| 行 事 |
平成24年12月 講演会報告 |
| 開催日時 |
平成24年12月17日(月) 16:30〜18:00 |
| 講演名 |
プロジェクト展開への期待 |
| 講演者 |
森地 茂 政策研究大学院大学特別教授、政策研究センター所長、第92代土木学会会長 |
| 参加者 |
35名 |
| 報 告 |
1.はじめに
社会資本整備に関わるプロジェクトについて、“公共投資予算”、“プロジェクト開発力”、“維持保全”“国土形成計画”など多方面の視点から、課題や対応策について幾つかの事例をまじえながら「プロジェクト展開への期待」と題した講演が行われた。
2.講演内容
・公共投資予算縮減の原因に“@財政制約”、“A社会資本整備に対する国民の認識”がある。対応策として、財政制約に関しては民間資金の活用(日本のPPP制度の確立)、国民の認識に関しては、必要なプロジェクトの明示化が考えられる。
・そこには、現状からの脱却の痛み、構造的改革の実行が必要である。予算の範囲でのプロジェクトではなくプロジェクトがあっての予算、住民が必要性を認識できるプロジェクトづくりと説得だけでなく、プロジェクト化できなかった理由と解決策の提示を行う。
・プロジェクト開発力の低下は、住民[地域改善への意欲低下]、国[New Public Management,公共事業批判への対応、インフラ輸出]、自治体[財政制約期間の長期化]、建設業界[入札制度改革]、商社[資源分野への展開]などの原因があり、それらを改善していく必要がある。
【笹子トンネル事故の教訓から】
・維持保全の課題は、“老朽化問題に対する理解が進むか?”、“アメリカの教訓を生かせるか?”とともに、予算、技術力、検査・補修体制などがある。
・具体的には、アメリカからの教訓[インフラに対する社会認識、技術者の改革]、@老朽施設の増加と改修の長期化[早期の対応など]、A多様な部材検査の難しさ[技術開発、発注制度]、B技術力の維持の難しさ[維持管理分野の参入、海外市場、技術者モラル]、C自治体の技術力[国・都道府県・自治体の業務分担]、D災害被害と老朽化[既存不適格施設、情報公開]などがある。
・“改修、補修、維持管理の位置づけ”や“「建設から維持補修の時代へ」の受け止め方”について考えるとき、例えば、改修、補修、維持管理は新設整備に対する従的位置づけか?河川事業、鉄道事業、都市整備事業の多くは改修、改築が中心ではなかったか?などの視点が必要であろう。
・わが国の社会資本の5つの緊急課題
@圏域構造の改変[国際競争力:広域ブロック圏、人口減少社会:広域生活圏]、A民間投資や活動が誘発される社会資本整備、PFI、PPP、B各種防災投資、C社会資本の高齢化、D地球環境
【東日本大震災の課題から】
・@直線的意志決定の誤り、A復興会議の時間管理、B教条的地方分権の誤り、C臨海産業地区の早期復旧、Dインセンティブ型集落再編、EPPPの法改正、F広域地域振興政策
【国土形成計画の課題から】
・「国土形成計画 計画部会報告(はじめに)」からの引用
@人口減少が衰退を意味しない国土、A東アジアにおける各地域の個性と競争力の発現、B新たな「公」を横軸とする地域力の結集、C多様な自立広域圏からなる状況対応力ある国土
・圏域構造の改革について
国際競争力は県単位ではなく広域地方圏で、人口減少化での生活サービス維持・向上は市町村単位ではなく広域生活圏で進める。
・経済のグローバル化と生産施設の海外流出に伴い、国家間所得格差の縮小と国家内地域格差の拡大が生じた。地域格差の縮小策として、従来のアジアの繁栄を地域内に取り込むことから、各地域のアジアの中での個性発現や国際競争力のための広域対策が考えられる。
・新たな地域発展モデルの要点として、地域活性化に不足しているものは、@居住人口、A雇用、B交流である。
【都市・地域の課題関連事例から】
・社会・経済的寿命から機能・空間の改善の視点への変更、物理的寿命から施設の維持と改築の視点への変更を行う。それは、物理的改築を機会とする機能・空間の改善と機能・空間の改善を機会とする構造物の更新である。
・事例紹介
@鉄道駅部、線路上の横断構造物
・震災対策の重要性、複数主体の存在で対応できずに放置
・新宿駅プロジェクト、渋谷駅プロジェクト
A消えゆく砂浜と土砂マネジメント
・ダムの堆砂と後退する海浜:あと30年で消える砂浜など
B交通安全
・交通事故死者数は減少(5000人以下達成)だが死傷者数は増加(約100万人)
C都心再生
・成都(中国)、上海(新天地)
D道路空間改変
・ソウル、日本橋プロジェクト
E観光地の再生
・温泉街の荒廃:温泉地の宿泊施設、土産物店の廃屋、河川両岸の土地利用の誤り
