我が国は、大陸プレートと海洋プレートが接する変動帯に位置するため、地殻変動が激しく、全国的に種々の規模と活動性をもつ活断層が分布している。ダムや発電所のような「点」の施設は、活断層を避けて立地することが可能であるが、道路や鉄道のような「線状」構造物は、明石海峡大橋や丹那トンネルの例で判るように、活断層を完全に避けて建設することは困難である。諏訪山断層と呼ばれる活断層上に建設された山陽新幹線新神戸駅では、高架橋を山側、中央部(断層上)、海側に区分し、それぞれ独立した構造物として設計された。兵庫県南部地震においては、諏訪山断層が直接動かなかったため、ほとんど被害はなかった。このような特殊な構造物設計により活断層に対応する方法もあるが、活断層により発生する強震動や地盤変位を考えると、活断層上で全く被害を受けない構造物を建設するのは困難である。多少の被害は許容するが致命的な損傷を受けないとか被害を受けても短期間に復旧できるよう、構造物の特性に応じて多様で柔軟な設計が求められると思う。 |