APECエンジニアの審査結果について

 

平成13年3月30日
文部科学省
国土交通省
  1. APECエンジニア相互承認プロジェクト(概要:参考1)については、APECエンジニア調整委員会(参考2)によりAPECエンジニアの5要件等(参考3)を取りまとめた「APECエンジニア・マニュアル」が昨年11月1日に公表され、また、同調整委員会は、我が国を含むAPEC7エコノミー(日、豪、加、香港、韓国、マレーシア、ニュージーランド)が2000年11月以降APECエンジニアの審査・登録を開始することを承認しました。
  2. 上記の承認を受け、我が国においては日本APECエンジニア・モニタリング委員会(参考4)が昨年11月20日から審査の受付を開始しました。我が国は、当面本プロジェクトの対象である9分野の技術分野(参考5)のうち、Civil(土木)、Structural(構造)の2分野をAPECエンジニアの対象として対応してきており、両分野に対応する我が国の国内資格は「技術士」と「一級建築士」の2資格となっています。
  3. 今般、日本APECエンジニア・モニタリング委員会における第一回の審査結果について、APEC技術者資格相互承認プロジェクトに係る関係9省(参考6)の確認を経て、次の通り決定されました。

  4. 同委員会により、APECエンジニアの5要件等を満たしていると判定されたものは、技術士については申請1,155件中の1,037件(89.8%)、一級建築士については443件中の413件(93.2%)となっています。
    これ以外については、5要件等を満たしていない、あるいは要件の内容を更に継続審査する必要がある、との結果となっています。
  5. 日本APECエンジニア・モニタリング委員会により、APECエンジニアの5要件等を満たしていると判定された者に対しては、4月1日より6月30日まで同委員会においてAPECエンジニアの登録申請の受付を実施します。なお、登録の受付事務は、同委員会の委託を受け、技術士については(社)日本技術士会、一級建築士については(財)建築技術教育普及センターが行います。
  6. 今後は、相互承認の実現のための二国間あるいは多国間の協議、APECエンジニアの対象分野の拡大を進めて参ります。
( )内は申請件数全体に占める比率
  申請者数 申請件数
(注1)
要件を満たしている 要件を満たしていない 保留
(注2)
技術士
983人
1,155件
1,037件
(89.8%)
5件
(0.4%)
113件
(9.8%)
一級建築士
443人
443件
413件
(93.2%)
30件
(6.8%)
 
(注1) 技術士については、Civil(土木)、Structural(構造)の2分野へ172名が同時申請。
(注2) 業務経験の記述内容、エンジニアリング課程の内容等について追加の審査が必要と判定されたもの
 


(参考1)

APECエンジニア相互承認プロジェクトについて


1 APEC(アジア太平洋経済協力)エンジニア相互承認プロジェクトは、1995年のAPEC首脳会議で採択された大阪行動宣言を受け、参加エコノミー間で、技術者資格に関する相互承認に基づく有資格技術者の流動化を促進することが決議されたことを踏まえ、検討に着手されました。
昨年11月1日には、これまでのAPECエンジニアの要件等に関する検討結果を、ガイドライン(指針)として取りまとめ、APECエンジニア調整委員会により、「APECエンジニア・マニュアル」として公表されました。

2 また、APECエンジニア調整委員会における検討の結果として、我が国を含む7エコノミー(日本の他、豪、加、香港、韓国、マレーシア、ニュージーランド)において、2000年11月1日以降、APECエンジニアの審査・登録を開始することが承認されました。

3 我が国は、技術者資格の国際的な相互承認の意義及びその影響の重要性に鑑み、当初より本プロジェクトに参加しています。具体的には、各エコノミーに設置が要請されたモニタリング委員会(日本モニタリング委員会会長:西野 文雄 政策研究大学院大学教授)を関係12省庁(現関係9省)の申し合わせに基づき設置し、APECの検討に対応しています。

4 APECエンジニア・マニュアルにおいては、当面、9分野の技術部門を対象とすることとなっていますが、我が国は、Civil(土木)、Structural(構造)の分野により相互承認を行うこととし、検討に参加してきましたが、その他の分野についても順次、対象とするよう準備を進めることとしています。

5 APECエンジニアの審査・登録は、上記のCivil、Structuralの両分野に対応する我が国の資格を規定する技術士法と建築士法を基本として、APECエンジニアの要件に沿って行う審査の方法等を定めた審査説明書に基づき、実施しています。

6 今後は、相互承認の実現のための二国間あるいは多国間の協議に移行します。
 


(参考2)APECエンジニア調整委員会:

APEC人材養成部会の下で、APECエンジニアの審査要件の整合性の確保や制度の普及等を目的とする。各エコノミーにおいてAPECエンジニアの審査登録等を行うために設置される各モニタリング委員会の代表等から構成されている。APECエンジニアの名称を授与する最終的な権限を有する。

(参考3)APECエンジニアの要件:
  1. 認定または承認されたエンジニアリング課程を修了していること、またはそれと同等の者と認められていること。
  2. 自己の判断で業務を遂行する能力があると当該エコノミーの機関で認められていること。
  3. エンジニアリング課程修了後、7年以上の実務経験を有していること。
  4. 少なくとも2年間の重要なエンジニアリング業務の責任ある立場での経験を有していること。(この2年間は上記7年の内数としてもよい。)
  5. 継続的な専門能力開発を満足すべきレベルで実施していること。
この他に、以下の2項目にも同意しなければならない。  なお、上記1)のエンジニアリング課程修了と同等の者と認められる要件については、既に示されている具体的事例に加え、調整委員会に照会の上、同等性を認めるよう求める仕組みがあることがAPECエンジニア・マニュアルに明記されている。


(参考4)日本APECエンジニアモニタリング委員会(1999年1月設置):
 
  会長  西野 文雄  政策研究大学院大学 教授
大中 逸雄 大阪大学 教授
渡邊 定夫 工学院大学 教授
堀内 純夫 (社)日本技術士会 専務理事
宮地 謙一 (財)建築技術教育普及センター 専務理事
清野 茂次 (社)建設コンサルタンツ協会 副会長
内藤 尚 (社)日本建築士会連合会 専務理事
近藤 勝英 (社)農業土木事業協会 専務理事


(参考5)APECエンジニアの対象9分野:
Civi1(土木)、Structural(構造)、Geotechnical(地盤)、Environmental(環境)、Mechanical(機械)、Electrical(電気)、Industrial(経営工学)、Mining(鉱山)、Chemical(化学)


(参考6)APEC技術者資格相互承認プロジェクトに係る関係9省
総務省、法務省、外務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、
国土交通省、環境省

技術士会ホームページ > APECエンジニア審査・登録