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化学部会

2014年 化学部会講演会等開催行事

2014年度化学部会講演

1月例会
2014年1月23日(木) 13時30分〜17時
1.「最新世界情勢とエネルギー安全保障 〜世界から日本のエネルギーミックスを考える〜」
日本エネルギー経済研究所・特別顧問 田中伸男氏
 世界のエネルギー事情を見ると、[1]相変わらず化石燃料依存が続いていること、[2]エネルギー需要がアジアへ移っていること、[3]アメリカにおけるシェール革命の影響などが大きな流れを作っている。これらを踏まえて21世紀のエネルギー安全保障はどうあるべきか、都知事選の争点となっている原子力の位置付けなどについて言及された。(福井寛 記)
2.「燃料電池の変遷と私の変遷」
田中貴金属株式会社 技術士化学部門 森田敬愛氏
 学生時代に感銘を受けた”Hydrogen Economy”から始まり、本人の開発経験を元とした燃料電池開発の変遷の講演であった。特にそのキーとなる触媒の開発については性能評価方法も含めて詳しい説明があった。また、最近の開発動向として省貴金属化や非貴金属化についても述べられた。(福井寛 記)
2月例会
2014年2月27日(木) 17時30分〜19時
「天然物信仰・化学合成品は悪者か?〜化学物質のリスク評価〜」
化粧品工業連合会常務理事 坂口正之氏
 「人工物より天然物の方が安全であり、天然物を使うべきだ」といった誤解がある。化学物質のリスクはハザードと暴露量で決まり、我々が使う化学物質はハザードと暴露量からリスク評価をして、それを元にリスク管理していくことが必要である。「有害性が明らかになった物質こそ使うべき」という言葉は逆説的に聞こえるが正しい認識であると納得した。(福井寛 記)
3月例会
2014年3月27日(木) 13時30分〜17時
1.「プラスチックの熱と光による劣化と安定性」
BASFジャパン 技術士化学部門 山崎秀夫氏
 最初に、プラスチックの熱による酸化劣化や光によって生ずる様々な活性種がプラスチックの劣化にどのように影響するかといった劣化機構の説明があった。その後にプラスチックの劣化を防ぐ添加剤(酸化防止剤や光安定剤)の作用について、さらには事例から見る課題と対策としてポリマーの変色、耐熱性、耐酸性の例が示された。(福井寛 記)
2.「産学協同研究システムの理想を求めて -成功への道:産・学の主体性を守る-」
近畿大学・分子工学研究所所長 遠藤 剛教授
 近畿大学に分子工学研究所という産学協同の組織を作り、出資したヘンケルとTrust, Friendship, Resposibilityを大切にしながら共同研究で成功した例やProduction, Patent, Paper, Profitの4つのPの大切さについて講演された。
アカデミアとインダストリーの橋渡しは感度の良い人でないとできないので人を見抜く力が必要であるが、人を見抜くのも才能で、適材適所が基本であると感じた。(福井寛 記)
4月例会 見学会
2014年4月24日(木)13時30分〜16時
場所:独立行政法人 物質・材料研究機構
最初に物質・材料研究機構の説明があり、その後に以下の二つの講演があった。その後に元素戦略関連の研究室中心に見学を行った。
講演1:ジスプロシウム(Dy)フリー磁石に向けて  フェロー 宝野和博氏
Dyは中国で多量に生産されており、磁石が高温で高い保持力を保つためには必須のものとされている。講演者らはネオジム磁石の微細構造を解析して、微細構造を設計することによってDyを使わないでも高い保持力のネオジム磁石を開発した。これは自動車の駆動モーターなどに使うことができる。
講演2:Boeing787エンジンの実用化と今後の展開 特命研究員 原田広史氏