・水辺環境の喪失、親水空間の欠如:用地不足、水質汚濁、防災優先などが一因
・湖畔、海岸、都市観光、農村景観
【まとめ】
・地域のおかれた状況を把握し、地域の責任として明快な戦略と行動が必要。
・専門家に求められる機能は、「地域戦略づくり」+「プロジェクトづくり」+「計画」+「設計・施工」である。
3.おわりに
渋谷駅再開発など実際の地域戦略づくりやプロジェクトづくりに携わっておられるため、構想の立案や進め方の事例紹介があるなど、これからの社会資本整備や維持保全およびプロジェクト展開について分かりやすく説明していただいた有意義な講演会であった。

講演会当日会場
講演会担当: 河北、武曽、宮下、松本(記)
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| 行 事 |
平成24年11月 講演会報告 |
| 開催日時 |
平成24年11月28日(水) 18:00〜19:30 |
| 講演名 |
緊急提案 日本復興計画「東日本復活5年計画」と「列島強靭化10年計画」 |
| 講演者 |
藤井 聡教授 京都大学大学院工学研究科 都市社会工学専攻 |
| 開催場所 |
弘済会館 会議室 |
| 参加者 |
64名 |
| 報 告 |
1.はじめに
平成23年3月11日の東日本大震災を経験し、「首都直下型地震」と「東海・南海・東南海地震」いずれ近い内に起きる危機を
改めて認識させられた。東日本大震災の傷がまだ癒えておらず、これらの地震が起きる前に短期集中的な東日本の復興・
復旧計画と強靭な日本を造るための長期計画について貴重なお話しを頂いた。
2.日本復興5年計画の内容(抜粋)
・基本的な復興を短期集中的に実施(5年)その後 完全な復活のために継続的にさらに5年合計10年程度で計画的復興を進める。
・官民一体、被災地/国が一体となって効率的な復旧・復興計画を進めるために、仮称「東日本ふるさと再生機構」を
10年程度の 時限立法で設立する。
・東日本ふるさと再生機構の業務として
@被災地雇用の創出
A全国からの支援の円滑化支援
B被災地復興計画具体化の為の自治体行政への支援 等を実施する。
・日本銀行/政府間の適切な協調の基で、財源として最大20兆円/年×10年=200兆円規模の震災復興国債を発行する。
但し、懸念されるインフラ対策として適切なインフレ率(2.5〜3.5%)を設定しモニタリングを進める。
・経済の活性化を促進する為、デフレ脱却までは国債中心で進め、脱却後は税収で対処を考える。
3.日本復興5年計画を妨げる阻害要因
・消費税等の増税によるGDPの低下により、税収低下の恐れがある。
・TPPの参加は、
@諸外国からの安い輸入品で、東日本大震災で被災した農業など一次産業への影響がある
A関税障壁の撤廃で輸出入品価格は安くなるが、為替変動の影響がある等があり、現時点では避けなければならない。
4.列島強靭化10年計画の内容(抜粋)
・将来予想される大規模地震に対して国民の財産・生命を守り、日本経済への阻害を最小化する強靭な列島を造りあげていく。
・首都東京の一極集中を緩和するため、機能の分散化をはかる。
・各種インフラの老朽化対策を進める。
・財源については「日本復興5年計画」に準じる。
5.おわりに
人、物、金という3要素のなかで、純技術的な話と異なり財源にまで踏み込んだ話しであり、90分という短い時間であったが、
話に引き付けられた有意義な講演会であった。

講演会当日会場
以上
講演会担当:野村・瀬能、浅岡(文責)
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| 行 事 |
平成24年10月 現場研修会報告 |
| 開催日時 |
平成24年10月19日(金) 13時00分〜17時00分 |
見学先
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東京外かく環状道路(国分工事、田尻工事) |
| 説明者 |
東日本高速道路株式会社 千葉工事事務所 谷中工務課長、青澤国分工事長、小暮稲荷木工事長 |
| 参加者 |
25名(内、非会員1名) |
| 報 告 |
1. はじめに
東京外かく環状道路は、都心から半径約15kmの地域を環状に結ぶ幹線道路で、全体延長約85kmのうち、埼玉県和光市から
千葉県市川市までの44kmの区間については、国道部4車線(国道289号)と高速道路部4車線(自動車専用道路)を併設する
計画となっている。
見学会は、概要説明の後、国分工事の掘割構造の完成状況と田尻工事の京葉JCTとの接続工事の見学を行った。見学中の説明
および見学後の質疑応答にも丁寧に応じて頂くなど有意義な研修となった。
2.
