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男女共同参画推進委員会

女性技術士キャリアモデル 水出佳奈さん

水出1

水出佳奈さん(建設部門・総合技術監理部門)

水出 佳奈 さん

みずいで かな さん

岩手県盛岡市出身、(株)福山コンサルタントで働いています(仙台勤務)。道路の整備計画や道路に関わる交通計画に従事して10年以上になります。主な仕事内容は、東北地方の高速道路や国道等の整備必要性の検討、道路整備による様々な分野への波及効果の分析や渋滞対策などです。デスクワークが中心ですが、週に数回は発注者との打ち合わせ、現地調査などに出掛けています。土木業界を志す学生さん、働き始めた若手の技術者へ向けて、日々の仕事・子育てを含めた生活の紹介、技術士資格取得の経緯等をお話させて頂きたいと思います。

入社の経緯と職場の様子

私は、高校生の頃から多くの人々の生活基盤を創造する仕事がしたいと思い、土木技術者として町づくりに関わっていこうと思いました。
就職活動前までは男性と同じことをやってきましたが、就職活動では不安と挫折をいっぱい味わいました。土木業界で長年働いている女性の姿を見たことがないため自分の将来像を描けない状態で、また、女性を採用している実績があるか分からない会社に対してもチャレンジしていかなければならない状況でした。

入社してみると、女性技術者は会社全体で約10名(5%程度)在籍していました。入社経緯や得意分野、性格などみんなそれぞれですが、みんな“しなやか”な印象です。所属部署に女性が自分1人だけの時も、女性4人とたくさんの時も経験しましたが、理解ある上司同僚に恵まれたのか、日常の業務では特に困ったことはありません。また、お客さん(発注者:行政)には女性が増えてきたなぁと感じており、立場は異なりますが、それぞれ頑張っている姿に刺激を受けています。

共働き生活と出産と育児

入社7年目に結婚しましたが、結婚・同居直後に夫が東京へ転勤になり、その後自分は岩手に転勤し、その後夫が仙台に戻り、その後自分も仙台に戻るという別居4年間を過ごしました。同居中も別居中もどちらも、結婚していることは仕事にほぼ影響なく、家事を分担できることなどは良い点でした。

そして入社12年目、出産をしました。私の場合多胎であり、リスクの高いお産となることは分かっていたので、早めに上司に報告しました。つわりはひどく、出勤や出張などの移動に苦労しましたが、頭と手は動くので日々の業務はなんとかこなしていきました。繁忙期真っ只中の妊婦健診ですぐに入院した方がよいと診断を受け、急きょ上司同僚に引き継ぎ入院しました。技術職で出産・復帰をした女性の先輩は社内で1人だけでしたが、その先輩が同じ部署にいたこともあって、周囲の理解は得られやすかったと思います。
入院から2ヶ月間、ベッド上安静生活をしていました。これまでは、限界まで残業したり家に帰ってからも仕事のことを考えてしまうような仕事漬けの生活でしたが、赤ちゃんの無事の誕生だけをひたすら祈って過ごす生活は、別世界の経験でした。そんな折、容態の急変で「今日出産するしかない」となり、男の子2人の母親になりました。
双子の育児は想像以上にハードで、夫も9ヶ月の育児休暇を取りました。夫は母乳をあげること以外は何でもできるようになり分担してくれましたが、3時間おきの授乳(準備からゲップ出しまで1時間くらい要する)、それ以外は抱っこしていないと泣いてしまうため、自分たちのことはひたすら後回し、常に睡眠不足の状態でした。男性の育児休業取得率はまだまだ低いのが現状です。祖父母が近くに居ない場合、母親だけでの育児はとても負担が大きいことを実感しています。男性の育児休業が当たり前になることを願っています。

仕事復帰とこれから

現在は仕事復帰2年目で、保育園の送迎と仕事の毎日です。子育てを体験してみて初めて分かったことの一つに、「母親にしかできないこと」があります。出産前の想像では、父親・母親で育児家事を全部半分にできるのではないか、と考えていた部分がありました。しかし、言葉で表現するのはとても難しいのですが・・・、こどもが本能的に“母親”に求めるものがあり、それは恐らく発育に大きく関わることで、母親としても本能的に、応えてあげたい、あげなければ、と思うのです。
出産後は、こどもの体調不良で会社を休むことが多くなったり、夜間対応が難しくなったり、出産前とは同じように働けない状況にまだ頭が慣れずモヤモヤする時もあります。さらに、産休育休で1年休んだことで仕事のカンが鈍り、焦りもあります。でも、「同じように働けない」と言ってしまうとネガティブですが、「少し違う働き方をする」と考えると、ちょっとクリエイティブな気持ちで仕事に臨めるのではないかなと最近感じました。これからも、働き方については常に考え行動していきたいと思っています。
会社は、出産育児に対して制度を整えつつあります。あとは、制度を活用・改良し働きやすい会社を創っていくことですが、そのためにも、女性社員も入社し働き続けて欲しいなと思っています。

技術士資格と仕事のビジョン

技術士という資格を知ったのは、学生の頃でした。技術士に詳しく積極的な先生がいたお陰だと思っています。詳細・実態はよく分かりませんでしたが、特に建設コンサルタントで働くには技術士という資格があった方がよいという話でした。当時は建設コンサルタント、ゼネコン、公務員のどれになりたいかという考えもまったくありませんでしたが、大学院生の時に、技術士一次試験を受けました。1年目は不合格、2年目に合格できました。就職後、学生のうちに一次試験に合格していたことがものすごく良かったことが分かりました。現在は「JABEE」の認定を受けている大学が多いかと思いますが、もしJABEE認定がない場合は学生のうちに頑張って一次試験に挑戦してみることをお勧めします!

建設コンサルタントでは、仕事を受注する際に「技術士資格」が優位に働きます。技術士資格を持っていないと業務のリーダー(管理技術者)になれなかったり、会社として誰かが持っていないと受注できない業務もあります。社内ではよく「技術士資格はネクタイのようなものだ(持っていて当たり前のもの)」と言います。コンサルタントとして持っていて当然であること、自分としてももっと技術力や発注者からの信頼を得たかったことにより、二次試験(建設部門・道路)を受けることにしました。入社3年目での二次試験受験は、技術力・経験不足により不合格となりましたが、翌年合格できました。技術士となった入社5年目からは、担当する業務の幅が広がり、また、お客さんの反応も変わり、仕事がしやすくなりました。

建設部門(道路)の取得から6年が経過した年、総合技術監理部門の資格を取得しました。実のところ、業務の管理の経験はほとんどありませんでしたが、30代も半ばになり、仕事を続けていくには今後いろんな形で業務に携われた方がよいだろうなと考えたことがきっかけです。また、この時結婚していましたが一人暮らしをしている期間であったので、勉強時間を確保できるうちに取得しようという計画でした。

学生の皆さん、若手技術者の皆さん、これからの大きなビジョンを描いてみてください。資格は、自分の働くビジョンを応援し、支えてくれるものとなるでしょう。ぜひ、一緒に頑張っていきましょう。

このページのお問い合わせ:男女共同参画推進委員会

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