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化学部会

2015年 化学部会開催講演会等行事

2015年に開催した行事

2015年
1月例会
1月22日(木)13時30分〜17時
講演1.「地熱発電の現状と課題―地熱貯留層の評価と人工貯留槽の造成―」
講師:海江田秀志氏(電力中央研究所 地球工学研究所地圏科学領域 研究参事 、東京工業大学連携教授)
 地球の99%は1000℃以上で、深さ5Kmではどこでも平均150℃以上になるという地球の話から始まった。地熱は日本が世界に誇る地下資源であるが、地熱発電は米国、インドネシア、フィリピンなどと比較してもまだ少ない。米国、欧州、オーストラリアの例と日本の発電の説明があった。もう少し浅い地中熱利用は冷暖房の省エネ化に有効であるが、日本では地中熱ヒートポンプの導入も非常に遅れている。(福井 寛 記)
講演2「液晶ディスプレイの新規バックライト技術 量子ドット 〜新規光学ナノ材料〜」
講師:川崎統氏(JNC(株)、技術士・化学)
 液晶ディスプレイのバックライトを低消費電力化・低コスト化・薄型化するために新しい技術を探索した。量子ドットは高い蛍光量子収率で、しかも同じ化学種でも粒径を変えることによって様々な蛍光を出すことができる。これは閉じ込める空間によってバンドギャップをコントロールできるからで、このようにしてできた蛍光粒子に有機分子でキャッピングすることで長期安定性も確保できる。量子ドットの今後の市場予測と産業界の応用例も紹介された。(福井寛 記)

2月例会
2月26日(木)17時30分〜19時
講演1.「科学論文執筆の栄光と挫折〜日本発の学術出版をよりよいものとするには〜」
講師:舘野佐保氏(ジャーナリスト)
 スタップ細胞は「在る」か「無い」か、捏造は「在った」のか「無かった」のか”Nature”への論文投稿をめぐって色々と議論されている。このタイミングで論文の執筆に関して月刊「化学」に『英語科学論文の執筆をめぐる旅』を執筆されている演者に15のメッセージと、3つの執筆ポイントを講演して頂いた。講演は早めに終わり、フロアとの討論が盛んに行われた。(福井寛 記)

3月例会
3月26日(木)13時30分〜17時
講演1.「下町ボブスレーの活躍」
講師:國廣愛彦氏((株)フルハ−トジャパン 代表取締役)
 ”ボブスレー“は冬季五輪の競技種目であり、欧米では人気のスポーツだが日本ではそれほど力を入れていないように思われる。このような状況で志を持った大田区の町工場の職人さん達が大学と組んで開発したのが「下町ボブスレー」で、その開発秘話が話された。日本人の心意気と職人芸が見事に現れている。この国産マシンが、平昌オリンピックでどこまで戦えるか楽しみである。(福井寛 記)
講演2.「アメリカのMaterial Genome Initiative: MGIにみる材料戦略と日本の現状〜MGIの3つの要素と電子材料開発にみる具体例〜」
講師:知京豊裕氏(物質・材料研究機構、ナノエレクトロニクス材料ユニット長)
”Materials Genome Initiative(MGI)は、2011年6 月に公表されたアメリカのマテリアル戦略で科学的・技術的な詳細ではなく、政策的に目指す方向について述べられている。このMGI が材料イノベーションの基盤として挙げているのは、「計算ツール」、「実験ツール」、「Digital Data」の3 つで、今競争が激しい電子材料分野でどのような流れで技術開発が進められているか、具体例を挙げながら解説された。日本はこのような戦略に弱く、日本の強いマテリアル領域ではあるが、戦略を持ったアメリカのシステムに負けるのではないかと危惧した。(福井寛 記)

4月例会
4月23日(木)見学会 13時30分〜15時30分
産総研 福島再生可能エネルギー研究所(郡山)
講演:高効率風車技術およびアセスメント技術
平成26年4月にできた福島再生可能エネルギー研究所の見学を行った。
この研究所は「世界に開かれた再生可能エネルギーの研究開発の推進」と「新
しい産業の集積を通した復興への貢献」を大きな使命とし、国内外から集う様々
な人々と共に、再生可能エネルギーに関する新技術を生み出し発信する拠点を
目指している。風力発電、太陽電池、水素キャリア、地熱の利用およびそれら
のネットワーク開発など幅広く研究している。実際の風力発電の状況などが体
験できた。(福井寛 記)