見学状況
14:00に市川駅に集合した見学会参加者はマイクロバス2台に分乗し、14:30から外かん市川相談所で谷中工務課長より外環
千葉区間の概要説明を受けた。その後、マイクロバスで国分工事に移動し完成済区間の掘割構造を見学した後、田尻工事に
移動し京葉JCTの接続部の工事状況を見学した(写真−1)。

【写真−1】 谷中工務課長による概要説明
【国分工事】
国分工事は市川市堀之内1丁目から同市国分1丁目までの区間を半地下の掘割構造で施工している。
今回見学したのは、外環(千葉県区間)の本格的な施工に先立ち平成17年からの4年間で試験施工した完成済区間である
(写真−2)。
当該工事区の周囲には住宅が多いことから、騒音・振動に配慮しながら工事を進めているとのことであった。
本工事では、オーバーブリッジの設置、通水対策工、防音対策等の周辺環境に配慮した対策を講じている。
とくに現場バッチャープラントは防音ハウスで囲っており、これにより騒音を低減するとともに、コンクリート製造過程で
発生する粉塵の飛散を防いでいるとのことであった(写真−3)。

【写真−2】 掘割構造の内部

【写真−3】防音対策(バッチャープラント)
【田尻工事】
田尻工事は、市川市田尻地区において外環自動車道と京葉道路と接続する京葉JCTの建設を行う工事である(写真−4)。
外環自動車道本線部および京葉JCTランプ部は半地下構造となっており、地上部の既存道路を迂回供用させながら地下で
躯体の構築を行っている(写真−5)。
また、地上部の道路交通への負荷を低減するために京葉JCT-AランプおよびDランプは、地盤の中をトンネルで施工する非開削
工法を採用しているとのことである。
工事にあたっては、周辺環境への負荷を軽減するために、夏場の緑のカーテンの栽培や、空調電力削減対策としてソーラー
電源を採用するなど省電力化、Co2削減のために様々な工夫を行っている。

【写真−4】 工事箇所全景

【写真−5】京葉道路交差部の本線部躯体
3.
