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建設部会

2022年12月 建設部会講演会(報告)

■日 時:令和4年12月7日(水)16:30〜18:00
■講演名:「土木におけるイノベーション〜土木の魅力とは〜」
■講演者:公益社団法人土木学会次期会長、大成建設株式会社代表取締役副社長執行役員 田中茂義 氏
■講演場所:日本教育会館 喜山倶楽部(千代田区一ツ橋2-6-2)光琳の間 会場/オンライン併用ハイブリッド形式
■参加者:128名(会員19名、非会員 2名、WEB受講 107名)

■講演内容
(1)概要
・講演者が従事した工事での経験談として「揖斐川橋建設工事」をご紹介頂くとともに、土木におけるイノベーションの事例をご説明頂いた。

(2)従事した工事での経験談「揖斐川橋建設工事」
・揖斐川橋には、中央支間長271.5 mのPC・鋼複合連続エクストラドーズド橋が採用されている。西暦2000年前後の当時では世界最大となるプレキャストセグメントで製作ヤードから海上輸送して架設した。
・敷地面積80,000 m2の製作ヤードは工場と呼べるほどの規模であり、ここでは無駄な工程を省くスーパーバイズに取り組むことにより、4日間に1基のセグメントを製作することができた。それは、製作工程管理や側径間の施工方法においてフランス人技術者と協働して新しい方法に挑戦したことによる。
・ここで得られた知見、経験が新たな工事設計・施工方法に活かされるようになり、橋梁工事分野に大きなイノベーションが起きた。

(3)土木におけるイノベーションの事例
・近年の[1]少子高齢化、[2]人手不足、[3]技術継承といった課題を背景として、土木分野におけるイノベーションが必要とされる。現在、i) 新しい施工方法と施工管理、ii) リニューアル分野、iii) カーボンニュートラル関連分野において、イノベーションの取り組みが進められている。
・i) 新しい施工方法と施工管理:「自動化・無人化」の事例として、自動ブルドーザーや自動転圧機が動画を交えて紹介された。これらは遠隔操作室から自動建設機械をモニターするもので、実用化に向けた開発が進められているとのこと。また、「トンネル掘削工事の自動化」においては、装薬・発破を人力に頼らないことが課題となっているが、2024年までに装薬作業の自動化技術を開発すべく取り組んでいる。サイバー空間での分析・シミュレーションをフィジカル空間での工事作業へリアルタイムで活かして品質・進捗を管理する「デジタルツインの実用化」が紹介された。JR渋谷駅の改良工事では駅構内の点群モデルを用いたドライブシミュレーションを行っている。「コンクリート施工管理の高度化」のためには、クラウド端末を利用してリアルタイムでトレーサビリティを高め、品質・生産性の向上を図る「it-Concrete」を開発している。また、AIを用いた安全性の向上に取り組んでいる。
・ii) リニューアル分野:ダム再生分野における無人化施工や通行止めの期間短縮が課題となる高速道路のリニューアル技術の高度化に取り組んでいる。例えば、床版の間詰部では従来ループ継手として鉄筋を要していたものが、Head-barジョイントという新技術では鉄筋が不要となり、省スペース化と急速施工を実現させている。
・iii) カーボンニュートラル関連分野:洋上風力発電分野では、浮体式での高容量化に取り組んでいる。また、CO2回収・貯留分野では、環境配慮コンクリートの製造過程で排出されるCO2収支をマイナスにすることが可能となる、カーボンリサイクル・コンクリート「T-eConcrete/Carbon-Recycle」を開発している。

(4)まとめ
 今後のイノベーションの方向性としては、[1]生産性の向上、[2]安全、安心の実現:防災・減災にはじまり、老朽化構造物のリニューアルを含む、[3]新分野への貢献:カーボンニュートラルなど、地球環境問題への取り組みとそのための多分野と連携したオープンイノベーションが求められよう。そのような中で、土木技術者に求められる資質は高く、「土木技術者は将の将たる人」であるべしと初代土木学会会長古市公威の言葉を引用された。

土木におけるイノベーションと土木の魅力について、具体的な事例を交えながら分かりやすくお話いただいた公益社団法人土木学会次期会長、大成建設株式会社代表取締役副社長執行役員 田中茂義様に深く感謝申し上げます。

以上
講演会担当:影山、宮下、浅岡,鈴木、山下(記)

写真ー1講師近影(拡大画像へのリンク)

写真ー1 講師近影

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写真ー2講演会風景(拡大画像へのリンク)

写真ー2 講演会風景

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