道路を利用し塩山を目指しました。
 今回、見学しました「塩の山西広門田線こ道橋新設工事」は、山梨県の委託により東日本旅客鉄道鰍ェ発注する街路事業で、山梨東部方面、秩父方面、奥多摩方面を結ぶ国道20号、国道140号及び国道411号などの地域の骨格をなす主要幹線道路を補完し、歴史、果樹、温泉などを活かした観光地にふさわしい道路空間を創出し、地域の連携を強化するために行われる工事です。行楽シーズンの観光用大型車両の集中による渋滞解消を図り、これらの通行に配慮した交通網を整備する目的で、中央線下にアンダーパスを設け、県道を新設するものです。
 ここ数年来実績を積み重ねている「HEP&JES工法」を採用していました。当日は、上床版施工のため、段取りに入ったばかりであり、残念ながら、掘進中の最盛期のようすを見ることは叶いませんでした。事務所で工事概要の説明を受けた後、工事所長と主任の2班に分かれ、準備中の発進立坑の案内を受けながら、営業線近接工事、夜間線路閉鎖作業などにともなう鉄道工事独特の苦労話も紹介していただきました。
 その後、現場を後にして、途中、ハーブ園に立ち寄り、帰路につきました。帰りの車中では、コンビニで仕入れた缶ビールと乾き物で和気藹々と反省会を行い、交通渋滞に巻き込まれることもなく、無事、新宿駅西口に到着し解散いたしました。

(小川義忠 記)

 
   写真−1 貸切りバス車中            写真−2 工事概要説明 
                         (左:山ア主任、右:大内工事所長)

 平成18年 9月 見学会報告
  日 時:   平成18年 9月26日(火)14時00分〜17時00分
 見学先:
  「日本最大の風力発電システム実証設備」  三菱重工業(株)横浜製作所金沢工場内
 
 説明者:  三菱重工業(株)原動機事業本部電力部新事業グループ 課長代理 向井正行 氏
参加者  30名
 報 告:  当日は生憎の雨風、高浜研修委員長の計らいで集合場所の駅から、会場まで見学者をタクシーによるピストン輸送となった。見学会は、吉田幹事の司会で始まり、向井講師がパワーポイントを用いてわかりやすい説明をして下さった。
 風力発電は無公害・再生可能エネルギーで現在一番効率的である。風のエネルギーは風速の3乗とロータ面積に比例する。風速が2倍になると出力は8倍になる、このため立地に際しては風況精査をして決定する。風車(主流は3枚翼のプロペラ型)は大型化している、これは風車出力は直径で決まり直径の2乗に比例すること、風は地表近くは弱く上空ほど強い(ウィンドシェア)ことから、スケールメリットが生じることによる。複数の風車を建設する時には互いに干渉しないよう適切な間隔をとる必要がある。
 風車の運転制御は、(1)ヨー制御・風向に風車ロータの向きを合わせる制御(センサーで風向を検知、駆動装置でナセル向きを風向に追従させる)、(2)出力制御@ストール制御(受動制御、翼型形状で運転を制御、翼の取り付け角は変化しない)Aアクティブストール制御(能動制御、ストール翼の使用と翼の取り付け角を変化させる、出力が出ない方に翼取り付け角を変化させる)Bピッチ制御(能動制御、翼の取り付け角を変化させる、出力が出る方に翼取り付け角を変化させる)などである。
 発電産業の市場動向は今後自然エネルギーへ向かうとのこと、世界の風力発電の導入状況と予測については単年度導入量、累積導入量とも着実に増加していとの説明があった。現在は、ドイツが最も累積導入量が多く日本の17倍に達している。今後は米国、中国の大幅な風力発電導入量が予想されている。
 見学したMWT92/2.4の主な仕様は、定格出力:2400KW、ロータ直径92m、ハブ高さ:70m、出力制御:3翼独立ピッチ制御、ヨー制御:アクティブ制御、翼:GFRP製44.7mである。風力発電の大敵は台風と落雷で、台風襲来時の停電対策を開発・装備している、落雷に対しては翼内にアースを設置、室内実験で性能を確認しているとのことであった。
 さて、現場へ移動、雨は強いが、風も吹いている、僅かな風きり音はあるがゆっくりと翼が回転している。風速10〜12m/s、定格風速に近く定格出力2400kwを確認できた。翼がしなやかにしなっていた。
 会場に戻っての質疑応答では、翼がしなりタワーに当たるのを避けるため風車は僅かに上を向いて設置されていること、耐用年数は疲労で決まりおよそ20年との説明があった。
 最後に高浜研修委員長がお礼の挨拶を述べ見学会を盛況に終了した。この実証設備から多くの知見を得て、日本の技術が国内外で広く普及することを願って報告とします。