おわりに
東京外かく環状道路は、都心から半径約15kmの地域を環状に結ぶ幹線道路である。このうちの千葉県区間は延長約12.1km
の区間で平成27年度の前線開通を目標に整備を進めているとのことである。この地域は南北方向にアクセスする道路が
少なく、慢性的な渋滞が発生しており交通環境の悪化が問題となっている。外環はこれらの問題を解消する松戸市、
市川市の中心的な道路としての役割が期待されている。
今回の見学会に際し、概要説明ならびに見学の案内等に携わっていただいた東日本高速道路株式会社ならびに工事関係者
の皆様に感謝申し上げるともに、工事の安全を祈念し報告を終わらせたいと思います。
※引用、当日配布パンフレット。
担当幹事 久多羅木吉治、宮下紀代則、鈴木久尚(文責)
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| 行 事 |
平成24年9月 講演会報告 |
| 開催日時 |
平成24年9月26日 (水) |
| 講演名 |
道路防災リスクマネジメントについて |
| 講演者 |
田村 敬一 独立行政法人土木研究所耐震総括研究監 (併)構造物メンテナンス研究センター長 |
| 開催場所 |
日本工営株式会社 本社3階A会議室 |
| 報 告 |
1.はじめに
今回は、リスクとリスクマネジメントの意味、海外事例およびリスクマネジメントの道路防災への適用検討具体例について報告していただきました。
2.概要
概要については、講演者の要望により当日配布された講演概要により代用します。
(1)リスクとリスクマネジメント
・リスクマネジメントに関する用語規格:ガイド73(ISO/IEC Guide 73)
・国際標準化機構(ISO)と国際電気標準会議(IEC)による規格
・リスクとは「事象の発生確率と事象の結果の組合せ」と定義。
・リスクマネジメントとは「リスクに関して組織を指揮し、管理する調整された活動」と定義。
・リスクとは既に発生したことではなく、将来ある事象が発生する可能性を意味するものであるため、
リスクマネジメントとは、ある事象が発生する可能性があるという事前の段階でそれをいかにコントロールするか という技術に相当。
(2)トランジットニュージーランドによるリスクマネジメントプロセスマニュアル
・リスクとして、危機と好機の両者を考慮。
・事象の発生確率と影響の大きさを点数付け。
(3)リスクマネジメントの道路防災への適用検討
・リスクマネジメントプロセスマニュアルの考え方を導入。検討フローは下図参照。
・種々の災害の発生確率及び災害が種々の道路施設に及ぼす影響の大きさを点数付け。種々の災害に対する種々の道路施設のリスクを共通の指標で評価。
・危機リスクへの対処措置により付随的に発生する良好な結果を好機とする。具体的には、斜面対策による反対側沿道建物への土砂災害の防除。
・道路防災対策を実施することによる被害の防止を対策効果と考え、対策効果と対策費用の比から対策の優先順位について検討。



3.おわりに
今回の講演では、リスクには“危機”のみならず“好機”のリスクもあることなど興味深い説明があった。また、種々の道路施設に種々の災害が影響を及ぼすことから、まだまだ研究の余地があり、今後の研究成果が待ち遠しく感じました。
担当幹事 鴫原徹 久多羅木吉治 山室重樹(文責)
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| 行 事 |
平成24年8月 現場研修会報告 |
| 開催日時 |
平成24年8月24日 (金)13時00分〜15時00分 |
| 見学先 |
東京湾(視察船 新東京丸) |
| 参加者 |
41名(うち非会員1名) |
| 報 告 |
1.はじめに
東京港は日本一のコンテナ取扱量を誇り、ふ頭、倉庫、道路や橋梁など物資の円滑な流通のため総合的な機能の整備を行っている。また、多くの人が親しめる憩いの場、新しい都市づくりの場として、ふ頭の再開発や広大な埋立地の開発を進めている。このように躍動する東京港について、視察船を利用し船上から現場研修会を行った。
2.現場研修
12時30分に集合し、出発までは、パンフレットなどで東京港について事前学習し、13時30分に出航した。
トレーラートラックの荷台部分のみを運搬するRO/RO船が接岸している品川ふ頭、コンテナを満載したコンテナ船が接岸している大井コンテナふ頭や木材、鉱石などを扱うふ頭など、その実績やふ頭の内容などわかりやすく説明をしていただいた。