 エンジンのタービン翼に使われた単結晶超合金の開発に関する発表であった。高温強度や耐環境性をクリアするためには単結晶にしなければならないが、スターターからセレクタを介して非常にユニークな方法で大きな単結晶超合金を製造している。日本の航空産業の構造などについても触れられた。(福井寛 記)
5月例会
5月22日(木)13時30分〜17時
1.「熱電変換技術の過去、現在、そして未来」
名古屋大学大学院工学研究科 河本邦仁教授
 環境問題がクローズアップされるようになって、熱回収・電力変換(熱電発電)という省エネ技術の重要性が見直され、熱電変換技術が注目されるようになった。これに対応する熱電変換素子として、毒性の少ないSrTiO3,TiS2などがあり、それらの開発の経緯とシステムへの応用に関しての講演があった。(福井寛 記)
2「技術士として生涯現役を目指して」
 石油分析化学研究所所長、技術士(化学)藤田稔氏
生涯現役を目指して積極的に活動されている講演者が新人技術士へ「技術士のあるべき姿」を含めて熱く語られた。内容は技術士の仕事、著書、論文のみならず小説、エッセイ、俳句、短歌、作詞まで幅広く、様々な方面での活躍の御様子がうかがえた。比較的年輩の新人技術士も大先輩の活躍に感心したようであった。(福井寛 記)
講演3「日本技術士会と化学部会の紹介」
化学部会副部会長、技術士(化学・総監) 沢木 至氏
 最初に各技術部門別の技術士一次試験、二次試験の結果および技術士登録数が示され、さらに日本技術士会の組織と化学部会の概要、今後の化学部会の講演会予定などの紹介があった。その後、技術士の活動分野、仕事内容、人脈形成、更なる資格取得、そして最後に取得した技術士資格をどう活かすかという視点での提案があった。(福井寛 記)
6月例会
6月26日(木)17時30分〜19時
「富士フィルムの医療技術イノベーションと明日の医療 〜銀塩からの転換〜」
 元富士フィルム株式会社 加藤久豊氏
 富士フィルムは何故第2の創造ができたのか・・・という疑問に技術サイドから明確な答えがあった。この講演では銀塩写真からデジタル写真への技術の歴史が述べられたが、既に1980年代にはX線写真はデジタル化されていた。アナログからデジタルへの変化は予想していたが、1000倍以上のデジタル能力向上が商業化を成功させた。先見性あるリーダー、好奇心ある技術者、R&Dの自治そして「運」・・・それが答である。(福井寛 記)
7月例会
7月24日(木)13時30分〜17時
1.「低炭素社会を見据えた水素のポジション」                 千代田化工 細野恭生氏
 エネルギー基本計画では水素社会の実現に向けた取り組みの加速が述べられている。水素社会の実現には水素の製造・貯蔵・輸送・利用チェーンが必要である。本講演では水素の基本的な性質と化学的な水素貯蔵法であるケミカルハイドライドシステムについてその展望と課題が述べられた。このシステムの中のキーポイントである水素化触媒の性能はとてもすばらしいと感じた。(福井寛 記)
2.「チップ型電子部品の小型化」
村田製作所 久保田正博氏(技術士 化学)
 通信機器の小型化に伴い実装密度の点で有利な表面実装型が主流となったためチップ型電子部品が用いられるようになった。また、バッテリーが大型化したためチップ型電子部品を小型化する必要が生じ、セラミックス粉末や導電性粉末を微粉化し、高分散化して部品を薄膜化・微細化する技術が開発された。粉末を効率よく分散させ、且つ安定化させる技術は幅広い産業に共通する技術であり電子部品を身近に感じた。(福井寛 記)
8月例会
8月28日(木)17時30分〜19時
「細胞の心をつかむための蛍光タンパク質技術」
理化学研究所 宮脇淳史氏
9月例会
9月25日(木)13時30分〜17時
1.「低環境負荷不均一系酸触媒−エネルギー消費を低減する化学資源生産−」   東京工大 原 亨和教授
