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化学部会

2013年 化学部会講演会等開催行事

2013年に開催した例会及び講演会等を掲載しています。

12月19日

講演1:どうなる未来の車と燃料

村木正昭先生 東工大大学院理工学研究科経営工学専攻教授  
 エネルギー需給の将来を知ることは石油関連企業では必須である。そこで、石油学会では「自動車の未来と燃料」のワーキンググループを作り、複数の未来を描く「シナリオプランニング」を用いて複数のシナリオを作成した。この中で「No Breakthrough シナリオ」と「ガジェットカー シナリオ」について説明がなされた。会場からシナリオプランニングについての質問などがあった。(福井記)

講演2:ナノミストの利用 〜超音波霧化分離の工業的応用〜

松浦一雄氏 ナノミストテクノロジーズ株式会社社長 技術士生物工学部門 
 超音波霧化分離は処理対象溶液に超音波振動や静電場を加えてミストを発生させ、元の溶液とミストに含まれる対象物質の濃度変化を利用して分離する技術で、熱を加えて蒸留する方法と比べてエネルギーが少なく低コストである。同じテルペン系アルコールでもミストの中の含有量が大きく異なるものの紹介やミストの大きさによる対処物質の含有量差など興味深い現象とその利用についての講演であった。会場から色々な提案があった。(福井記)

11月28日

講演1:早期がん発見のためのナノ診断デバイス 

一木隆範先生 東京大学工学系准教授
 ナノバイオデバイスにはマイクロアレイ型とマイクロ流路型がある。本講演ではまず、血液中に微量存在するエキソソーム由来のmiRNAをマイクロ流路を使って分離同定することによってがんを早期発見する手法の開発が話された。その後に脳の神経細胞のイメージングおよびチップ上での分子進化の話など半導体技術と分子生物学とがドッキングした最先端の技術の話に大変驚いた。(福井記)

講演2:医療用のドライシルバーフィルム 〜塗布方式による機能性フィルム開発〜 

畠山 晶氏 元富士フィルム株式会社 ・技術士応用理学部門   レントゲンフィルムは医療に大きく貢献しているが、従来は現像と定着をWetで行っていた。Wetでは処理液を使うので配管が必要で装置が大きくなりメンテナンスの負担が大きくしかも廃液が発生して環境的にも問題があった。開発したDryフィルムではハロゲン化銀、有機酸銀、還元剤が感光層に含まれており、ハロゲン化銀の触媒作用を上手く利用してレントゲンの画像を得ている。量産を考えた実用的なフィルム技術が良く理解できた。(福井記)

10月24日

見学会

味の素(株)川崎工場(13時40分〜16時30分)
 参加人員:30名
 味の素?は1908年に池田菊苗博士がグルタミン酸ソーダの特許を取得したことから始まる。当初、たんぱく質の加水分解でアミノ酸を生産していたが、コストが高いため合成法、さらには醗酵法で生産するようになった。味の素株式会社川崎工場は川崎市鈴木町にある約10万坪の工場である。1914年から続く歴史ある工場で味の素?、ほんだし?、Cook Do?などを製造している。一般見学コ−スのほんだし?工場は年間3万5千人の見学者が訪れる。それ以外に一般見学を行っていないアミノバイタル?工場の見学も行った。アミノ酸の身体に対する効果の話を聞いてアミノバイタル?を飲みたいと思った会員も多かった。
以上(福井記)

9月26日

講演1:「水素インフラ構築への課題」

小堀良浩 氏 JX日鉱日石エネルギー(株)中央技術研究所
 次世代のエネルギーである「水素」の特徴とそれを利用するためのインフラに関する講演であった。水素の特徴は[1]軽い、[2]豊富にある、[3]反応し易いところにある。反応し易いからこそエネルギーとして使えるが、危険であり制御が必要となる。水素の燃料電池への応用と水素供給インフラの問題点について詳しく述べられた。

講演2:「高炉用コークス製造プロセスの最新技術動向 〜SCOPE21適応プロセス〜」

横溝正彦 氏 新日鉄住金(株)設備・保全技術センタープラントエンジニアリング部上席主幹;技術士(化学)
 製鉄に必要なコークスは石炭の乾留で作られており、従来の乾留の説明と新しい製造プロセスSCOPE21の紹介があった。コークスは[1]鉄鉱石の還元、[2]鉄鉱石溶融の熱源、[3]熱風ガスおよび溶融銑鉄の通路確保の役割がある。SCOPE21は[1]従来の20%削減という省エネルギー、[2]資源対応、[3]従来の2.4倍の生産性、[4]NOx30%削減を含む環境対応を実現したコークス製造プロセスである。
以上(福井記)