また、海の森予定地や若洲海浜公園など多くの人々が楽しめるよう、公園の整備も行われている様子を見学することができた。東京湾では広大な面積を廃棄物処理場として埋め立てを行っており、廃棄物処理のための重要な空間であることも紹介された。臨海副都心では、共同溝の整備やゴミ運搬専用の配管がなされ、電線がなく、ゴミ収集車も走っていない都市であることを、わかりやすい言葉で説明を受けた。埋立地を結ぶ海底トンネルや新たに開通した東京ゲートブリッジなど、交通の要衝として機能している様子も見学することが出来た。
東京港は、まさに物流の拠点であり、ウォーターフロントとして整備が進んでいることが実感できた現場研修会でした。
3.おわりに
今回の現場研修では、船内で東京港についての説明が大変わかりやすく、興味をそそる内容でした。港湾局の皆様ありがとうございました。今後の東京港のご発展を期待しております。

参加者全員

船内で説明を受ける参加者
【担当幹事】 垣本弘 竹中敏雄 榎本浩(文責) |
| 行 事 |
平成24年7月講演会報告 |
| 開催日時 |
平成24年7月25日(水) 18時00分〜19時30分 |
| 講演名 |
―東日本大震災― PC橋の被災状況と今後の津波対策に向けて |
| 講演者 |
西垣義彦氏(社)プレストレストコンクリート建設業協会 技術部会長 |
| 開催場所 |
日本工営本社 会議室 |
| 報 告 |
1.はじめに
東北地方太平洋沖地震では、多くのインフラストラクチャーが甚大な被害を受けました。最近の我が国の地震被害では、兵庫県南部地震をはじめ津波による例は少なかったのですが、今回の東日本大震災被害は津波の影響が顕著であったことが大きな特徴です。このような中で、研修会ではPC橋に関して被害状況の紹介およびその対策についてPC橋施工者側からの視点からお話をいただきました。
2.東北地方太平洋沖地震の概要
今回の地震について、その概要を説明される。
@ マグニチュードMw=9.0 という我が国最大規模の地震
A 地震動の継続時間が3分以上と長い
B 震源域が広い(三陸沖200×400km)
C 加速度応答スペクトルは、道路橋示方書耐震編に記載された応答レベルの範疇に入っていた。
D 津浪高さが影響によっては30mを超えており、堤防設計条件を超えるケースが多くの場所で生じた。
(被害を大きくした原因でもあり、油断もあった)
3.PC建協の動き
地震後のPC建協(プレストレストコンクリート建設業協会)の行動について説明されました。
3月11日にPC建協本部内に災害対策本部が設置され、橋梁調査派遣要請に基づき、橋梁点検調査班が編成される。また、国交省からは3月12日に災害応急対策への協力要請が、PC建協災害対策本部にあり、各会社単位に担当区域が設定されたとのことです。
特筆事項
※東北自動車道が機能していた。
※緊急車両通行証が有効に機能した。
PC橋の調査;橋長15m以上のコンクリート橋(直轄国道、県管理の緊急輸送路、跨線橋、跨道橋)
調査橋梁数;1253橋(調査日3月18日〜4月17日)
調査対象 ;県(岩手319橋、宮城361橋、福島243橋、茨城70橋、山形147橋) 国交省 113橋 (国道45号、三陸道)
4.PC橋の調査結果および対策
PC建協で纏められた調査結果および対策について、写真、図により報告されました。
@地震動による被害は少ない。(支承部および伸縮装置の損傷等に限定される)
A落橋防止対策、耐震補強対策の効果により被害は最小限であった。
B橋台背面の取り付け道路との段差・流失が多く確認された。
C橋の被害は津波による影響が顕著であった。(南三陸沿岸域に集中)
鉄道橋28橋、国道15橋、県道25橋、その他154橋 (長岡技術大学調査より)
現地写真による被害状況の説明
沼田跨線橋(陸前高田市)、歌津大橋(南三陸町)閖上大橋(名取市)
定川大橋(石巻市)、松川浦大橋(相馬市)、宝来橋(山田町)
普代水門橋 岩切線路橋etc
※被害度の大きな形式;複数連の単純T形桁構造
※幅員が狭い側道橋、添架橋の流出頻度が高い
※上揚力への対策が講じられていない
※流出した橋による二次災害防止に備える
※自重が重いPC橋は津浪に対しては鋼橋に比べ有利と言える。
※PCスラブ橋は桁高が低く津波の影響は小さく有利である。
※桁橋は桁下面の開口により波の巻き込み、浮力等の影響が大きくなる。