 化学資源生産の大幅な環境負荷削減のために新触媒プロセス開発は重要である。演者は[1]カーボン固体酸触媒、[2]4-5族酸化物触媒、[3]エレクトライド触媒について簡単に触れ、その後[1]について詳しく説明された。[1]は硫酸に匹敵する酸強度を有し疎水的なブレンステッド酸を安定に結合した不溶の固体で、セルロースを分解してグルコースを作ることができる。このようなバイオマスの利用の前にウィルス除去マスクに利用されたというのは意外であった。      (福井寛 記)
2.「世界の環境、品質規制動向に対するセメント製造技術」
電気化学工業 西岡朝明氏(技術士化学)
 原先生の話された「エレクトライド」は電子の入っているセメントとも言えるが2つ目の講演はセメント製造に関するものであった。セメント産業は循環型社会形成過程において産業廃棄物の処理に大きな貢献を果たしているが、製造中に発生する排ガスや有機汚染物質など化学物質の有害性などを考慮しなくてはならない。また、安全性以外にも化学混和剤、減水剤、増粘剤などの最近の動きについて述べられた。(福井寛 記)
10月例会 見学会
10月23日(木)13時〜17時
場所:宇宙航空研究開発機構(JAXA)筑波研究所
 最初にきぼうの概要説明があり、その後にTKSC見学ツアー、「きぼう」運用棟管制室 VIP見学、実験紹介として静電浮遊炉、細胞培養実験装置、ソフトマターキットなどの見学を行った後に約50分間微小重力下での化学の実験に関する報告と質疑およびディスカッションを行った。技術士会のメンバーから多くの質問と提案がなされた。(福井寛 記)
11月例会
11月27日〈木)13時30分〜17時
1.「グラフェン類似物質としての無機ナノシートの創製〜2次元ナノアーキテクトニクスによるナノ構造構築と機能開発〜」
物質・材料研究機構 佐々木高義氏
 無機ナノシートは1nm前後の厚みを持ちミクロンサイズの横幅の2D単結晶で、古くは粘土鉱物、最近ではグラフェンなどが注目されている。演者は層状チタン酸化物などの研究を長年行っており、それをベースにペロブスカイトなどの多種多様なナノシートを作成してその機能を評価している。特に高度情報化社会を支える各種デバイスへの応用には期待が持てると感じた。(福井寛 記)
2.「ポリイミドを中心とする耐熱性透明高分子材料の開発動向」         後藤技術事務所 後藤幸平氏(技術士化学)
 ポリイミドは電子材料や宇宙材料などの耐熱性が要求される分野に必要な素材である。そのポリイミドをいかにガラスに近づけるか、高い透明性やTgを持たせるにはどうするかといった分子設計について述べられた。分子間・分子内のCT(Charge Transfer)錯体のドナーとアクセプターが平面構造を取らない様に設計するなど無色透明への挑戦が興味深かった。(福井寛 記)
12月例会
12月18日〈木)13時30分〜17時
1.「ポスト化石資源後のグリーンマテリアル〜天然リグニンの活用〜」
三重大学大学院生物資源学研究科 舩岡正光教授
 最初に樹木の炭素循環システムをエネルギー、機能、時間の3因子として表示し、その濃縮、平衡、解放について述べられた。この中で林業は濃縮した炭素集合体をそのまま活用し、その後は燃焼させて二酸化炭素に転換している。リグニンを高度に利用するという発想がないのはリグニンが特異な構造をしているためであるが、これを化学的に逐次解放することで付加価値の高い化合物を得ることができる。壮大なビジョンであるが比較的簡単な方法で実現化させている。(福井寛 記)
2.「ものづくり現場における化学分析・解析技術事例」
日鉄住金環境(株)箭内 朋子(技術士化学)
 構造解析・成分分析事例として[1]インヒビターの構造解析と腐食抑制機構の解明、[2]ファンヒーターのアウトガス成分分析、[3]缶詰の膨張トラブル原因究明、[4]樹脂表面トラブルの原因究明、[5]熱交換器の洗浄効果試験について具体的な説明がなされた。このような分析を「客先に分析を意識させない」ようヒアリングしてソリューションを実行し、信頼を得ているという。(福井寛 記)

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