  
                                (佐藤康夫 記)

 
    写真−1 講演会会場         写真−2 日本最大の風力発電システム

 平成18年 8月 講演会報告
  日 時:  平成18年8月22日(火)18時〜19時30分
 場 所:
 日本工営(株) 3階会議室
 演 題:  鉄道構造物の維持管理
 講 師: 鳥取 誠一((財)鉄道総合技術研究所 事業推進室 構造物メンテナンス担当部長)
参加者  30名
 報 告:  鳥取先生は日本国有鉄道に入社し,その後、(財)鉄道総合技術研究所に移籍され、鉄道構造物、特にコンクリート構造物に造詣が深い工学博士です。本日の演題でもある「鉄道構造物の維持管理」の関連部署で、日々、ご活躍されております。以下に講演の概要をご紹介致します。
     昨今、高度経済成長期を中心に建設された構造物が経年劣化により維持管理が必要な時期を迎えています。このような中、建設の時代は分業体制がとられたが、維持管理の時代では、技術者の幅広い知識と経験が問われ、智慧に対価が支払われることで合理的な構造物の維持管理ができ無駄な投資を抑制できます。
     次に、最新の話題として、本年、各鉄道事業者に通達されるであろう「鉄道構造物等維持管理標準」の概要について紹介いただきました。
     さらに、中性化、塩害、アル骨反応、地震による損傷などの変状例の写真を交えて分かりやすく解説していただきました。また、耐震補強の話題にも言及されました。
最後に、(財)鉄道総合技術研究所での技術開発の一例として地震時列車走行性のシミュレーション、レンガ橋脚の検査法、補強法もご紹介いただきました。
その後の質疑応答では、欧州の組積構造物を中心とする維持管理技術と地震国である日本の構造物に対するものの相違についてもコメントしていただきました。
                            (伊藤康裕 記)
  
      講演者 鳥取誠一氏             講演に聞き入る参加者

 平成18年 7月 見学会報告
  日 時:   平成18年7月25日(火)14時30分〜16時30分
 見学先:
  「上野地下歩行者専用道・上野広小路駐車場」建設現場構内
 
 説明者:  東京メトロ伊藤工務係長,1工区(鹿島JV)新川所長,2工区(大林JV)西村所長
参加者  38名
 報 告:  当日は梅雨明け宣言が遅れる中、雨の心配がない曇りで、さして気温の高くない現場見学会日和であった。
 見学会は、久多羅木幹事の司会で始まり、まず定員を大幅に上回る申し込みに対して見学先各位が快諾していただいたことに謝辞を述べた後、事業概要、工事概要について説明を受けた。上野地区は鉄道路線の結節点であり文化施設も多いことから歩行者ネットワークの充実を図る必要の高い地域である。また駐車場の不足による路上駐車の蔓延が防災機能の低下や都市環境の悪化を招いている。このような状況から道路地下空間の有効利用により、歩行者の安全性や利便性の向上と地域の抱える駐車場問題に対し、同地区のより一層の発展を図るために、中央通りの地下に歩行者専用道及び機械式駐車場の整備が計画された。
 事業は、東京都及び台東区により計画され、工区内に東京銀座線が存在するため、東京メトロが受託している。
工事は1工区(鹿島JV)、2工区(大林JV)で進められている。
 工事の最大のポイントは東京メトロ銀座線のアンダーピニングである。現場見学後、活発な質疑応答を行った。質疑応答での主な内容は、銀座線のアンダーピニングと被圧水頭をもつ均質な細砂層への対応であった。
 銀座線のアンダーピニングは躯体の補強、底版部地盤改良、連続地中壁の施工、かんざし桁の挿入、構内浸水に備えての浮き上がり対策の順で施工している。
 被圧水頭をもつ均質な細砂層への対応は、土留め壁の質の高い施工と歯抜け箇所の慎重な地盤改良である。銀座線の変状や土留め壁の変形などの計測を行っている。銀座線は許容値内でやや浮き上がりの傾向にある、これは底版部地盤改良(低圧の特殊な注入工法採用)の影響ではなく掘削に伴う上載加重減少によるリバウンドとのことであった。計測の他に巡回による目視も重視している、これは局所的な細砂の流出を早期に発見するためとのこと。
 工事は、昼夜間で進められている。これは銀座線の非運行時間が午前1時〜4時で土砂搬出が午後8時〜午前5時に制限されることによる。最後に高浜研修委員長がお礼の挨拶を述べ見学会を盛況に終了した。厳しい条件の中、工事の無事完成を祈念して報告とします。  
                                (佐藤康夫 記)