5.おわりに
プレキャストプレストレストコンクリート人工地盤の活用による津波対策まちづくりについては、限られた時間内では十分な説明を聞けませんでした。橋梁設計においては、橋梁形式の選定、上下部工の連結等設計に配慮すべき要因があることを、被害事例から指摘されました。防災・減災の観点からも、技術革新への不断の努力が必要だと感じました。

講演会状況
(河瀬 記)
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| 行 事 |
平成24年6月 現場研修会報告 |
| 開催日時 |
平成24年6月28日(木)14時00分〜16時00分 |
| 見学会 |
首都高速道路(株)中央環状品川線工事見学会 |
| 見学先 |
おおはし里の杜(換気所屋上)、大橋連絡路シールド(中央環状品川線)(中央環状大橋ジャンクション) |
| 説明者 |
(財)首都高速道路技術センター 特別広報担当 川瀬 修氏、 中西課長代理 |
| 参加者 |
27名(内、非会員1名) |
| 報告 |
1.はじめに
首都高速は、昭和37年(京橋〜芝浦間)の初開通以来、昭和42年に都心環状線(皇居〜芝公園を囲む)の形成、京葉道路(S46)、東名高速(S46、3号渋谷線)、中央(S51、4号新宿線)、東関東(S57)、常磐(S60)、東北(S62)の各自動車道と接続してきた。
高速中央環状線は、渋滞を抜本的に解消するための道路ネットワーク整備として、都心環状線の交通をう回・分散させるために進められてきた。建設は、昭和62年(葛西JCT〜四つ木間、千住新橋〜川口線川口JCT間)の開通から、平成14年(板橋JCT〜江北JCT間)、平成19年(西新宿JCT〜熊野町JCT間)が開通。平成22年3月28日の高速環状新宿線(3号渋谷線〜4号新宿線間4.3Km)の開通により、今回の見学先である大橋JCTは一部供用されている。
今後、高速中央環状線は、平成25年度に高速環状品川線(9.4Km)と大橋JCTの完成により全線開通(47Km)する予定である。
今回で2度目(前回H22.11)となる大橋JCT見学会は、概要説明の後、大橋JCTの換気所屋上に整備された「おおはし里の杜」と高速環状品川線との「大橋連結路シールド」の見学を行った。
見学中の説明および見学後の質疑応答にも丁寧に応じて頂くなど、無事に終了すると共に有意義な研修となった。
2.見学状況
13:30池尻大橋駅に集合した見学会参加者は、14:00より換気所3階会議室での川瀬氏および中西氏よりの大橋JCTの概要説明を受け、その後、EVでの移動にて「おおはし里の杜」見学後、西ゲートから北ゲートまでジャンクション周囲を徒歩移動し、北ゲートからはヘルメット・マスク着用で「大橋連結路シールド」の見学を行った。
【写真−1】 川瀬氏による概要説明 【写真−2】 換気所模型(断面)
【大橋JCT概要】
大橋JCTの完成時には、フル規格ジャンクションとなり、すべての方向への行き来が可能であり、一般的なクローバー型インターチェンジの1/4以下のコンパクトな用地面積で構築されている。3号渋谷線(主に高架橋)から中央環状線(主にシールドトンネル)の高低差は、約70m(地上約35m、地下約35m)で、最急縦断勾配は7%が採用され、大橋JCT内で2周(一周約400m)して接続されている。
【おおはし里の杜概要】(H23土木学会環境賞(Iグループ)を受賞)
大橋JCTは、環境や景観への取組みが積極的に行われている。特に環境面では、自然環境・地域との共生として、「大橋“グリーン”ジャンクション」の3つの緑(街並み・公園・自然再生)をモチーフに、まちづくりを踏まえた首都高の環境技術が凝縮されている。
「街並みの緑」として、「コロッセオ風の壁面に風格のある緑」として、ジャンクション外側ループ壁面にオオイタビ(常緑つる性登はん型、年成長高約50cm、同系園芸品種:プミラ)等が用いられ、地表面から時間経過(H35m/0.5m/年=70年?)とともに、地域景観との調和と風格をもたらす緑化が既に施工されていた。