5月例会
5月28日(木)13時30分〜17時
講演1.「セルロースナノファイバー材料の開発に向けて 〜日本には資源も知恵もある〜」
講師:矢野浩之氏(京都大学 教授)
 植物バイオマスは1兆8千億トンあり、石油の1千500億トンと比べて桁違いに多い。この木材の成分であるセルロースをナノ化すると透明で引っ張り強度の強い材料ができる。人工腱や人工血管などの医療用途や最も多く使われている構造用途への応用が期待されている。何と言ってもこの材料の魅力は60〜80円/kgのパルプを原料とする価格競争力と化学修飾のしやすさにある。「日本再興戦略」として平成26年に閣議決定されている技術であり、それを分りやすく説明頂いた。(福井寛 記)
講演2.「化学の目でみた歴史、そして未来(仮題)」
講師:佐藤健太郎氏(ジャーナリスト)
 現在、世界で開花しつつあり、注目すべき化学技術にはどのようなものがあるか、そして、それ等はエネルギー、環境、医療、その他 私達の生活にどのような変化をもたらすか。炭素という軸を中心に硫黄、燐なども加えて歴史との関係を分りやすく説明された。化学に携わる技術士として知っておいて良いエピソードがいくつもあり楽しい講演会であった。(福井寛 記)
講演3.日本技術士会化学部会の紹介
講師:沢木副部会長
 新人に向けた日本技術士会および化学部会の紹介があった。

6月例会
6月25日(木)17時30分〜19時
「トライボロジーの常識を超える ―省エネルギーから安全まで―」
講師:森誠之氏(岩手大学 名誉教授)
 トライボロジーは自動車などの輸送手段、生産における速度や効率化、電子機器の耐久性、および人工関節やリンスなどの身体の潤滑など様々な領域の力学的エネルギーに関係しており、GDPの数%が係っている。キーポイントとなる接触界面に対し時間分解能を上げた液晶分子の観察などで化学的に解明しているところに感銘した。(福井寛 記)

7月例会
7月23日(木)13時30分〜17時
講演1.「ファインセラミックス用ジルコニア:原料技術による高機能化への挑戦」
講師:松井光二氏(東ソー 無機材料研究所)
ジルコニアセラミックスは、常温力学特性に優れており、構造材や歯科材等で実用化されている。このセラミックスの機能は、焼結体の微細組織に強く依存しており、その微細組織を制御するためには、原料技術と焼結メカニズムの理解が必要となる。これらの技術を駆使してジルコニアの熱水中での耐久性を飛躍的に向上させた例が紹介された。(福井寛 記)
講演2.「港区長4年間の行政改革および海外留学から見た日本の大学教育、科学技術」
講師:原田敬美氏(早稲田大学技術士会会長、技術士(建設))
日本で初の技術士、建築家区長が取り組んだ港区の行財政改革の具体事例と原田氏が創り出した制度設計について説明があり、またフルブライト留学や各国との要人との交際など国際的に活躍されている姿も紹介された。オリンピックの国際競技場の問題など色々な質問が出たが、その際の答弁の切れ味が良く、さすが元区長であると感心した。(福井寛 記)

8月例会
8月27日(木)17時30分〜19時
「グリーン水素社会への展望」
講師:太田 健一郎氏(横浜国立大学名誉教授)
化石燃料多消費による地球温暖化問題が深刻化する中で、再生可能エネルギーを用いて得られるグリーン水素への期待が広まっている。グリーン水素は化石燃料に比べて環境への影響は二桁以上小さい。日本では世界に先駆けて水素を利用する燃料電池自動車も昨年発売され、水素ステーションも建設が進みつつある。人類の究極の持続型社会を可能にするグリーン水素の意義と、きたるべき水素社会における「エネルギーと環境」、「環境負荷係数」、「グリーン水素社会」、「燃料電池と新材料」などが話された。フロアからコストとの兼ね合いの質問があった。(福井寛 記)

9月例会
9月24日(木)13時30分〜17時
講演1「我国における石油産業の将来展望」
講師:五十嵐仁一氏(JX日鉱日石エネルギー(株)常務執行役員(中央技術研究所長) )
原油価格の現状55ドル/バレルから2020年75ドル/バレルへの緩やかな上昇とするIEAの予測、経済産業省の再生エネルギー13%+原子力11%=自給率24%となる2030年の日本のエネルギー見通しを交え、石油会社の現状と将来展開について述べられた。石油精製事業の燃料から化学品へのシフト、独自電力事業の展開、水素社会に向けたインフラ整備などの取組の現状についてお話し頂いた。(渡辺春夫 記)
講演2「計算機でプロセスを透視する〜重箱の隅から大風呂敷まで〜」
講師:香川浩哉氏(三菱化学四日市、技術士(化学))
 化学プロセスの基本設計や運転条件の最適化を行うためには,その挙動を正しく理解する必要がある.視覚での確認が難しい装置内の挙動を理論的に説明できれば,検討の効率が大幅に向上することが期待される。近年のシミュレーション技術の発展に伴って,反応,相変化,輸送物性の急激な変化の視覚化が可能になってきた。フローシートシミュレーション、カスタムシミュレーション、熱流体解析、流体構造連成などの実例を通してご解説頂いた。(渡辺春夫 記)