  
    写真−1 会場での説明          写真−2 構内状況

 平成18年 6月 講演会報告
  日 時:  平成18年6月21日(水)18時〜20時30分
 場 所:
 日本工営(株) 3階会議室
 演 題:  下水の窒素・リン除去技術の変遷と将来
 講 師:  田中 和博 (日本大学 教授 工博 技術士)  副題: 下水からの窒素、リン除去技術の変遷
 齋藤 利晃 (日本大学 助教授 工博)      副題: 窒素・リン除去の新しい流れ
参加者  29名
 報 告:  講演は、演題を現在までの変遷を田中教授、その新しい技術の方向を齋藤助教授と分担してパワーポイントを使用して多くの資料を示されながら分かりやすく話していただいた。
 出席者は、演題の関係もあって、建設部門以外に上下水道・電気電子・水産など各部門からの出席者があり、講演終了後も熱心な質問があり、水質浄化に対する関心高さが伺われた。
 両先生の熱心なご講演に感謝するとともに今後もご指導賜ることを願っている。

 田中教授:下水からの窒素、リン除去技術の変遷
      この分野に造詣の深い講演であり、昭和45年のいわゆる公害国会で公害対策基本法や下水道法などの改正、海洋汚     染防止法、水質汚濁防止法などの制定から説き起こし、下水道技術の歴史を概説した。窒素除去法とリン除去方に関してそ    れぞれの物理化学的方法と生物学的方法の技術内容とその変遷を講演され、現在わが国の水質基準の達成率が河川が     80%程度達成しているのに対し湖沼では40%程度でありまだまだ努力が必要であるむねされた強調。

 齋藤助教授:窒素・リン除去の新しい流れ
      田中教授の講話を受け、現在のわが国のみならず諸外国の窒素・リン除去に関する技術開発の動向を具体例を示され     ながら詳しく説明がなされた。
      「下水は資源である」が講師の持論であり、資源回収を目指し、リン・窒素の回収、エネルギーの回収を目標に、それらを    処理の高速化、省スペース・低コスト化、処理の安定化、環境負荷の削減などに取り組んでいる実情を紹介された。

      建設部門の技術士において周辺部門の技術動向を理解していくことは、技術の幅と質を高めるために必要と判断してい     るので、今後も機会を捉えこのような企画をしていきたいと考えている。
   
      (長谷川 幸也 記)



 平成18年 5月 講演会報告
  日 時:  平成18年5月11日(木)18時〜19時30分
 場 所:
 日本技術士会 葺手ビル5階(5F)A,B会議室
 演 題:  建設技術者の責務と資質
 講 師:  川島 一彦(東京工業大学 教授)
参加者  57名
 報 告:  講演は、「技術は人なり」(土木学会2005年より)を引用し、建設技術者(公共事業に携わる技術者という意味で"土木技術者"と定義)がいかにあるべきかを問いかける判りやすい御講演でした。
 ポイントを以下に整理しました。

