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農業部会

平成19年4月度講演会〔講演要旨〕

平成19年4月7日 葺手第2ビル会議室

有機性廃棄物のバイオガス技術とその展望

 NPO法人バイオガスシステム研究会
 理事長 亀岡俊則氏

 近年、世界的に家畜ふん尿処理におけるメタン醗酵法が注目され、特にドイツでは年間約800施設が建設されるなど、普及が進んでいる。一方、わが国では、実証施設を含め50数箇所の施設が稼動しているが、課題も浮かび上がってきている。

 メタン醗酵法の利点は、次のようにいえる。

  1. エネルギー的に自己完結型処理が期待できる[小規模施設では、醗酵温度の35℃を保持するために冬季に電気などでの加温が必要]。
  2. 家畜ふん尿汚水に食品残渣を混合するなどの混合型処理が可能である。豚ふんと残飯との混合は、ガス発生量を高め相乗効果が大きい。
  3. 消化液は即効性の液肥となる。有機性ちっ素がアンモニア態に変化しており、悪臭も低減している。
  4. 衛生処理対策が可能である。35℃以上の醗酵処理であるので、0−157の処理対策を兼ねることができる。

 欠点(課題)としては、次のようなことが挙げられる。

  1. 処理量に対して建設コストが高い。ドイツでの建設費と比べると、わが国での建設費は2倍といった高さである。これは設置数の違いでの割高ということが一因と考えられる。
  2. 養豚経営などで耕地を持たず、液肥できない場合は消化液の処理に余分のコストが掛かる。液肥のままではBOD等の汚濁物質が高濃度に含まれ、河川等への放流はできない。
  3. メタンガスのエネルギーを電気に換える場合、発電コストに対比し売電価格が安く、余剰電気の有効な利用方策を考える必要がある[ドイツでは、送電事業者に一定の価格で全量買い取ることを義務つけている制度となっており、発電コストを上回る買取価格(1kw当たり8円の発電コストに対して20円の買取価格)となっている]。

 「バイオマス・ニッポン総合戦略」で<バイオマス・タウン構想>づくりが推進され、300の目標に対して既に70程度の策定が行なわれている。ただ、施設づくりまで進んだのは1,2に過ぎない。再生可能エネルギーの利用であり、推進の進展を期待している。

 北海道などで、導入施設が稼動を止めている事例が少なくなく、維持(メンテナンス)に経費や技術の必要という見方もあるかも知れないが、農家の養豚経営でかなりの大規模バイオガス施設を長年稼動させている事例(中国地方管内)をみている。維持(メンテナンス)を施工業者等に委ねなければ無理ということはない。

乾式のバイオガス施設については、50?程度までと醗酵槽の大きさに限度を生ずるので、家畜ふん尿処理が主となる場合は適合した方式ではない。固形バイオマスの割合が大の場合に考えられる方式だ。

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