ナビゲーションを飛ばしてコンテンツへ
  • 男女共同参画推進委員会のホーム
  • 地域本部・県支部・部会・委員会
  • 公益社団法人日本技術士会
  • RSSについて
男女共同参画推進委員会

女性技術士キャリアモデル 花岡史恵さん

花岡史恵さん(建設部門)(拡大画像へのリンク)

花岡史恵さん(建設部門)

(画像クリックで拡大 334KB)

花岡 史恵 さん

はなおか ふみえ さん

仕事との縁・人との縁 

私は、もともと文系で、最初から理系を目指していたわけではありません。知人の紹介で測量会社に入社し、そこでトレースの仕事をしていました。当時のトレースは、手書きの図面をトレーシングペーパーに清書をするという今では考えられないような作業です。しかし、この経験を通じて図面の種類や内容についての基礎を学びました。そして、トレースだけでなく、実際に自分で設計をしてみたいと思うようになり、ご縁あって、建設コンサルタントに転職しました。

そこでは、トレースができるということで、設計部に配属されました。当時、この建設コンサルタントの設計部に女性は私一人でした。その時の直属の上司は、男女の区別なく仕事を与える人だったことが幸いして、最初に与えられた仕事が、陸閘(りっこう:海岸護岸に取り付ける鉄の扉)の計算でした。構造力学など全く知らなかった私が、先輩の例を見ながら、与えられた条件に沿って仕上げてしまったことで、様々な仕事をさせてもらえるようになりました。その後、図面の製図も手書きからCADに変わったことで、トレースの必要がなくなり、先輩たちと同じような仕事に取り組むことになりました。でも、これは決して私が優秀だったというわけではありません。とにかく、仕事がおもしろかったことと、設計部内の人間関係が良好だったことが、私をこの道に導いてくれました。

仕事をおもしろいものとして自分の中に取り込むことができ、また、一緒に仕事をする良い仲間がいれば、困難にも立ち向かうことができます。

今、振り返れば、仕事との縁、人との縁で、私は生かされてきたといっても過言ではありません。

仕事の特化と資格取得

私は、この建設コンサルタントで、道路・河川・港湾・斜面・公園・景観などの計画から設計全般を経験しました。

その中で最も自分らしい仕事ができる分野として公園や景観を含む地域計画に特化しようと、1996年に一級造園施工管理技士の資格を取得し、2000年に技術士 建設部門 都市及び地方計画の資格を取得しました。

住民参加の視点を重視した公園計画や地域デザイン、市町村の各種計画立案などが好きな仕事です。

中でも、住民や行政を含む異業種連携の参加型で実施される事業は、試行錯誤を繰り返し、「産みの苦しみ」を味わった分だけ、活動などが定着したときの喜びはひとしおです。

このように仕事の特化のためには資格取得が必要であり、また、資格取得により仕事を特化することができるものだと思います。

技術士になって

私が技術士になった後、以前にお世話になった行政職員と再会することがありました。その時に、その人から、「貴女の描いた図面は、今でも私の仕事の中で一番きれいな図面です。やはり技術士資格を取得するだけの力があったのですね」と言われました。

この仕事は、ある川の災害復旧の設計でしたが、当時、「美しい山河を守る災害復旧基本方針」が策定されたときであり、それにのっとって、地元産の石材を使って設計しました。そこまでは、ごく普通の設計図面なのですが、私は、この図面に淡いマーカーで色付けしたものを協議に持参しました。土木図面に色付けすることなどほとんどなかった時代なので、新鮮だったのだと思います。そして、この設計が採用されました。

その後、この場所は、優秀な施工業者さんが工事を行い、設計図通りの場所になりました。今では、積まれた石が元からあったようにその場になじんでおり、多くの人に親しんでもらえる場所になっています。

このように、自分の描いた設計図面が、たくさんの人の力を得ながら、場所を修復し、よりよい使い方をされていることに喜びを感じています。

思い出深い仕事

私にとって思い出深い仕事は、2003年から企画を温め、2005年から準備を始め、2006年に活動を開始し、2007年に作品が完成した「上勝アートプロジェクト〜里山の彩生〜」です。

