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男女共同参画推進委員会

女性技術士キャリアモデル 中田よしみさん

中田よしみさん1(拡大画像へのリンク)

中田よしみさん (原子力・放射線部門)

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中田 よしみ さん

なかた よしみ さん

学んできたことを生かして

 私が就職の際、先生から紹介されたのは、原子力発電所の設備工事を行う企業でした。大学で原子力を学んできたこともあり、原子力発電所で働くことについて、抵抗は感じませんでした。いま思うと、大学4年の夏に電力会社主催の学生実習に参加し、「原子力発電所で働く」イメージを持てていたからかもしれません。学んだことを生かしたいという思いと、社会人になる期待を胸に、大阪から上京しました。
 就職して研修が終わり、個人に対して行う被ばく管理や健康管理、作業環境中の放射線管理などの仕事を担当することになりました。
学生時代に、放射線取扱主任者第二種の試験には合格していたのですが、当時の上司から、放射線管理を業務とするなら早いうちに第一種を取るように言われました。そして、社会人2年目に受験、合格。その頃から、それまでの業務に加え、放射線防護の教育(身体への影響など)も行うようになりました。
 専門分野の知識に加え、教職課程で習った「教え方」など、在学中に学んできたことを生かしながら働けることに満足感を得ていました。

転機、そして技術士に

 就職して3年目に結婚。就職する前は、結婚したら仕事は辞めようと思っていました。でも、結婚したら「子どもができるまではがんばろう…!」、妊娠したら「本当に大変になって辞めたくなるまでは…!」。2人目の妊娠がわかった時も、同じように考え「しんどくなるまでは…!」と思って、仕事を続けてきました。
 子ども2人を育てながらの仕事は、順調にはいきません。携帯電話が鳴るたびに、保育園からの連絡ではないかとビクビクしながら働いていました。
 子育てと仕事に日々追われている中、2004年、技術士の部門に「原子力・放射線」が新設されました。当時は受験しようと思いませんでした。2007年、異動先のフロアに技術士の方がいて、受験を勧められました。技術士とはどんな人で何をする人なのかよくわからずにいました。しかし、学んでいくうちに、「技術士は科学と社会をつなぐ大事な役割のひとつだ」と気がつき、それにふさわしい人でありたいと思うようになりました。
 技術士の第一次試験は、大学時代の教科書などを復習し、過去問題を繰り返し行い、1回で合格しました。しかし、第二次試験の合格には時間がかかりました。1度目、第一次試験で勉強した、との油断からか不合格となりました。これではいけないと思い、気持ちを入れ直して勉強し始めました。翌春、願書提出後、健診で病気が見つかりました。試験前日に手術を受けることになり、受験できなくなりました。そして3回目、今度こそ体調を万全に管理して試験を受けようと準備していたのですが、試験2週間前、帰宅中に体調を崩し救急搬送されました。1週間ほど自宅で安静することを約束して退院。体調がすぐれない中、試験を受けるかどうか悩みました。でも、その年は子どもの受験がある年で「試験をあきらめる姿を見せたくない」と思い、試験会場に向かいました。そして無事、第二次試験に合格しました。

技術士として

 法令で定められている「放射線業務」や「除染等業務」では、男性と女性とで被ばく線量管理が異なり、妊娠する可能性がないと診断された女性以外は、母体や胎児への影響が出ないように、より細やかな管理が必要とされています。そのため、私は今まで、男性と同じでないことをマイナスの思いで受け止めることがありました。また、建設業でもあるので、どうしても現場の環境など男性が中心となって組織される業種だと感じることが多かったのです。しかし技術士に合格してから、社内での自分への評価が変わった気がします。意見を求められることが多くなり、今まで以上に自分が役に立っていると実感できる機会が増えました。
 その後、しばらくの間、従来からの原子力発電所の放射線管理業務に加え、放射性物質を除去し空間線量率を低減することを目的とした除染に関する業務も担当していましたが、自分を見つめなおす機会を得て、原子力業界を離れ、研究分野で放射性物質を取り扱う機関で、放射線管理をしています。同じ放射線管理でも、取り扱い内容に違いがありまだまだ学ぶことは多くありますが、私はいつも、どうすれば作業する人が少しでも安心し、かつ安全に作業に従事できるのか、と考えながら対応しています。そして、これらの仕事を通して微力ながらでも、社会に役立つことができればと思っています。
 福島の原発事故後、私の周りで放射線について興味を持つ人が増えていました。しかし10年以上経ち、人々の関心が薄れてきていると感じています。そんな状況でも、一人でも多く、放射線について正しい知識を得て、自分で判断し、行動できようになることを手伝いたいと思っています。そして、母親としての気持ちもわかる技術士として、社会に貢献できるようになりたいと思っています。

中田よしみさん-2(拡大画像へのリンク)

人生の半分以上(何年?)を共にした華道

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プロフィール 

大阪出身。大学卒業後、就職に伴い、上京。
現在、育児期間中。2児の母。
現在、大学研究機関で放射線管理業務に従事。

●趣味と特技

華道:人生のうち半分以上の経験あり、腕前は趣味の範囲……?
編み物 読書

●資格

技術士 原子力・放射線部門
衛生工学衛生管理者、教育職員免許(中学・高校 理科)
古流現代華教授
など

※注:記事は2022年11月現在のものです。

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