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農業部会

平成20年4月度講演会〔講演要旨2〕

平成20年4月5日 葺手第二ビル会議室

異常気象と自然災害―地球温暖化の脅威と農業農村地域の水環境―(農業土木技術者としての知見)

 山田水利環境研究所
 代表 山田雅弘 氏(技術士:農業部門 / 日本技術士会CPD認定会員)

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第4次評価報告書(2007年2月2日)では、気候変化における人為的原因が再確認され、同時に、地球規模での雪氷圏における変化などは予想以上に速く進みつつあることが確認された。さらに、このままのペースで人為的温室効果ガスの排出を続けると、人類はこれまで経験したことのない温暖化した時代に突入する。IPCCは、温暖化が進行すると、地球の気候の不安定さが大きくなり、異常気象の頻度が増加することも予測している。

 このような背景において、異常気象は、依然解明し難い問題を多数持っている。これまで農業農村地域の自然災害は、農業気象水文学的観点から、一般気象と分離して特殊気象として処理されてきた。

 農業土木技術者が直接関わる潅漑用のダム、排水機場等の計画においては、特殊気象の既存データの整理として、各年の年降雨量、潅漑期有効降雨量、最大連続干天日数、最大日降雨量、最大3日連続降雨量、最大1時間降雨量等を確率処理して潅漑排水構造物の設計諸元としてきた。

 潅漑用ダム貯水量は、確率10年に1回程度の旱魃年に対応し、ダム堤体の余水吐設計洪水量は、確率200年に1回程度の洪水量に対応している。地球温暖化と異常気象が、本格的なものであれば、温暖化進行前のデータによって確率処理され、計画設計施工されてきた、既存の国内外の潅漑排水構造物は、ダムの貯水容量において不足し、ダム余水吐けの能力も不足するようになる。

 この危機感から、地球温暖化の脅威と農業農村地域の水環境について、2000年以前と2000年以後の自然災害を吟味し、特に台風、洪水、竜巻、高潮の記録について説明をした。また、講演者の過去半世紀に近い、国内外での自然災害の体験について述べ、その時の写真等も公開した。

 さらに、地球シミュレーターの膨大な処理能力によって明らかになった、インド洋で起きているダイボールモード現象についても触れた。地球温暖化と異常気象への警告としては、地球シミュレーターの最小単位100km四方の内部で、ゲリラ的に発生する集中豪雨と竜巻の増加を強調した。

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