このプロジェクトは、徳島県上勝町という四国で一番小さい町で繰り広げられた、アートを介した地域再生事業です。国民文化祭を有効活用し、地域住民と、活動を支援する都市住民、行政、芸術作家を含む各種専門家などの協働により進められました。この活動は、当時、人口2,000人の町で、約半年間に延べ3,000人が参加して作家と共にアート制作に関わり、国民文化祭の運営も地域の人々が行いました。そして、今でも地域の人々により作品管理や作品を活用した活動が続けられており、さらに新たな作家の参入による作品作りにもつながっています。

ひょうたん島川の駅ネットワーク構想

その後、県外の市民参加型の業務に関わらせていただき、徳島市内では、徳島LEDアートフェスティバルの企画・運営、ひょうたん島川の駅ネットワーク構想など、地域に根付く活動を目指した業務に関わっています。

中でも、「ひょうたん島川の駅ネットワーク構想」(第4次徳島市総合計画の将来像「心おどる水都・とくしま」を実現するための徳島市事業)は、徳島市の中心市街地を流れる新町川と助任(すけとう)川で囲まれた「ひょうたん島」と呼ばれ、市民に親しまれているエリアに、川の駅を作って、川から町を楽しむ仕掛け作りとネットワークを構築するというものです。

ひょうたん島周辺には、川を愛する活動団体や関係者がおり、現在、さまざまな取り組みが行われています。

この構想は、それらの団体の活動エリアに川の駅を配置し、活動エリアどうしをネットワークとしてつなぎ、町づくりを川から発信するというものです。
この構想を進めるには、各種団体との連携・調整は不可欠であると同時に、必要とされる整備も並行して進めていく必要があります。

町が元気になるためには、人が元気になることが必須で、元気な人がつながることで何十倍もの元気が生まれます。そのような仕組みをみんなで作ることができたらと願っています。

ワークライフバランス

以前は、時間ができれば、コンサートを聴きに行ったり、小旅行に出かけたり、温泉やエステサロンへ行ったりしながら、気分転換を図っていましたが、愛犬を家族に迎えてからは、ドッグカフェやワンコと泊まれる宿を探して出かけるようになりました。
昔から飲み物に関心があり、茶道を教えていた時期もありました。抹茶から紅茶、またワインから日本酒まで、自分のお気に入りの飲み物で、1日の疲れが癒されることもあります。

また、短歌の同人誌に短歌やエッセイを投稿したり、日本舞踊を習うなど、頭と身体を使うことで、心身共にリフレッシュしています。

こうして自分の心と身体を労ることも、仕事を続けるには大事なことだと思います。

若い技術者に贈ることば

以前に、私の尊敬する人が、若者に贈る言葉として「『バイキンマン』になれ」と言われたことがありました。「アンパンマン」ではなく、「バイキンマン」になれと言われた理由は3つです。

 [1]おいしいものや楽しいものを見つけるとすぐに首を突っ込む【好奇心を持て】
 [2]アンパンマンのように飛べないから円盤や機械を作って対抗する【創意工夫をしろ】
 [3]大好きなドキンちゃんに冷たくされても何とか気に入られようと努力する【無償の愛を貫け】

この3つの教えは、とても大事なことだと今でも思っています。
そして、あと2つ、付け加えるとしたら

 [4]主役でなくても、なくてはならないキャラクターを目指す【名脇役になれ】
 [5]やられてもしぶとく何度でも工夫して対抗する【自分の力を信じろ】

アニメキャラクターでも見方を変えれば、教えてくれていることがたくさんあるということです。そして、日常のちょっとしたことに目を向けると、そこには、大事なことを教えてくれることがたくさんあるということです。

ひょうたん島川の駅ワークショップの様子(拡大画像へのリンク)

ひょうたん島川の駅ワークショップの様子

(画像クリックで拡大 52KB)

経歴

1987年(S.62) 株式会社 建設材料試験所(現・株式会社 環境防災) 入社
2001年(H.13) 同上 退職
2001年(H.13) 株式会社 エフ設計コンサルタント 入社
2001年(H.13) 有限会社 環境とまちづくり 設立 代表取締役就任
2008年(H.20) 同上 辞任
2009年(H.21) Cプラニング設立 代表

1996年 一級造園施工管理技士 登録
2000年 技術士 建設部門 都市及び地方計画 登録

このページのお問い合わせ:男女共同参画推進委員会

ページトップへ