平成15年度技術士第一次試験合格者歓迎会[研修会の部]要旨集


当日の様子を写真で紹介

1. 【特別講演】技術士への期待と役割 日本技術士会専務理事 竹下  功 当日資料
【要旨】
 国の,科学技術への期待は高く,わが国は科学技術創造立国であると宣言している。しかしながら,昨今の科学技術の世界では,トラブルや不祥事,失敗等,懸念される事項も多く見られる。
 このような状況の中,海外との技術者相互承認や技術者に高い職業倫理を求めることを骨子とした技術士の改正が行われた。新しい制度のもとでは,技術士に公益確保の責務と資質向上の責務が明示的に課されている。
 本日お集まりの皆様は,新制度の第一期生である,修習を重ねて第二次試験に合格し,名実共に日本の科学技術立国の一翼を担ってほしい。
 日本技術士会では,事業の一環として修習技術者の支援を行っている。効率的な修習のためにも,入会をお勧めする。
2. 【講演】技術士への道
技術士法(省令他)改正に伴う,第二次試験の技術部門と選択科目の変更
日本技術士会常務理事(技術士試験センター長) 大谷 邦博
【要旨】
 平成12年に行われた法律改正後,移行期間を経て新技術士制度が完全施行された。新技術士制度の改正事項は次の通り。
  1. 職業倫理の重要性の明示と徹底
  2. 技術士試験の改正
  3. 継続教育(CPD)の奨励
  4. 原子力・放射線部門,総合技術監理部門の増設
  5. 外国技術者資格を有する者の認定
 技術部門の見直しは,科学技術の進展及び社会的需要への対応による。改正後,技術士の部門は全21部門となり,一部の技術部門の名称が変更される。また,二次試験の受験に当たっては,原則一次試験の合格が必須となる。
 本日お集まりの皆様は,既に修習技術者であり,ぜひ技術士を目指してほしい。
3. 制度としての技術士への道と,備えるべき能力要件 修習技術者支援実行委員会委員長 佐藤 国仁 当日資料
【要旨】
 技術士とは,次のような能力を備えた技術者であると定義される。
  1. 高度の専門的能力
  2. 業務を自立して遂行することができる
  3. 倫理規範を備えている
 修習技術者が修習を重ね,技術士になるためのガイドブックとして,「修習技術者のための修習ガイドブック(第2版)」が作成されている。本ガイドブックには,修習技術者制度の概要をはじめ,修習計画の作成,修習の実施,修習成果のまとめに必要な事項が具体的に記述されている。
 このガイドブックを参考として,今日から直ちに修習をはじめることを薦める。
4. 【パネルディスカッション】二次試験合格への挑戦  コーディネータ
  青年技術士懇談会 佐藤 嘉憲
 パネリスト
  1.実務経験での合格者    桜井 裕一 技術士(建設部門)
  2.技術士補からの合格者  久保 康弘 技術士(生物工学部門)
  3.企業からの修習技術者  伊藤 英忠 技術士補(応用理学部門)
  4.大学からの修習技術者  佐藤 大樹 技術士補(環境部門)
 各パネリストからの発表要旨
【テーマ:業務遂行能力の習得方法】桜井 裕一氏

 業務遂行能力の習得には,次の5つの力が必要である。
  1. 人の力を活用する力
    • 社内外のヒューマンネットワーク
    • リーダーシップ
    • 意思伝達力
  2. 倫理的思考力
    • 計画力(PDCA)
    • 情報感度
  3. 自己啓発力
    • 人生観,世界観
    • 新分野に挑戦する力
  4. 実践力
    • 集中力・忍耐力
    • マネジメント能力
  5. 創造力(独創力)
    • 先見力・洞察力
    • 問題解決能力
    • 夢を持つ
 もっとも大切なことは「成し遂げようとする意志力」である。成果を達成しようという強い意志の力が,潜在能力に刺激を与え大きな力を生み出す。

【テーマ:専門技術能力の習得方法】久保 康弘氏

 社内外の資源を有効活用して,専門技術能力を身に付けてきた。
  1. 社内での専門技術能力の習得方法
    • 先人達の蓄積(各種の実験報告書)をフル活用
    • 技術士第1次試験に合格し,親会社の技術士を補助
    • 研究所員との情報交換会,輪読会,月例報告会等の社内行事への参加
  2. 社外では(社)日本技術士会の各種行事・インフラを利用
    • 部門毎に開催される部会:所属部門の部会のみならず,関連部門の部会へも積極的に参加
    • プロジェクトチーム
    • 青年技術士懇談会等,各種委員会行事
    • 地方の技術士会
 (社)日本技術士会の部会や各種行事等は専門技術能力を身につける上でも有用。多くの技術士を知り,独自の技術士像をつくりあげることが大切。
 現在は,独立自営の技術士として活動。業務がそのままCPD(継続的専門性開発)となっている。

【テーマ:技術士挑戦の動機と目的】伊藤 英忠氏

 大学時代に技術士という資格を知る。社会人当初は業務経験7年で二次試験を受験するよう指導されたが,制度変革時期に一次試験を受験し,合格・登録。(社)日本技術士会の部会や委員会活動等を通して,情報収集と仲間作りを心がけている。
  1. 情報収集
    • 月刊技術士の講読
    • 応用理学部会など各部会,修習技術者支援実行委員会,青年技術士懇談会,他にも土木学会などに参加。
  2. モチベーション維持
    • 進んで同世代の仲間をつくる
    • 情報交換と,励まし合い
  3. 専門分野の知識習得
    • 恩師との出会い
      相談,技術論文を分けてもらう等の支援を受ける
    • 各行事に参加
    • 手書きが大事だが,添削のためにはワープロが便利
 結局は自分に帰結すること。身近な人たちの支えやリラックスできる心の余裕も大切。

【テーマ:修習期間のモチベーション維持】佐藤 大樹氏

 大学での研究,青年技術士懇談会の委員補佐としての活動等の体験談を通して,修習期間のモチベーション維持について紹介。
  1. 1次試験合格部門と受験の動機
  2. 大学での研究の概要と修習技術士との関連性
  3. 青年技術士懇談会の委員補佐としての活動
  4. 今の研究と,将来の職業と,技術士補 (就職活動を通して)
  5. 今後について
 修習技術者として,また青年技術士懇談会のメンバーとして技術士を目指す自分,研究活動を行う大学院生としての自分,学生として将来の進路を悩んでいる自分等がお互いに影響しあいながら,少しずつ成長している。

 質疑応答(一部)
【独立についてどう思うか】
 自分の専門と努力が直接成果に反映される。厳しいが,やりがいはある。
【技術士として必要な費用について】
 技術士にはCPDが課せられているが,技術士会のセミナーなどは費用も安く,負担になるようなことはない。
【合格者へのアドバイス】
(佐藤)これから就職を控え皆さんと同じような立場で修習者として修行する身です。宜しくお願いします。
(伊藤)皆さんと同じく2次試験に挑戦する立場です。頑張りましょう。
(桜井)モチベーションを高く維持してください。
(久保)どういう専門を持った技術者になりたいのかのビジョンを明確に。




当日の様子

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開始前の会場

開始前の会場
清野会長祝辞

清野会長祝辞
ガイドブック紹介
「修習技術者のための
修習ガイドブック(第2版)」を紹介
パネルディスカッション

パネルディスカッション
会場からの質問

会場からの質問
交流会での懇談

交流会での懇談



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