8月22日

講演:「環境を守る触媒技術 〜自動車から住空間まで〜」

水上友人 氏(株)キャタラー第2研究開発部;技術士(化学)
 環境を守る触媒として、自動車の排ガス処理触媒と住居用触媒の講演があった。これまでの厳しい自動車排ガスの法規制に自動車メーカーはエンジン制御と触媒によって対処してきた。自動車排ガス処理触媒は、HC、CO、NOxを同時に処理し、しかも室温から1000℃付近までという過酷な条件で8万kmの保証が必要である。この要求を満足する三元触媒の成分、担体、ミクロ構造などの説明があり、質疑応答も活発で密度の濃い講演会であった。
以上(福井記)

7月25日

講演1:「医療現場を支える科学と化学 〜現状と医師側からの要望」

佐々木 光 先生(慶応大学医学部脳神経外科専任講師)
「医療現場を支える科学と化学」を演題とするテーマで、普段の化学部会の講演では聴講できない内容のものでした。聴講者は全体的には新鮮な感銘を受け、脳の手術場面の動画では手に汗を握ったと思います。手術というのは、大変細かい作業で、器用な人じゃないと出来ない芸術的なものと思いました。
医療現場での化学の役割、特にテトラポルフィリンの光線力学的治療(PDT)や腫瘍組織を特異的に可視化する体内診断薬のアラベル(5−ALA)に興味がもたれました。化学の役割も大きいと感じました。

講演2:「部品素材モデル企業の支援事業」

横山光雄 氏(韓日産業・技術協力財団アドバイザー )
 韓国中小企業に日本の技術専門家を派遣して、韓国企業の技術指導を行う「韓日部品素材モデル企業の支援事業」の話があった。講師の立場が「(財)韓日産業・技術協力団のアドバイザー」ゆえ、協力団の仕事の内容や最近の韓国の産業事情の詳細な紹介があり、サムスンがベトナムに工場を作ったこと、世界のニーズに合わせた商品開発をしていること、最近の貿易収支等、聴講者は最近の韓国事情がキャッチアップできたと思う。
以上(渡辺記)

7月13日

若手グループ主催

テーマ:化学系独立技術士稼業

講演1:「独立技術士稼業の基礎知識、および私の場合」
 沢木 至 氏 沢木技術士事務所、技術士(化学、総合)
講演2:「生涯現役を目指して」
 藤田 稔 氏 石油分析化学研究所、技術士(化学)
講演3:「駆け出し技術士奮闘記 〜ポジショニング、独占業務、事務所他〜」
 秋元英郎 氏 秋元技術士事務所、技術士(化学)
講演4:「11年目の独立開業事例紹介と課題」
 平野輝美 氏 平野技術士事務所、技術士(化学)
質疑応答およびディスカッション

開催報告は、下記、添付資料「平成25年7月度 第7回化学部会休日開催イベント報告」をご参照ください。

6月27日

講演1:「EV、HEVのモーターに使用される高性能磁石 〜希土類磁石の現状と資源問題〜」

徳永雅亮 氏 明治大学 講師(元日立金属)
 希土類磁石、特にネオジム磁石の生産推移と飽和磁化や保磁力などの磁気特性の説明があり、その後にHEV、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、エレベーターなどへの応用の話があった。希土類といえば資源問題が頭に浮かぶが、ジスプロシウム(Dy)は中国に偏在しておりネオジム磁石の耐熱性には必須の元素である。省Dyや零Dyは戦略上重要であり、それらの最新の開発状況について話して頂いた。     (以上 福井 記)

5月23日

講演1:「日本のエネルギーシステムに寄与するガス分離・貯蔵技術 〜無機錯体結晶による選択的吸着材の創成〜」

北川 進 教授 京都大学物質−細胞統合システム拠点工学研究科合成・生物化学専攻
 日本はエネルギー源が豊富とはいえない環境にあり、身のまわりの空気や水を活用する必要がある。このような状況で、メゾスコピック集合体は新しい概念を活用できる現代の錬金術とも言える素材である。立体配置を配位で作ると吸着によって形状を変化させることができる。このような柔らかい空間材料を使って燃料ガスの効率的吸着、排気ガスなどの低エネルギー分離、またイオンチャネルやポリマーの重合場など幅広い応用が可能となった。

講演2:「銀塩カラー画像形成の化学」

大木伸高 氏 富士フイルム・技術士(化学)
 銀塩写真は露光、現像および定着という化学反応を使って、画像を得る方法である。白黒およびカラーの銀塩写真に関して、[1]基本原理と構成、[2]発色方式における有機素材の進歩、[3]色素転写方式における有機素材の進歩、について講演があった。性能の良い写真や、より手軽なインスタント写真を得るために様々なカプラーや転写方式が開発された。これらの優れた有機合成技術がディスプレイ材料、低分子医薬品、有機エレクトロニクス材料などの開発に現在も役立っているという。
(以上 福井 記)