「公園の緑」として、ジャンクション屋上に「目黒天空の庭」をコンセプトに、全国初の試みで目黒区と連携して回遊式の公園整備が、H25年度完成時までに実施される予定である。そして「自然再生の緑」として「おおはし里の杜」が位置づけられており、換気所屋上に、かつての目黒川周辺の自然再生として、斜面林、わき水〜せせらぎ〜池や水田等が整備されて、地域の自然と連携するエコロジカル・ネットワークとして環境改善にも寄与している。水田は、昨年から地域の小学生により、田植えから稲刈り体験学習が行われ約25Kgの収穫があったとの説明があり、今回の見学会前日に2年目の田植えが済んだところであった。

【写真−3】 おおはし里の杜(田植え済み) 【写真−4】ジャンクション横(街並みの緑)
【大橋連結路シールド概要】
環状品川線(第2種第2級、設計V=60Km、往復4車線)本線から分岐し大橋ジャンクションに接続する箇所(高速道路でのランプ部)の見学である。
今回は、品川線の最深部(大井JCT→新宿方向)の分流部から、新宿線(供用中)からの合流部の連結路工事の見学であった。
本線等のシールド工事としては「DSR工法」、分流部では「非開削切開き工法」、合流部では「シールド切開き工法(ソイルセメント鋼製地中連続壁工法+逆巻き工法等)」が採用されている他、開削トンネル(CMS工法)、地上避難出口(リバース工法を用いたアーバンリング工法)など、世界に誇れる多種多様な工法が採用された緻密な施工が進行中であった。
【写真−5】見学会参加者(分流部) 【写真−6】 合流部
3. おわりに
中央環状線山手トンネル(3号渋谷線〜4号新宿線)開通後の利用状況(H22.04.21速報)の交通量は、都心環状線は開通後、約2.0万台/日減少し約9.7万台/日に。中央環状線山手トンネルは、開通後、約3.1万台/日増加し約6.6万台/日に変化している反面、3号下りの渋滞が増加等、所要時間および渋滞長の変化があり、今後の中央環状品川線全線および中央環状全線の開通が期待される。なお、見学中に大橋ジャンクション横の歩道を、ベビーカーを押しながら会話を楽しむ母親グループの歩く姿を拝見し、環境や景観、地域との共生等の様々な取組みが、着実に地域に受け入れられていることを実感することができました。また、今回の見学会に際し、概要説明ならびに見学の案内等に携わっていただいた首都高速道路(株)ならびに工事関係者の皆様に感謝申し上げるともに、工事の安全を祈念し報告を終わらせたいと思います。
※引用、首都高速道路(株)ホームページおよび当日配布パンフレット。
担当幹事、鈴木久尚、宮下紀代則、武曽善樹(文責) |
| 行 事 |
平成24年5月講演会報告 |
| 開催日時 |
平成24年5月25日(金) 18時00分〜19時30分 |
| 講演名 |
土木技術者の実践と自律的規範の醸成
―社会的問題の発見・解決の視点を考える― |
| 講演者 |
木村定雄 金沢工業大学環境・建築学部環境土木工学科教授 |
| 開催場所 |
弘済会館 |
| 報 告 |
1.はじめに
講演者の木村定雄教授は、トンネル工学を専門とされ、また、道路のリスクマネジメントやトンネルの維持管理といった建設マネジメントの研究にも多く携わられている。本講演会では、技術者のあるべき姿を「省察」という概念を根幹に、広義の技術者倫理として土木技術者の規範についてお話しいただいた。
2.講演者プロフィール
氏名: 木村定雄(きむらさだお)
所属:金沢工業大学環境・建築学部環境土木工学科教授
学歴:1984年3月 東洋大学大学院 博士前期課程修了
職歴:1984年4月 佐藤工業樺央技術研究所・技術部
1999年〜2000年 東洋大学工学部 非常勤講師兼務
2001年8月 金沢工業大学工学部土木工学科 助教授
2007年4月 金沢工業大学環境・建築学部環境土木工学科教授
2008年 金沢工業大学地域防災環境科学研究所研究員兼務
2012年 現在に至る
資格: 博士(工学) (2001年・早稲田大学)
技術士(建設・トンネル) (1997年・日本技術士会)
コンクリート主任技師 (1991年・日本コンクリート工学協会)
一級土木施工管理技士 (1989年・建設省)
上級教育士(工学・技術) (2012年)
3.講演概要
講演では、「倫理」について、法令順守などの狭義の定義ではなく、個人の持つ意思決定、ものの見方、考え方が筋の通ったものでなくてはならないという広義の技術者倫理として、科学、技術、工学の持つ意味に立ち返り、技術者のあるべき姿を解説いただいた。
