建設部会のホーム部会活動状況平成26年5月建設部会講演会報告
日時 :平成26年5月21日(水) 18:00〜19:30
講演名 :ダムのアッセトマネジメント
講演者 :角 哲也氏 京都大学防災研究所 水資源環境研究センター教授
講演場所:日本工営株式会社3階(東京都千代田区麹町4−2)
参加者:30名(会員24名、非会員6名)
はじめに:
国内ダムで、平成24年現在管理を開始してから30年以上を経過した老朽化ダムが49%に達している。構造面と機能面の長寿命化を目的に限られた予算のなかで投資効果に見合った維持管理をしていく必要があり、アセットマネジメント(資産管理)の手法を利用した社会インフラ整備について講演会を開催した。
講演内容:
老朽化対策としてアセットマネジメントに関連する具体的事例がパワーポイントで紹介された。
・布引五本松ダム(神戸市水道局:明治33年完成)では、排砂バイパストンネルによりダムの堆砂量が減り1000年ダムを目指している。
・補修事例としてダム堤体の劣化にはコンクリート表面の凍結融解、水流による表面の剥離があり30年を目処とした総合点検が実施されている。
・水道事業における事例紹介。地域水道のビジョン作成・基本計画→実施→新設・更新(日常的資産管理となるミクロマネジメントの実施)→情報の整備・蓄積→更新事業・財政収支の見通し(施設全体の資産管理となるマクロマネジメントの実施)となるPDCAのサイクルが廻されている。
・佐久間ダムの堆砂進行状況と下流域への影響として太平洋を周遊する赤海亀の産卵場所となる天竜川河口の海岸侵食、高山ダム堆砂による木津川の河床低下・砂州と流路固定化で河川流域の景観変化、淀川水系で生きる水生昆虫の「種の多様性」減少が進んでいる。
おわりに:
老朽化対策を進めるうえで流域全体を視野にいれたダム劣化曲線の精度向上が重要であり、ダム改修時のバックアップシステムやアセットマネジメント業務の見える化が大切となる。そのために、ミクロマネジメントとなるダム施設の日常点検・定期点検に加え、総合点検制度を充実させてデータベースの整備を進める必要がある。
又、マクロマネジメントとなる流域全体では作業優先度の決定、バックアップシステムの整備の他に、排砂の有効利用や流域環境への配慮が必要となることなど貴重なお話しを伺った。講演会後の質疑応答も活発に行われ、有意義なお話しであった。
講演会担当:宮下、金子、桐沢、浅岡(記)
以上
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