10月見学会
10月22日(木)13:30〜15:00
場所:海洋研究開発機構横須賀本部
 京浜急行「追浜」駅からタクシーに分乗して海洋研究開発機構横須賀本部の見学を行った。
最初に施設概要のDVDを見て外に出ると開発機構の所有している船舶が停泊していた。この船舶には乗ることができなかったが、「しんかい6500」が丁度修理で帰ってきており修理室で「しんかい6500」を見学することができた。次に高圧実験施設で高圧実験装置を見たが、深海は想像するより大きな圧力が掛かっており、それに耐えながら、しかも浮いていなければならない難しさを感じた。最後に深海の生物や潜水艇などを展示してある展示館を見学した。日本は広い海を持っており、高度な海洋研究が将来の日本を支えることを改めて感じた。(福井寛 記)

11月例会
11月26日(木)13:30〜17:00
講演1.「モーターポンプ ATP合成酵素の機能と制御」               講師:吉田賢右氏(京都産業大学総合生命科学部生命システム学科教授 )
細胞の中で、エネルギーを必要とする反応(仕事)のほとんどはATPの加水分解ATPのエネルギーで遂行される。そのATPの合成法は解糖系とATP合成酵素の2つしかない。先生の御講演内容は広く、化学、生化学、生物物理学、構造生物学、細胞生物学等と多岐に亘り、それを各種の図、動画、例え等を交えてお話し頂きました。私たちのエネルギーの源になるATPが、どのようなメカニズムで生体にエネルギーを提供しているかが理解できる御講演でした。(福井寛 記)
講演2.「火災・爆発事故を起こしたRDF貯蔵槽の技術的検証と企業倫理・技術者倫理」
講師:中村正秋氏(名古屋大学 名誉教授)
2003年8月に三重県ごみ固形化燃料(RDF)発電所の貯蔵サイロが火災・爆発した。3年後、本発電所の事業主体である三重県(原告)と建設・運転管理を請け負った電気機器メーカー(被告)が、互いに損害賠償訴訟を起こした。御講演はこの火災・爆発事故に至った要因(原因)を7点抽出し、‘誠実な対応がなされたか’(企業倫理・技術者倫理)について述べられた。最近ドイツのフォルクス・ワーゲンで企業倫理に反する所業が報道されたこともあり、先生の御講演を聴いて技術者の原点を思い起こした聴講者は多かったのではないかと思う。(福井寛 記)

12月例会
12月17日(木)13:30〜17:00
講演1.「バイオミメティクスの産業利用促進−世界動向と日本の課題−」
講師:平坂雅男氏(高分子学会事務局長)
生物の機能を工学的に模倣するバイオミメティクスが注目され、また、バイオミメティクスの国際標準化が動き出した。経済産業省、環境省もこの技術に着目し、さらにバイオミメティクスの学術研究では、新学術領域研究(科研費)として生物規範工学のプロジェクトが動いている。御講演ではこのようなバイオミメティックスの海外の政策・技術動向および日本の課題について述べられた。日本は欧州などに比べ2〜3周回遅れといわれショックを受けたが、日本には昔から自然に学ぶ謙虚な姿勢があったので、そのセンスで挽回するのではないかと感じた。(福井寛 記)
講演2.「フッ素材料の分析・解析」
講師:米森重明氏(米森技術士事務所、技術士(化学))
テフロンに代表されるフッ素系ポリマーは化学的に安定で溶媒に不溶のものが多く、分析が極めて難しい。御講演ではこのフッ素材料の中で、特に有機材料(樹脂・ゴム・撥水撥油剤・フロンなど)や無機材料の定性・定量法並びに構造の解析などを、開発してきた分析法を中心にして述べられた。フッ素材料を扱った経験のあるなしに係らず、その考え方や解析方法は化学部会の技術士に大いに役立つと思われる。(福井寛 記)

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