難しい哲学的な内容を、ギリシャ神話から読み取れる技術の本質を探るなど、平易な説明に配慮された講演であった。その中から、印象に残った言葉を紹介する。「技術は人を悲惨から救う知の福音」(人にとって技術は有益である)「技術は必然(自然の力や秩序、法則)よりも弱い」(技術が進歩しても、自然が持つ力や法則を変更する企ては、必ずや深刻な報復を招く)「先の見えない希望」(過信してしまうと、先を見通すことのできない闇雲な希望を与えることになる)これらの、古代の思想は、そのまま現在の地球環境の変化の状況を言いえているようで、技術者として反省すべきところを強く意識させられた。また、講演では「省察」という言葉が使われ、単なる考察ではなく、過去を振り返って将来に向かう姿勢が技術者の規範として重要であることが唱えられた。とはいっても、過去の知見のみが真理ではなく、科学技術は自然界の法則を人が理解するために言語や式で説明できるようにしているものに過ぎないことも説明された。特に、「技術は人の歴史とともに古いが、自然は人の歴史よりも古い」という言葉からは、科学が万能ではなく、自然を侮ってはいけないということを再認識させられたそして、政治的問題や制度的制約とは切り離れた自律的な技術者規範を醸成することが、技術者としての社会に対する責務であり、完全合意が不可能な事柄を議論し続けることが必要とされた。さらに、省察のために技術者として備えるべき資質と技術、そして、実践の手法と評価の基準などについての解説があり、最後に、実践とその振り返りを繰り返す省察が自律的な技術者規範を形成するものであると同時に、規範のあり方そのものも確定されたものではなく、将来にわたり議論を重ね精緻し続けることが必要であるとして締めくくられた。講演後、説明責任における技術者のあり方などの参加者からの質問に対して、「安全」「安心」のとらえ方や「国家」と「個人」の関係などを含む丁寧な説明があり、技術者にとって極めて有意義な講演会は終了した。

4.おわりに
今回の報告は本講演の一面的な部分であって、聴講によって得られた知見や聴講者の思うところは様々であろう。本講演の本質は極めて深いところにあり、一回の聴講では完璧に理解するのが難しいと思われる。したがって、より理解を深め、技術者のあるべき姿をより強く意識するために、是非とも技術士会HPのWEB聴講をご利用いただきたい。
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| 行事 |
平成24年4月 現場研修会報告 |
| 開催日時 |
平成24年4月18日 (水)15時00分〜16時30分 |
| 見学会 |
JR東京駅丸の内側 工事現場(千代田区丸の内1−9−1) |
| 見学先 |
JR東日本・東京工事事務所 東京駅復元プロジェクト課 |
| 参加者 |
26名(うち非会員2名) |
| 報告 |
1.はじめに
JR東京駅丸の内駅舎は、東京空襲時に破壊され原型と違った形で復旧され使用されてきましたが、当初の設計図等に従い日本の表玄関として建設当初の形に復原すると共にRC基礎杭、地下2・3Fの新設、耐震構造化する等の補強、機能の拡大並びに増改築工事等が行われています。
2.現場見学
参加者は東京駅丸の内中央改札口に集合、15:00〜15:15建設企業体会議室にて東京駅の歴史と復原工事概要のビデオ、復原工事の耐震構造の説明ビデオを見た後、現場に移動し、JR東日本東京工事事務所東京ステーションシティ施設技術担当の柴崎良成氏の案内・説明により見学が始まり、途中質疑応答しながら、会議室に戻り、更に活発な質疑応答が行われた後、16時30分終了となった。
日本が世界に誇れる歴史的駅舎建造物の外観が復原されるのみならず、機能を拡大、耐震・免震の構造体にと改築される歴史的工事の技術等が具体的に良く理解でき、大いに勉強・研鑚になったと考えます。復原駅舎は、幅20〜41m、延長約335m、地下3階、地上3階(一部4階)の建造物となるが、10年前から計画され、総工事費500億円、今秋完成の予定である。
工事環境の面でも営業駅・営業線・オフイス街に隣接した地域であるうえに工事全体について外観の形状寸法・外装材等の復原、既存松杭・基礎の撤去・RC場所打ち杭新設・基礎梁による仮受施工、地下部逆打施工、免震構造等、量・質の両面においても歴史的難工事と思われますが、最新の技術が的確に駆使され、的確な工事管理により完成に向かっている。
3.おわりに
今回の現場研修会で熱心に案内頂きましたJR東京工事事務所の皆様、お忙しい中誠に有難うございました。無事の工事完成を願っております。

担当幹事 山室重樹、河北慶介、吉田圭佑(文責) |