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建設部会

平成28年9月 建設部会 講演会報告

開催日時:平成28年9月21日(水) 18時〜19時30分
講 演 名:ICT施工技術の取り組み
講 演 者:国土交通省関東地方整備局 企画部施工企画課 一本秀樹 課長補佐
講演場所:パシフィックコンサルタント(株)16階会議室
参 加 者: 32名(1名) ( )内は非会員数

1.はじめに
 ITからIoTと情報通信や制御技術の発展に伴い、国土交通省は建設現場の生産性向上と、予想される労働力不足対応、建設現場の労働安全性向上等を目標にしたi-constructionを進め、新しい建設現場を目指してICTを利用した建設機械の導入を図っている。
(IT:Information Technology IoT:Internet of Things ICT:Information and Communication Technology)
 一般土工(河川・海岸・道路等を含む)では、モーターグレーダ、ブルドーザ、バックホーにマシンコントロールシステム、マシンガイダンスシステムを取り付け、3次元設計データを取り込むことで、排土板、バケットの動きを制御しながら施工するICT建設機械が取り込まれている。
 ICT活用により土工事の建設機械歩掛りは、1.2〜1.5倍の向上が図られていることが確認される一方で、人による最終判断を必要とする現場での施工無人化や、夜間施工の可能性については建設知識・技能を蓄積した人口知能や建設ロボットの活用が考えられている。

2.講演の概要
 講演会では、i-constructionの取り組み概要から
 ・ICT施工技術の全面的な活用(土工)の概要
 ・関東地整での取り組み概要
 ・ICT建設機械による施工の概要
 ・i-constructionのさらなる推進
 ・ICT土工の監督検査概要 について説明を受けた。以下にその要点を記載する。
(1)i-constructionの取り組み概要
 情報通信と制御技術が進み、現場の生産性向上を図る良い機会であり、ICT技術の活用、規格の規準化、施工時期の平準化を進め、調査・設計から施工・検査、さらには維持管理・更新までのプロセス全体を最適化して、企業の経営環境改善、魅力のある建設現場、労働災害が削減されて安全性の向上した現場を目指している。

(2)ICT施工技術の全面的な活用(土工)の概要
 ICT土工の流れは以下となる。
 ・施工段階での利用を前提に、工事契約図書の3次元デジタル設計データ化をおこなう。従来の平面線形、縦断面・横断面形状で構成されていた図面を、不等辺三角形を使用した表面形状にデジタルデータ化していく。
 ・ICT建設機械による施工とドローン等を利用した無人空中写真撮影またはレーザースキャナーによる出来高管理をおこなう。数量(出来高)は従来の管理断面から計測された多数の点群による標高差を利用して算出する。
 ・3次元データによる納品と検査。
  検査は従来の管理断面測量と計測結果の手入力から、GPSとレーザースキャナー受信器が一体化した検査機器(製品名:GNSSローバ)を利用することで位置と高さが容易に計測され、検査日数と検査書類が大幅に削減される。( GPS:global positioning system)

(3)関東地整での取り組み概要
 国土交通省において、建設現場の生産性を向上させ、魅力ある建設現場を目指す新しい取り組みとしてi-constructionが開始された。
 これに基づき、関東地整ではH28年2月よりi-constructionの効果的な具体的手法の追求と、活用可能な技術の導入を図るために推進本部を設置した。ICT活用工事(土工)と、情報化施工の実施方針を示し、i-construction技術の教習活動・講演会を開催している。又、フォローアップ活動としてICT土工(ICT施工)に関する問い合わせ用のメールアドレスを関東地整HP内に開設した。

(4)ICT建設機械による施工の概要から土工の監督検査概要
 ICTを利用した土工事の実施例として、ブルドーザによる土砂の敷き均し工事、バックホーによる斜面の掘削・切土工事、河川の浚渫工事が紹介された。
 国土交通省ではi-constructionを推進して、平成37年(2025年)までに建設現場の生産性2割向上を目指しているが、橋梁・トンネル・ダムの施設管理にICTを活用して3次元モデルによる監督管理の効率化を図り又、産官学連携による公共工事のデータプラットホームを整備して人口知能・産業ロボットの活用なども視野にいれている。

3.おわりに
 高齢化が進み、建設技能労働者が減少し労働生産性の向上と、多くの中小建設企業で若い優秀な建設労働者の確保が問題となってきている。又、たとえICT化された建設機械でも、土工事で排出された土砂がタイミング良く移動できなければICT化の意味は失ってくる。調査・設計から検査・維持管理までのプロセス全体が切れ目なく回転することが大切で、これにより初めて労働生産性の向上が図られていく。ICT化された建設機械といえども、最終的には人間の判断を必要とする。建設知識・技能を蓄積した人工知能や建設ロボットが人間に替わる日も将来あり得ると思う。ICTが建設インフラとして投資され始めているが、楽しみな建設現場の技術である。
 講演終了後の講師との活発な質疑応答があり、盛況のうちに講演会を終了した。

 講演担当:武曽、斎藤、浅岡(文責)

写真ー1講演会の様子(拡大画像へのリンク)

(画像クリックで拡大 32KB)

写真ー2講演会の様子(拡大画像へのリンク)

(画像クリックで拡大 39KB)

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