4月25日

見学会

 住友化学株式会社樹脂開発センター見学会(参加人員:33名)
 住友化学株式会社樹脂開発センターは主要6部門の一つの石油化学部門に属し、総面積217万m2におよぶ千葉工場の敷地内にある。センターはお客さまからのニーズに対応した提案型の樹脂応用・加工研究を行う研究所として1994年に設立された。最初に住友化学の歴史と会社の概要の説明があり、その後にプラスチック成型現場の超臨界成型や多層押し出し成型などの見学を行った。
 見学後に以下の2件の講演があった。
(1)「プラスチックのCAE(Computer Aided Engineering)の適用例」:脳挫傷を防ぐヘルメットの設計や液体の入った容器を落下させた時の容器の変形の計算
(2)「ポリマーの成型加工」:成型条件による球晶や配向の制御
(以上 福井寛 記)

3月28日

講演1:「変貌するエネルギーと化学品原料のための触媒 〜石油からシェールガスへの転換」

室井高城 氏 アイシーラボ 代表取締役
 今、日本の石油化学は大きな環境の変化の中にいることを1960年代からさかのぼりつつ説明された。過去の第一次、第二次石油ショックと較べると今回の変化は中東や中国の大規模なエチレン生産、シェールガスによるナフサからメタンへの原料の変換など本質的な部分が大きく、石油やガスの入手方法や触媒開発をも含めた石油化学の基本戦略を早急に策定しなくてはならない。貴金属を使わない触媒についての質問には、「貴金属のd-電子の代替は難しく、貴金属をppmやppb添加して効果がある触媒を開発する方が現実的」との答であった。

講演2:「海外における技術支援の実践」

伝田六郎 氏 (株)デンダエンジニアリング・技術士(化学)
 海外における技術支援としてカザフスタンやモルドバ共和国の養鶏場の例が紹介された。養鶏場といっても5500haの広さで年間出荷量が900万羽という大規模なもので、工場といっても良い。演者のそれまでのプラント開発、設計、建設、試運転の経験が役立ったという。最初、養鶏場には違和感を持ったそうだが、あまり自分の専門にこだわらず進めていき、不足な部分は仲間に協力してもらうという姿勢で仕事の連鎖反応が起こったとのことである。国内、海外に係らず技術士業務には必要な事と納得した。
(以上 福井寛 記)

3月16日

若手グループ主催
「一次試験合格者・JABEE修了者歓迎会」
 二次試験受験ガイダンス、合格体験談、研修会、祝賀会

2月28日

講演:「日本の化学産業の現状と展望 −化学産業の温暖化対応の観点から−」

吉清元造 氏 日本化学工業協会 技術部
 今回は、懸案である「化学産業の温暖化対応」をテーマにした講演だった。各種の数値データ、グラフを見ると日本の化学産業は愚直なくらい省エネ投資、省エネ技術開発を行いCO2、HFC(ハイドロフルオロカーボン)ガスの排出削減に取り組み、且つ効果を上げている。しかしながら、CO2は家庭、業務、運輸等からも排出されるので、化学産業を含む産業界だけの努力で減らすことは不可能。また発展途上国の排出量が増えているので、先進国だけで減らしても成果が上がらない。現在は南北問題になっている。
化学産業自身の削減目標やc−LCA(carbon−Life Cycle Analysis)に基づく評価情報は、日本化学工業協会のHPから配信されている。
(秋葉恵一郎記)

1月24日

講演1:「企業における分子シミュレーションと評価技術」

島津 彰 氏 日東電工(株)機能設計技術センター企画グループアソシエイトフェロー
 分子シミュレーションと聞くと難しいというイメージを持つが、高分子の化学構造とガス分離性といった具体例を挙げて易しく説明して頂いた。材料の研究は「理論」と実験・観測を含めた「評価技術」だけでは不十分で、そこに分子シミュレーションが加わることによって相補的に関連付けて新しい材料の設計ができる。特に実験が不可能な領域ではシミュレーションしか手段はなく、その結果から新しい考え方が生まれて「ものづくり」に役立つと感じた。

講演2:「化学物質管理の国際動向 〜技術士(化学部門)からのアプローチ〜」

秋葉恵一郎 氏 秋葉技術士事務所・技術士(化学)
 現在、化学になじみのない企業はEUのREACH規制の対応に苦慮している。また、このような化学物質管理は2020年を目指してグローバル化が進んできている。今回の講演は化学物質管理の国際的な動向と、今後、「この業務が技術士化学部門の専業になる可能性がある」という見解であった。会場から化学物質管理業務は化学部門技術士にとって千載一遇のチャンスとの意見があり、一方、個人個人で対応するのは困難との意見もあったが、両者の意見を合わせると「化学部門の各々の力の結集とシステム化」でこの業務は可能となる。化学部門技術者への大いなる問いかけと感じた。

以上(福井)

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