 我が国は、社会全体が東海村の臨界事件、雪印食品・日本ハムの牛肉偽装事件、三菱自動車のリコール隠匿事件及び鋼橋の談合問題等倫理的な弛緩に襲われている。なぜ、このような倫理的な事件が多発しているのか? 土木技術者の行動倫理について、過去を振り返りながら考えると経済発展とバブルの出現により本来あるべき社会資本整備の水準を国民に示さず、予算獲得、受注増加の喜び、建設さえ出来れば喜びを感じていた土木技術者の行動原理が国民から評価され、土木技術者の行動様式が国民に不振を招いた。 
 本来専門家(プロフェッショナル)とは、プロフェッショナルの確立と技術者倫理、高い倫理観が求められ、国民の信頼があって初めて高い社会的評価と報酬得られるものであり、土木技術者も医師や弁護士のようにあるべきである。 
 土木技術者が、日常業務の中で遭遇しやすい倫理的な問題を調査・設計及び施工に関して事例を揚げ説明された。
1)倫理的な問題事例として、
   @工事請負者の設計照査、A設計変更と会計検査
2)談合と技術者倫理として、
   @談合と若手技術者、A談合による信用の失墜、B談合と技術者倫理、C官製談合
3)発注側技術者に求められる倫理としては、
   @自らの責務の重さを自覚し、使命感と誇りを持つこと、A国民に対する責任説明、B過去のしがらみに基づく惰性で   仕事を進めない、C会計検査院怖さになすべきことを放棄しない、D契約の明確化
 本講演を聴講し、建設コンサルタンツは、プロフェッショナルとして国民生活の向上に貢献してくれると国民から見直されるよう毅然とした態度で発注者へもの申せるようになることが重要であることを再認識させられた。
(中尾 政徳記)
 平成18年 4月 見学会報告
  日 時:  平成18年 4月 4日(火)13時30分〜17時
 場 所:
  荒川下流船上視察
説明者:
荒川下流河川事務所 岩淵出張所 小林所長
同上 地域連携課 吉田広報員, 清水広報員
 参加者  30
 
報 告:
 
 荒川の下流部は明治40年、43年の大洪水を契機として新たに開削された延長22kmの放水路である。
 今回の見学会は、河川管理のための巡視船「荒川号」に乗船し、河川の中から荒川下流の治水施設、河川環境、河川利用施設等の視察を行いました。
 見学の始めに、「荒川知水館」で荒川の歴史と環境、整備の状況の概要について説明を受けました。そこでは、荒川放水路開削事業が浚渫・掘削土量約2千2百万m3、延べ310万人が従事した大事業であったことを知り、青山士氏を先頭とした先人の偉業に感銘しました。
 見学コースは、隅田川(旧荒川)の分派点である旧岩淵水門地点から、平成17年10月より利用が開始された荒川ロックゲートの区間を巡視船に乗って往復するものであり、船上から新・旧岩淵水門、新芝川排水機場、鹿浜スーパー堤防と都市農業公園、災害時の物資輸送の荷揚げに用いるリバーステーション(岩淵・新田・堀切・平井・小松川等)、荒川マラソンにも利用される緊急河川敷道路、潮位差を利用して架設した五色桜大橋、河川敷に設けられた福祉体験広場、足立多自然型護岸、岸辺の干潟・ヨシ原とその環境機能、荒川に生息する動植物、ヒヌマイトトンボの保全に配慮した京成押上線の架替工事、河川の船舶の通行方法を定めた航路標識、桁下高が周辺の堤防高より低い京成本線荒川橋梁、古い水道管撤去工事のための警戒船、河川敷内の多数のルンペンハウス、公募で名前が決まったS字型斜張橋の葛飾ハープ橋、上平井水門、今が盛りの小松川千本桜、そして、荒川ロックゲートなどを、小林出張所長のご案内と事務所広報員の説明を受けながら見学しました。
 荒川ロックゲートは、水位差が最大3.1mに及ぶ荒川と旧中川間の水上交通を確保することにより、隅田川と荒川に挟まれた江東デルタ地帯の災害時の復旧活動支援を行うネットワークを形成するものであり、実際にロックを船で通過し、前扉と後扉に挟まれて急速に下降・上昇する体験をすることができました。
 本見学会では、荒川の歴史も踏まえて、治水、環境、利用、防災など、河川の有する多種・多様な機能とそのための整備、管理について、水上という普段では経験できない視点場から視察することができ、極めて有意義な見学会でした。
 このような貴重な機会を提供して頂いた荒川上流河川事務所の方々に感謝申し上げます。       (小川義忠 記)

終了後,講師の小林所長(前列右から2人目),清水広報員(前列右から4人目)とともに巡視船下船後に記念撮影












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